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【8巻予約開始!】裏稼業転生~元極道が家族の為に領地発展させますが何か?~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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第886話 三人の説得ですが何か?

『バシャドー義侠連合』の幹部達三人は、リューの意味深な誘いに戸惑っていた。


「若君。私から説明させてもらっても?」


 ここでようやく、執事に収まっているシルバが、口を開いた。


「うん、お願い」


 リューは、シルバに説得を譲った。


「エンジ、ケンガ、アキナ。先の事務所襲撃での大損害を考えても、義侠連合がこのままではいけない事は、わかっているな」


「もちろんです。だからこそ、今日は、四組織同盟を成立させたのではないですか」


 エンジ・ガーディーが、今さらとばかりに、答えた。


「ああ。だが、他組織に、頼りっぱなしになるわけにもいかないだろう?」


「それはもちろんですが……。──ここには『竜星組』関係者もおられます。この話、後日でよいのでは?」


 エンジ・ガーディーは、『竜星組』組長代理であるマルコをはじめ、関係者が数名いるので、言葉を濁した。


「先程も若君が言っただろう。ここにいるのは家族だけだと。三人とも、口外無用で、頼む。──若君は、ミナトミュラー子爵としてこの街の領主でもあるが、マイスタという街の領主でもある。それは知っているな?」


「「「ええ……」」」


 三人は、不審な様子で、頷く。


「若君は、それと同時に、『竜星組』の組長でもあるのだ」


「「「……はっ?」」」


 三人は、ポカンとした様子で、聞き返す。


 どう考えても、リューと王都裏社会最大組織のボスが結びつかず、シルバが珍しく冗談を言っているとしか思えない。


 だが、シルバは笑う素振りも無く、真剣そのものだ。


 そのギャップに三人は、笑っていいのかいけないのか、困惑するしかない。


「そういう事だ。うちは、若を組長とする組織なのさ。──まあ、当然、ここだけでの秘密だが」


 そこへ『竜星組』の組長代理であるマルコが、真面目な顔で、シルバの言葉を補完した。


「「「!?」」」


 第三者だと思っていたマルコの言葉に、エンジ・ガーディー達は、ようやく酒の席での冗談ではない事を理解した。


 とはいえ、頭が混乱する話である。


 目の前の少年領主が、「『竜星組』の組長」、というのは、現実離れしすぎているのだから仕方がない。


「そういう事なんだ。君達『バシャドー義侠連合』の立場を尊重すると、中々言い出しづらくてね。説明する機会を窺っていたのだけど、マルコ達もいるし、今がその時かなって」


 リューが困惑する三人を落ち着かせるように、あとを引き継いだ。


「……シルバ殿、あなたはいつから知っていたのですか?」


 エンジ・ガーディーは、一番信用しているシルバから、全てを聞きたいようだった。


「私も執事になってからだから、最近の事だ。だが、若君を責めてくれるな。私なら、こんな驚くべき事実、話すどころか秘密のままにしていたかもしれない。だが、若君は、我々を信用して話してくれているんだ」


 シルバは、エンジ・ガーディーの目を真っ直ぐ見つめ返した。


「参ったな……。道理で、『屍人会』襲撃未遂の際も、妙に腹が据わっていたわけだ」


 ケンガ・スジドーが、全ての辻褄が合ったのか、納得した様子を見せた。


 アキナ・イマモリーは、リューをまじまじと見ている。


 アキナの場合、リューの下で部下として働いていたから、リューの有能さに尊敬する気持ちになっていた。


 そこに、王都裏社会のドンという顔まであるというのだから、本当は子供ではないのではないかと、思わずにいられなかったのだ。


 そして、エンジ・ガーディーは、そんなリューが、何か秘密を抱えているであろう事を疑っていただけに、その空いた隙間が埋まった思いがした。


「……まさか、あの『竜星組』のボスとは……。道理で、説得も容易なはずですよ。はははっ……」


 エンジ・ガーディーは、ようやく、納得する。


 エンジ・ガーディーは、相手の魔力が見えるだけに、ここまで、リューが何か怪しい人物という疑いをもっていた。


 だが、その疑いも解消された。


「これまで秘密にしていてごめんね。でも、内緒にしていた理由も、これでわかってもらえたと思う」


 リューは三人に手を合わせて、謝る素振りを見せた。


「それでだ、三人とも。若君に、従う気はあるか? もしなくても、この街を守る気持ちは、変わらずにいてくれれば、助かるのだが……」


 シルバがリューの代わりに、本題に戻った。


「……私は、領主様の能力も、この街を大事にしてくれている気持ちも、疑う余地がなかったから、傘下に入っても構わないけど、二人はどう?」


 アキナ・イマモリーは、嬉しそうに前向きな姿勢を見せた。


「俺も構わない。『バシャドー義侠連合』はこの街を守る為の手段であって、目的じゃない。領主様がこの街を守る為に全力なのは、一緒に戦った時点で、よくわかっているからな。俺は構わないぜ?」


 ケンガ・スジドーは、喧嘩の中で相手を見極める才を持っている。


 その彼が、リューを評価している時点で、エンジ・ガーディーも信じて構わなかった。


「……はぁ……。結局、裏社会時代がこの中で一番長い私が、一番、領主様を疑っていたわけですか……。シルバ殿や二人が信じるなら、私も信じましょう。ですが、『バシャドー義侠連合』は、解体できません。それはわかっていますよね?」


 エンジ・ガーディーは、リューに従う事を示す反面、抵抗するような事を言い始めた。


「エンジ、何を……」


 ケンガ・スジドーが、止めに入る。


「うん、当然の事だよね」


 リューはエンジ・ガーディーの言葉の真の意味を理解していたから、同意した。


 そして、続ける。


「四組織同盟は、『バシャドー義侠連合』あっての同盟。そこが、解体したら、同盟は白紙撤回になるもの。それに僕も、義侠連合は、そのままにしておく方が、都合が良いからね」


 リューはエンジ・ガーディーの言いたい事を口にした。


 そう、このタイミングで義侠連合が解体され、『竜星組』の傘下になれば、同盟はご破算。


 それだけでなく、解散のきっかけとなったであろう、リューの関与は当然疑われる事になる。


 『竜星組』組長の正体は、リューだと予想する者が沢山現れるだろう。


 そうなると、全てが水の泡になる。


 エンジ・ガーディーは、そこまで読んだのだ。


 リューは、頭のキレる仲間が増えた事に満足すると、リーンやシルバ達と視線を交わし、喜びを共有するのだった。

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