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【8巻発売中!】裏稼業転生~元極道が家族の為に領地発展させますが何か?~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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第901話 二人の実力を試しますが何か?

 リューは早速、祖父カミーザと夏休みの冒険を行うべく、準備を行う事にした。


 まずはメンバー選びである。


 カミーザ、リュー、リーンは当然だが、他をどうするかだ。


 そこで、話を聞いて立候補したのが、ランドマーク本領にいる意外な者達だった。


「若、我らもそのメンバーに入れてもらえませんか?」


 ノーエランド王国裏社会の二大巨頭として、名を馳せたゴーキがリューに頼み込んできた。


「俺も、お願いします、若。年齢に反したカミーザ様の強さに、感服したんです。俺達で役に立てませんか?」


 ゴーキと同じく、二大巨頭として、『風神一家』を率いていたフージンが、願い出た。


 ゴーキとフージンは水と油と表現されるくらい不仲なのは有名だった。


 しかし、魔境の森に送られてきての、この一か月、どういった心境の変化があったのか、見た限り仲が悪そうには見えない。


「……わかっていると思うけど、魔境の森の奥地は、二人が知っている森よりも危険がいっぱいなんだ。仲間との呼吸が合わなければ、即、死に繋がる事になるかもしれない。──二人は元々仲が悪かったけど、それは大丈夫かい?」


 リューは、二人がどこまで仲を取り戻したのか、確認した。


「確かに我ら二人は、ノーエランド王国時代は、犬猿の仲でした。殺そうとしていた相手ですから、お互いの事は、親以上によく知っています。魔境の森でスーゴさんにお世話になっていた間、仲間と協力しないと生きていけない過酷な環境を経験しました。最初こそ、こいつの事は、隙あらば命を狙うつもりでいましたが、あの森で生きるには、頼もしい仲間になるのだと気づかされました」


 大組織のボスとして、貫禄に満ちていたゴーキが、今やリューの部下として謙虚な姿勢を見せた。


「俺もです。ゴーキが、魔物相手に壁役として時間を稼いでくれる事で、魔法を使う事ができました。お互い、助け合う事で力を発揮できる事がわかったんです。──それに、俺は今年で四十二ですが、カミーザ殿を見て、歳に関係なく進化できる事を知りました。若達の足手纏いにならないよう二人で、力になりたいです」


 フージンも謙虚な姿勢を見せた。


 それに、二人とも、年長者であるカミーザの強さに、中年の希望の星を見出しているようだった。


「……二人の気持ちは、わかった。ただし、試験を行うよ。スーゴから、二人の事は聞いているけど、細かい実力はわからないからね。一緒に行くにしても力を把握しておきたいし」


「「もちろんです!」」


 ゴーキとフージンは、声を揃えて、目を輝かせるのだった。



「──じゃあ、審判は私がするけれど、二人ともリューの胸を借りるつもりで頑張りなさい」


 リーンは、自分が相手できなくて残念そうだ。


「「はい!」」


 ゴーキと、フージンは、真剣だ。


「リューは大丈夫か? 昨日、あの二人の戦っているところを少し見たが、結構やりおるぞ?」


 カミーザが、何気にゴーキとフージンを高く評価していた。


 だが、その割に呑気な物言いなのはいつも通りだ。


 リューは、マジック収納から、ドス『異世雷光いせのらいこう』を取り出す。


 どうやらこちらも、最初から本気のようである。


「坊ちゃん、殺しちゃ駄目ですよ?」


 二人の面倒を見ていた領兵隊長のスーゴが、リューに釘を刺した。


 これは、リューが強すぎるから手加減しろと言っているのではなく、二人が強いので、加減する余裕なく二人を殺さないように、という理由からだ。


(スーゴが、そんな事を言うって事は、二人ともかなり成長したって事か……。これは、リーンの治癒に頼る事になりそう……)


 リューは、内心苦笑すると、二人と対峙するのだった。



「それでは、──始め!」


 リーンが、試合を開始した。


 開始と同時に、ゴーキが、瞬時に飛び出し、リューに突っ込んでいく。


 それに合わせてフージンは即座に魔法の詠唱に入った。


「お? フージンは複数魔法の詠唱だね」


 リューがリーンから聞いていたところでは、魔法の威力は凄まじいが、単独魔法しか使えなかったはずだ。


 この一カ月で、必死に覚えたのかもしれない。


 リューは感心するが、ゴーキの攻撃は、余裕を持って躱せるものではない。


 ゴーキの武器はその拳だが、籠手を装備しているので、当たれば部位を軽々と破壊する威力を持つ。


 さらには、リューがマネするようになった、瞬時に距離を詰める技ももっており、これがかなり厄介だった。


 前回、その技で、リューの首筋を掠め、負傷させるくらいなのだ。


 今回も、ゴーキは、その技を繰り出して距離を詰め、リューの首筋を狙う。


 だが、リューも同じ技を喰らう程、馬鹿ではない。


 ゴーキの攻撃を予測し、同じ技を使って、カウンターを狙う。


 リューのドスが、ゴーキの胴体を掠め、血飛沫が上がった。


「くっ!」


 ゴーキは、痛みに眉をひそめるが、動きを止めない。


 しかし、ゴーキの攻撃はリューを捉えきれなかった。


 そこに、フージンの魔法が、ゴーキの身体能力を上げた。


 即座にゴーキの速度が増し、拳が、リューの頬を掠める。


「ゴーキの動きに合わせて魔法をかけたね!」


 リューはフージンが戦う二人の動きを見ながら、魔法を使用したので、コンビネーションに感心した。


 だが、それも一瞬である。


 リューは無詠唱で、自分に身体強化魔法を唱えると、また、差を開く。


 それでも、ゴーキの攻撃の手は止まらない。


「二人とも、狙いはわかっているよ?」


 リューにもさほど余裕はない。


 ゴーキの動きは、やはり化け物クラスレベルだし、支援に回っているフージンの魔法も、威力だけならリーンレベルに達しているのはわかっていたからだ。


「「それでも!」」


 ゴーキとフージンが、声を揃えて応じた。


 そして、ゴーキがリューに組み付こうとした。


 リューは、ゴーキの籠手に包まれた手をドスで受け流し、そのタイミングで、『対撃万雷』という雷魔法を繰り出した。


「ぐぁぁぁ!」


 ゴーキが体中を駆け巡る雷に苦悶の表情を浮かべるが、それでも、動きは止まらなかった。


 ゴーキの得意技は、闇魔法と火魔法を合わせて生み出した黒炎を纏いし拳だが、まだ、使用していない。


 リューはそれが気になっていたが、それもすぐに理由がわかった。


 ゴーキの、瞬間移動攻撃は、一度の戦いで、何度も使えるものではないのだが、黒炎の拳を使用しないのは、魔力温存の為だったのだ。


 温存する事で、肉体の限界をカバーする事に回し、瞬間移動攻撃を一度でも多く使用するのが狙いだったのだ。


 ゴーキは、リューのドスの攻撃に痺れながらも、リューの背後に瞬間移動して、リューを羽交い絞めにした。


 その瞬間、フージンが、攻撃魔法を発動した。


 あまりに息の合った連携攻撃に、リューも目を見張る。


 風が凝縮された小さな猛威の塊は、真っ直ぐリューに向かっていく。


 リューはゴーキに背後から掴まれて、身動きが取れない。


 と思ったのは、二人だけだった。


 リューは密かに詠唱していた火魔法を発動し、フージンの放った魔法と衝突、呆気なくその場で霧散した。


 これには、満身創痍のゴーキと、魔法を放ったフージンも目を剥いて驚く。


「「ば、馬鹿な!?」」


 次の瞬間、ゴーキの手を掴んで捻り上げると関節を極め、地面に押し付ける。


 それと同時に、無詠唱の土魔法で、大魔法を使用後に動きが止まっていたフージンの手足を封じ、拘束してしまうのだった。

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