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【8巻予約開始!】裏稼業転生~元極道が家族の為に領地発展させますが何か?~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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第790話 悪だくみですが何か?

 リューは、『赤竜会』と『黒虎一家』の抗争について、『蒼亀組』のコーエン子爵からある程度話は聞いていたのだが、思った以上になりふり構わないやり方で衝突していた事が、現場に潜入してよく分かった。


 そんな無法地帯と化している裏通りで、『赤竜会』傘下の危険な連中を正座させて、リューは情報を聞き出していた。


「──へぇ。『黒虎一家』との抗争が戦争がきっかけで中断されたと思ったら、今度はアハネス帝国の裏社会の連中と抗争に、ねぇ?」


 リューは、自分を問答無用で刺そうとした男から最近のこの街の事情を聞いて、軽く驚く。


「へい……。うちのボスとここの領主は元々相互利益の為、協力関係にあったんですが、帝国傘下に入ったらあっちが手のひら返ししてきたんですよ。帝国の過激な連中が入ってきても、自分には関係ないと、取り締まるどころか俺達を駆逐させようとしているみたいで……」


 顔を腫らせ涙目で正座している男は、悔しそうにそう漏らす。


 男達は『赤竜会』傘下のグループである事を誇りにしているのだろう、帝国側の組織に降る事無く抵抗を続けているようだ。


「それじゃあ、帝国に付いた貴族達って、『赤竜会』とはたもとを分かつ状態になっているって事なのかな?」


 リューは思った以上に有益そうな情報に聞き返す。


「そこまではわかりません……。本家からは今のところ何もお達しがないもんで……。元々うちのグループのボスだった人は、本部に出入りが許される程、目を掛けられていた人物なんですが、『黒虎一家』の裏切りで爆死してしまい、それ以降は、このグループも本家からは縁遠くなっているんです……」


 現在、グループをまとめているらしい男は過去を思い出し、正座したまま泣きそうである。


 うっ……。爆死ってあれの事だよなぁ……。あれは、こっちも殺らないと被害出ていたからしかたないと思っているのだけど……。


 リューは『蒼亀組』を助ける為に、館ごと『赤竜会』の精鋭部隊を吹き飛ばした件を思い出して内心弁解する。


「でも、君達はすでに帝国からやってきている組織とぶつかっているんでしょ? 本家に報告はしていないの?」


 リューは一応、男達に同情する様子で詳しい内容を聞く。


「もちろん、何度か使者を出しましたよ。すでにこっちも死人が出ていますから。でも、手紙だけ受け取ってあとは梨の飛礫です……。あんたらには悪い事をしたと思いますよ。だけど、うちも『黒虎一家』や帝国の『吠え猛る金獣』から縄張りを守るのに必死だったんですよ。もう勘弁してください!」


 ボコボコにされた男達は土下座をしてリュー達に詫びを入れる。


 どうやら、リュー達が敵対している組織の関係者ではないとわかったからだろう。


 縄張りを取られる恐れだけはないと判断し、恥を忍んで頭を下げたのだ。


「今回は大目に見てもいいよ。その代わり、君達を裏切ったここの領主の動向を知りたいのだけど?」


「あの糞野郎の事ですか? それならいくらでも!」


 男はどうやら自分達を倒したリュー達が、ここの領主の敵らしい事がわかると、協力を申し出るのであった。



 リュー達は意外な収穫を得て、最終目的地であるシバイン元侯爵の領都に改めて向かう事にした。


「『赤竜会』って、シバイン元侯爵とズブズブの関係だと思っていたから、完全な帝国派なのかと思っていたけど、どうやら今は肩身の狭い状態になっているみたいだね」


 馬車内でリューがリーン達に意外な状況になっている事に驚きの声を漏らした。


「もしかしたら、将来を背負う組織の幹部候補達を爆発で一気に沢山失ったから、シバイン、もしくは帝国からも戦力として不十分と判断され、縁を切られた可能性があるわね」


 リューの言葉に、リーンはそう推測する。


「自分もその可能性を考えました。ただでさえ、『黒虎一家』と泥沼の抗争に入って大分弱っていたみたいですし」


 スードも二人に同意して、『赤竜会』の現在の状況を指摘した。


「これは、今回の暗殺計画、『赤竜会』をこちらに引き込めれば、意外に情報収集も楽かもしれないね」


 リューは笑顔でとんでもない事を口にする。


『赤竜会』を弱らせる原因を作った張本人だからだ。


 まあ、表向きは『黒虎一家』からの情報を基に『蒼亀組』が罠を仕掛け、『赤竜会』で一番の武闘派で、組織のナンバー3であったゴートンと組織の幹部候補からなる精鋭部隊を爆殺した事になっているから、リュー達は部外者という事になってはいる。


 もちろん、『竜星組』としては『蒼亀組』の同盟組織として、『赤竜会』とは敵対しているので、そういう意味では健全? な関係ではあるのだが……。


「呆れた。確かにうちは、直接的に関わっていた事にはなっていないけど、それでも相手は『赤竜会』よ? さすがに『竜星組』と手を結ぶとは思えないわ」


 リーンもリューの大胆な提案に驚く。


「うーん……、それはどうかな? 敵である『蒼亀組』の同盟者ではあるわけだけど、直接的にはぶつかった事が一度もないから、恨みという意味では怨恨は全くないと思うんだよね。だから、僕達が手を差し伸べたら疑いつつもこの手を掴んでくると思う。まあ、結果的に彼らを嵌める事にはなるかもしれないけど」


 リューは悪い笑みを浮かべる。


「主、悪辣過ぎます……」


 スードもリューのこの提案には、苦笑いするしかない。


「人聞きが悪いなぁ。裏稼業の人間は、メンツが大事な生き物だからね。舐められたら終わりだから。その顔を立てる形で協力を申し出るだけじゃない。表だって騙すわけじゃないよ?」


 あくまでこちらに乗ってきたら、あちらの責任とばかりに答える。


 そもそも、リューは『赤竜会』に、ほぼ同情していない。


 というのも、過去に『蒼亀組』を滅ぼして、『竜星組』の縄張りである王都に手を出そうとしていた事を忘れていないからだ。


 それに『赤竜会』の会長であるレッドラは健在だし、『赤竜会』は帝国と繋がっている可能性は以前から疑われていた。


 実際、繋がっていたようなので、今の現状は自業自得とも言えるのである。


「リューの言う通り、どっちを選択するのかはあちら次第だものね」


 リーンもリューの悪だくみには慣れているから、スードと違って同意するのも早い。


 『赤竜会』にしたら、黙って帝国裏社会の組織『吠え猛る金獣』に飲み込まれるか、それとも裏切ったシバイン元侯爵と派閥貴族達に一矢報いてメンツを保ち、生き残りの為に最後まで戦うかの選択であり、そこに手を差し伸べるのがクレストリア王国側の『竜星組』という事になる。


 もちろん、リューの独断なので、『赤竜会』が散る為の舞台を用意するという約束しかできないのではあるが……。



 こうして、リューはいろんな思惑を巡らしつつ、日中は馬車を飛ばしてシバイン元侯爵の領都を目指すのであった。

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