九つの神殿
この世界は、大地の女神とその子らである九柱の神々に護られている。
地域によって信仰の在り方は少しずつ違うが、迷宮都市は大きな都市らしく、九柱の神々を祀る神殿がすべてそろっている。
ちなみに、九柱の神への祈りはその母である大地の女神にも通じるものだと考えられており、特別な女神信仰のある地域以外に、「大地の神殿」はあまり造られない。
迷宮都市は神官にとって良い修練の場だと考えられており、他所の都市から送り込まれる神官は多い。
探索に行くかどうかは本人次第だが、気に入って長く居つくかすぐに逃げ帰るかのどちらかになるという。
神々についての考え方や教え、迷宮都市での状況は以下の通り。
・皿の神殿
ラディケンヴィルスでは「橙」の迷宮そばに作られている。
皿の神は人々に食事を与え、健康な心身を育む神だと考えられている。
農村などでは特に愛される教えで、子供の多い家庭で祈りを捧げられることが多い。
迷宮都市では位置が悪いのか、金まわりの悪い初心者ばかりが来るため、財政難の状態が続いている。
癒しの力が強い神官は少ない。現在の神官長はタグロン・メムレス。
・かまどの神殿
かまどの神は、家を守る神だと考えられている。
人々を暖め、明るく照らす神は、北方の寒い地域で特に信仰を集めているという。
ラディケンヴィルスでは北西の食堂街に神殿を構えており、ふらっと祈りに来る若者は多くいる。
が、皿の神殿同様初心者が多く来るところなので、財政状況はそんなに良くはない。
酔っ払いが多く現れる地域なので、ここの神官はみんな介抱上手になるらしい。
現在の神官長はジャマレード・キャズ。本編にはまだ登場していない。
・石の神殿
石は形を変えず、残り続けるもの。なので石の神は記憶を司り、不変のものに宿ると考えられている。
ラディケンヴィルスでは北東の大門の近くに神殿を構えているが、周辺に小さな店が乱立しており入りにくい場所になってしまった。
貴重な文献などを多く保管しており、学者や魔術師に好まれる神殿でもある。
現在の神官長はレオミオラ・モール。珍しい女性の神官長で、女性の良い相談場所にもなっている。
・車輪の神殿
車輪は回り続けるもの、働き続けるものを守る神と考えられている。
なので他の都市では労働者に好まれる神なのだが、ラディケンヴィルスでは「忘れ物預かりサービス」をさせられている。
このサービスはもともと石の神殿が行っていたのだが、倉庫がいっぱいになってしまった為、近くにあった車輪が続きを引き受けたという経緯がある。
車輪の神官たちは働き者なので、こんなサービスも住人たちのため、その家族のためと快く引き受けているのだとか。
現在の神官長はピナ・オーケン。本編にはまだ登場していない。
・鍛冶の神殿
鍛冶の神は力強く、戦の神としても扱われる。
神官たちは「剣のように己も鍛えよ、心も体も強くあれ」と説き、戦士たちが好んで通う神殿になっている。
ラディケンヴィルスでは貸家街近くに建っているので、中級者たちがよく通う。
神官たちも己を鍛えるよう命じられており、迷宮に足を踏み入れる者が多い。
が、場所がら中級者たちから協力を頼まれやすく、初心者に付き合ってくれる神官はなかなかいないようだ。
現在の神官長はラムラ・モック。本編にはまだ登場していない。
・雲の神殿
雲は形を変え、人生に試練や恵みを与えるものと考えられている。
なので雲の神官たちは柔軟な考え方を持つよう教えられ、与えられた運命を受け入れ、乗り越えるよう人々に説く。
雲の神殿は人生で苦難に見舞われた者たちの拠り所であり、女性たちの避難所として機能することも多い。
自然が厳しい地域で好まれる教えで、なにもない荒野に小さな神殿が建てられていることも。
現在の神官長はゲルカ・クラステン。鍛冶の神官デルフィにも平等に手を差し伸べる公平な男。
・樹木の神殿
樹木の神が司るのは成長で、力強く天に向かって伸び花や実をつけるよう育ててくれる存在だと考えられている。
子供を育てている親、学校などで好まれる教えで、迷宮都市では薬草業者の守り神として扱われることも多い。
いつかは枯れても種を残す植物の様子から、死にゆく者を慰め、人生を労う時にも祈りを捧げられる。
現在の神官長はキーレイ・リシュラ。
前神官長であるカッカー・パンラの存在感は大きく、熱意を持った神官を多く集めている。
・船の神殿
船の神は人生と言う名の航海を見守り、運命を司るものだと考えられている。
自分の行く道の上に祝福があるよう願う商売人たちから、特に愛されている存在。
もちろん、漁師からも守り神として扱われており、海のある地域では小さな神殿が多く建てられている。
迷宮都市では商人たちが多く住む地域に神殿が立てられており、祝宴の際には神官が必ず呼ばれるという風習ができあがっている。
現在の神官長はタラッサ・ショウ。本編にはまだ登場していない。
誘惑が多いため、船の神殿だけは近隣の都市と連携して神官をこまめに入れ替えている。
・流水の神殿
流れ行く水は淀まず、汚れを押し流すものと考えられている。
流水の神は清浄を司り、悪事に染まらず、清廉な精神を持つよう人々に説いている。
騎士や領主などが大切にすべき神だと考えられているが、実態とあっているかはわからないところ。
迷宮都市では最初に流水の神殿が建てられたが、立地がよくなかったのか現在は売家街と高級宿に囲まれていて、初心者などには訪問しづらい状態になってしまった。
故に、財政難が続いている。神官の数も少なく、移転を考えているのだとか。
現在の神官長はアマル・テンフィ。本編にはあまだ登場していない。
迷宮都市は唯一、人の命を取り戻せる場所になっている。
神官の中でも特に信仰が篤く、探索の経験を積んだ者だけが使えるようになる秘技だが、他の町に行くと効果は現れないらしい。
余計な思惑を招かないよう、神官たちはあまり生き返りについて語ってはならないと決められている。




