都市案内
迷宮が全部で九つだろうという結論が出てから、周辺には様々な建物が立てられていった。
最初に完成したのは調査団の本部で、その後、商人たちが馬車の発着場や市場などを作り、少しずつ街は大きくなっていく。
探索をする者、仕事を求める者が大勢集まるラディケンヴィルスの現在の状態は大体この通り。
・北東部
王都デルシュレーへ続く東の大門周辺には、大規模な乗合馬車の発着場と初心者や貧乏商人のための安宿街が広がっている。
門の北側には安宿がひしめき、大通りを挟んだ南側には探索者の出会いの為の酒場や食堂が並ぶ。
武器や防具、探索用の道具をそろえた店もあり、石の神殿、車輪の神殿もこの付近に建っている。
・北部中央
「橙」の迷宮付近には屋台や露店などが多く、皿の神殿も近い。
初心者向けの貸金業もこの辺りに集中しており、多額の借金を負った者はこの辺りで姿を消すことが多い。
・北西部
かまどの神殿を中心に、安値が売りの食堂街が広がっている。
更に奥、街の北西の角には娼館が多く営業しており、金回りのいい男たちの憩いの場になっている。
娼館街には高い壁が多く、娼婦や下働きの人間を逃さない。
西の隣国スアリアへ続く西門があり、門の北側は馬車の発着などに使われているが、南側は夢や希望を失った脱落者たちが住み着く場所になってしまっている。
・西部中央
スアリア王国へ続く西門よりも南側の地域。調査団の本部がある。
古い建物が多く、最近取り壊しと建て替えが積極的に進められている。
雲の神殿があり、神殿よりも西側の荒野は墓地になってしまった。
再開発の影響でかつてないほどに豪華な店が出来始めており、様々な新名物も生まれている。
・ど真ん中
迷宮の描く四角の真ん中は、魔術師たちの住処が建っている。
まだ迷宮が隠されているのではないかと不安がる商人たちが避けた結果、魔術師の屋敷が集まったらしい。
私塾を経営したり、便利な魔術の道具を開発したり、探索にいそしんだりと、魔術師の生き方は様々。
しばらくの間道に迷いやすくなる「いたずら」が仕掛けられていたが、解消されて今はすんなりと通れるようになった。
・東部中央
日用品や衣料、家具などを扱う道具屋街と、鍛冶の神殿が建っている。
南半分は貸家街になっており、探索中級者たちが多く暮らしている。
「藍」の迷宮の南東に樹木の神殿があり、その隣がカッカー・パンラの屋敷。
少しだけ高めの食堂もちらほらとあり、通りの雰囲気も落ち着いている。
・南西部
飲食店や道具屋もあるが、薬草業者の店が多く立ち並んでいる地域。
薬屋は街のあちこちにあるが、薬草の保管や加工をする工房が集まっている。
薬草業者が多いからか、医者が多いのもこの辺り。
さまざまな店舗で働く労働者のための寮があるのもこの辺り。
更に奥には商人の屋敷が多く建っていて、船の神殿もこの地域に建っている。
・南東部
港町に続く南門がある地域。門のそばには大きな市場があり、近隣の農村から野菜などがたくさん運ばれてくる。
北側は貸家街と道を挟んで売家街があり、南側は高級な宿が並んでいる。
門を出ると草原や森が広がっており、趣味で馬を飼うような富裕層がいるんだとか。




