ご飯を作ろう②
「うわっ」
ユニカが一方引きながら、声を出す。
「うわって何よ。普通に帰ってきただけでしょ?」
「普通の令嬢はそんな魚やら貝やら、沢山持ってこないだろ!」
「いや、追放されてるんだから、普通の令嬢のわけないでしょ」
と、ミリエスが言うと、ユニカは少しばつが悪そうな顔をして俯く。
「••••••ごめん」
ユニカが小さくつぶやく。
別に私は没落後から始まっているのだから、令嬢だとかはどうだって良い。だけどやはり、ふと思ってしまう。前世もろくなもんじゃなかったけど、今の誰からも愛されない、お金もない、暮らす場所もない、名誉もない、権力も全て失っているところからはじまるというのは、言葉で言い尽くせないほどの息苦しさがあると。だけど、仕方がない。これもまた私の二度目の人生だと言い聞かせるしかない。怒りを生きる理由にするしかない。正しさを生きる理由にするしかない。自分は強い心を持っているのだと、自分に言い聞かせ、なんとか奮い生きるしかない。
「••••••私は貴方に同情される程、落ちぶれていないわよ」
ミリエスはユニカの頭を優しく撫でて言う。
「さぁ、夕食の準備よ! 沢山捕ってきたのだから、めいいっぱい美味しいものを作りましょう!」
と、ミリエスが言うと、ユニカは顔を上げて頷いた。
そうだ。感傷に浸っている場合ではない。私にはやる事が沢山ある。立ち止まっている暇なんてどこにもない。