10_Chain of failure〈五つの運命〉
第十三話「Chain of failure」 サブタイトルは「五つの運命」。
どうしても相談を聞いてもらいたいと願われ、疲れた体に鞭打って話を聞くキーレイからエピソードは始まる。
中堅レベルの探索者ができる、良い仕事がないかどうか聞かれているようだ。
そんな相手に対し、キーレイは一つの提案をする。
迷宮でなんらかの失敗をして、仲間や荷物を残してきてしまった場合。
条件が悪くなければ、「落とし物」の回収を頼むことができる。
それなりの実力がなければやれないであろう「回収屋」の話は、街の西で暮らしているデルフィにも持ちかけられていた。
「脱出」の使い手がいればずっと楽になる回収の仕事を手伝ってもらえないか、声をかけられているようだ。
〇「紫」で倒れていた二人組
捜索の果てに発見された死者、少年と大男の二人組は地上へ連れ帰られたものの、人違いだとわかり埋葬されることになる。
デルフィは自身に与えられた奇跡の力を確認するために、土をかけようとする男たちを止めて、祈りを捧げた。
この二人がどうなったのかは、二つ先のエピソードで少しだけわかる。
― 迷宮都市豆知識 ―
□回収業者の仕事
迷宮内に置き去りにしてきた仲間やアイテムを持ち帰るのが回収屋の仕事だ。
あまりにも深い層で起きた場合は頼めないし、「黄」や「青」ではそもそも依頼は受けてもらえないだろう。
かつては金だけ取ってまともに回収をしない悪徳業者がいたらしいが、カッカーのお陰でかなりクリーンな状態になった。
回収業者の中に「脱出」の使い手がいれば、無事に戻る可能性はぐんと上がるだろう。
とはいえ、死体を運ぶのは気持ちの良い作業ではない。
回収業一筋で長く働き続けられるとしたら、よほど変わっているか、この仕事に運命を感じてしまうかのどちらかだろう。
□探索者に最も必要な才能は
ニーロ曰く、「目的地をしっかり定められるかどうか」。
自分の今の実力で目指すべきところはどこなのか。見極めができる者ほど、探索者として大成していくだろう。
□帰りは行きの五倍で考える
「脱出」などの用意がない探索者は、復路についてこう考えておくといいらしい。
荷物は増えるし、探索の末に蓄積した疲労も計算の中に入れておかなければ、無事に帰るのは難しくなる。
□デルフィが戻れるのは帰還者の門だけか?
ベリオから投げかけられた問いに、デルフィは「それ以外に戻れるのか」と返している。
ニーロの自在な魔術を受けての質問だが、この言葉は強くデルフィの中に残り、後に彼の助けになる。
□朝に弱いデルフィ
低血圧なのか、目覚めが悪い姿が描かれている。
多分、のちにちゃんと克服する。
□想定外の「紫」
回収業者としても予想外の「紫」で、経験も準備も足りないまま仕事を引き受けてしまったようだ。
うっすらと毒の漂う「紫」では、耐性があるかどうかが物をいう。
蔦の生えた道にも慣れていないと、何度でも躓き転ぶことになってしまうだろう。
□ベリオの長剣
本人は見た目と軽さを気に入っただけだが、これはニーロが「緑」の最下層近くで見つけた特殊な力を持ったもの。
鞘は美しく、角度によってほんのりと色を変えて見せる。青から緑になっていくグラデーションのようなカラーリングは強く印象に残るだろう。
この剣のおかげで知らない間に窮地を脱したが、大きなミスを犯す原因にもなった。
□現在地の把握
モッジが失敗したのは、地図を汚損させてしまったことと、現在地の階層を間違えてしまったことが原因になっている。
自分が何層目にいるか見失うのは非常に危険。回復の泉に頼れなくなれば、探索は一気に難度を増してしまうだろう。
□西の荒れ地
迷宮都市の西門から出た先、南側の一帯には探索や労働を諦めた男たちが小屋を建てて住み着いている。
彼らは「脱落者」などと呼ばれており、行き場のない死者の埋葬を仕事にして暮らしているようだ。
西の荒れ地には、迷宮都市で命を落とした誰かがたくさん埋められている。
自分の過去について話したくなくても、死んだあとどうしてほしいかくらいは仲間に伝えておくといいだろう。
そうでなければ、寂しい荒れ地の穴の中で後悔させられるだろうから。
□五つの運命
このエピソードのタイトルは「失敗の連鎖」であり、「五つの運命」となっている。
たったひとつの探索の中で山のように失敗が起きて、いくつかの人生が破綻している様が描かれる。
モッジの回収業はおそらく廃業であり、シャレーも救われないまま迷宮の中に消えた。
一方で、消えかけていた運命の灯に火を分け与えられた者もいる。
このまま消えるはずだった小さな命と、身動きできない暮らしに閉じ込められていた若者と。
そして奇跡の力を分け与えた神官の運命も、この日、大きく動いた。




