迷宮の発見
百五十年ほど前、偶然発見された「穴」があった。
地面にぽっかりと開いた穴の奥には扉があり、中は美しく装飾された通路に繋がっている。
偶然通りかかったのは近隣の村で暮らしていた若者で、発見したその日は奥に入ることなく帰ったという。
彼は友人を連れて再び穴を訪れ、おそるおそる中を進んでいった。
階段を見つけたところで恐ろしくなり、逃げ帰ったのは彼らにとって幸運なことだっただろう。
若者たちはこの発見を仲間に伝え、そのうちの一人が村長に伝え、奇妙な穴について王都に報告されることになったという。
半信半疑でやって来た王都からの調査隊は通路の様子を見て驚き、周囲を封鎖すると本格的な調査をするべく準備にとりかかった。
歴史について学ぶ学者が呼ばれ、魔術の研究家が呼ばれた。
彼らの護衛についてきたうちの一人が、まだ若い騎士のラディケン・ウォーグ。
穴の中が人為的に作られた迷宮だとわかり、敵性生物が襲い掛かってくると判明した後、初代の調査団長に指名される。
まだ恋人であった流水の神に仕える神官バルバラと共に、九つの迷宮を発見し、そのすべてに足を踏み入れ、詳細な報告を王都へ送り続けた。
ラディケンの調査は十二年続き、幾度も命の危機に遭い、団長の任を解かれた後は王都のはずれで余生を過ごしたとされている。
ラディケン・ウォーグの献身的な働きを称え、迷宮周辺に興った街は「ラディケンヴィルス」と名付けられた。
九つの迷宮と、東の王都、西のスアリア、南の田園地方及び港町へ続く三つの門。
ラディケンヴィルスは十二の門を持つ街として、国内外にその名を知られていくことになる。




