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【8巻発売中!】裏稼業転生~元極道が家族の為に領地発展させますが何か?~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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902/914

第902話 冒険のメンバーですが何か?

 ゴーキとフージンは、二人がかりでも敵わなかったばかりか、同時に拘束されてしまったので、改めて力の差を思い知る事になった。


「「参りました……」」


 ゴーキとフージンは、どちらも、身動きが取れない状態で、負けを認めた。


「二人ともかなり良かったよ。特に、ゴーキ。自分の身を盾にしてフージンの攻撃で僕を倒そうとしたのは、いい判断だね。以前の君なら、自分で仕留めようとしたはず。仲間を頼るのは信頼の証。これなら、連れて行っても大丈夫そうだね」


 リューは二人を合格とし、魔境の森の冒険に連れていく事を認めた。


「「本当ですか!? 若、ありがとうございます!」」


 ゴーキとフージンを目を見合わせると、喜んだ。


 二人とも、四十過ぎたおっさんなのだが、どん欲に成長しようとしている姿は、十代の若者のようだった。


 二人とも、祖父カミーザに出会って、いくつになっても成長できる事を知り、不仲だった事も、その前には、些細な事だと割り切れているようだ。


「これで、おじいちゃん、僕、リーン、ゴーキ、フージンの五人でいいかな」


 リューが指折り数えて、候補を確認した。


「主、なぜ自分は入ってないのですか?」


 リューの護衛役であるスードが、自分が数に入っていない事に不満を漏らした。


 てっきり、自分は当然参加だと思っていたから、なおさらである。


「スード君には、夏休みを上げようかと思っていたんだけど……」


 リューは休日返上しそうな勢いのスードに、苦笑した。


「主の行くところには、自分も当然行きますよ!」


 スードは、普段、主張しないのだが、置いて行かれそうなので、必死だった。


「……わかった。じゃあ、スード君も連れて行こうかな」


 リューは、熱意に圧される形で、スードの参加を認めた。


 そして続ける。


「でも、もう一人、回復役が欲しいかな? 治癒士として僕は半人前だし、リーンの負担が大きいよね?」


 リューは、旅先で何が起きるわからない事を想定した。


「それなら大丈夫じゃない? セシルちゃんとハンナちゃんには、自宅で待機してもらえばいいんだし」


 リーンが、もっともな意見を述べた。


「リューの『次元回廊』があれば、いつでも戻ってこられるからのう。わははっ!」


 祖父カミーザも、リーンの意見に賛同した。


 負傷したら、自宅に送り届ければいいのだ。


 治療中、守る手間も省けるし、一石二鳥である。


「そうだった。じゃあ、この人数で、いいかな、おじいちゃん?」


 リューはカミーザに最終確認をした。


「もちろんじゃ。このメンツなら、あの古代黒竜の、鼻を明かせるかもしれん」


 普段大きく出る事も多いカミーザが、可能性を口にした。


 少しは望みが見えたという控えめな表現である。


 それくらい、戦った古代黒竜は強かったという事だろう。


「だが、全員、無理はしてくれるなよ? ハンナの特製ポーションも数に限りがある。儂は、折角孫から貰ったものを、これ以上、使いたくないからのう」


 カミーザは、冗談交じりに、残念そうな顔をするのだった。



 リューは、マイスタの街、バシャドーの街、両方に顔を出すと、夏休みの過ごし方について、責任者達に説明した。


 執事のマーセナルとシルバは、案の定、心配した。


「若様、あまり、無茶をなさらぬよう。留守はいつも通り引き受けますが、あくまで私は、若様の執事です。主のいない屋敷を世話するつもりはありませんよ」


 マーセナルは、いつにも増して、真面目な顔で、リューを諭す。


 この辺りは大人の貫禄というところだろうか。


 みんなを代表しての発言だったので、周囲の者達も代弁してくれたマーセナルに同意とばかりに、激しく頷く。


「あははっ……。もちろん、無茶はしないつもりだよ? まあ、その場のノリでどうなるかわからないけど……」


 リューは、言葉を濁すしかない。


 四大絶地である魔境の森は、甘い場所ではない。


 命がけの冒険になるのはわかっている。


 だから、無理せず帰ってくる事を約束はできない。


 大幹部のランスキー、マルコ、ノストラ、ルチーナなども、言いたい事は沢山ありそうだったが、リューは早々に、バシャドーの街に向かうのだった。



 バシャドーの街でも、執事のシルバから、苦言を呈される事になった。


「若君、いくら領民に慕われているとはいえ、領主になって日が浅いのです。あまり無理をして、みなに心配をかけぬようお願いします」


 シルバは、本当にリューの事を心配している様子だった。


 エンジ・ガーディー、ケンガ・スジドー、アキナ・イマモリーの三人も、気持ちは同じだ。


 それに、『屍人会』、『新生・亡屍会』との抗争も始まったばかりである。


 現在、バシャドーには、裏社会四組織同盟の成立により、各組織の代表者が滞在している。


『バシャドー義侠連合』、『竜星組』、『死星一家』は、リューの傘下だから、問題はないが、とりあえず、別組織として、一定の距離感は保っていた。


 組織の下っ端もその事実を知らないから、血の気の多い『聖銀狼会』も含めて、問題が全く起きないというわけでないのだ。


「とりあえず、『竜星組』の代表としては、幹部のクーロンが滞在している。問題が起きたら、そこと話し合って。僕も、毎日、朝と夜、忙しい時は昼も顔を出すようにするからさ」


 リューは元『屍黒』の大幹部だった現幹部クーロンの名を口にした。


 今では、マルコの腹心として活躍しているクーロンは、頭もキレるし、腕も立つ。


 大抵の問題は、シルバとエンジ・ガーディー達とクーロンでなんとかなるはずだ。


「わかりました。この街の結束力が試される時ですね。若君は安心して、祖父殿に尽力してください」


 シルバは、リューが、祖父と祖母の為に、一肌脱ぐつもりである事を聞いていたので、「若君らしい」と納得はしていた。


「お願いね。でも、毎日顔を出すから、いつもとほとんど変わらないよ?」


 心配するシルバ達に苦笑するリューだった。


「全員、情けない顔をしないで頂戴。リューが心配するでしょう? こんな時は、『こちらの事は心配ないです。姐さん、若君をお願いします』と言いなさいよ」


 リーンがシルバ達に注意した。


 注意されてから、言う台詞じゃないからね?


 リューはリーンにも苦笑した。


「「「姐さん、若君をよろしくお願いします!」」」


 エンジ・ガーディー達三人は、直立して、リーンにお願いする。


「それでいいのよ。私がリューを守らないわけがないでしょ」


 リーンは、満足げに応じるのだった。

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