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【書籍化&コミカライズ】裏稼業転生~元極道が家族の為に領地発展させますが何か?~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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第700話 新たな部下達ですが何か?

 急速に悪化していた王都の治安は、表向きには王国騎士団と警備隊が動いたことによって回復しつつあった。


 実際のところは『王都裏社会連合』と『屍黒』の抗争終結がきっかけであるが、抗争を大目に見てもらい、事後処理も任せた立場としては、表向きな手柄の一つや二つ国に持っていってもらっても構わないところである。


 それに、裏社会の者にとって、そういった表向きの名声はお金にならない。


 有名になった悪党は、悪名を欲しがる者達に命を狙われるだけだから、必要がないのだ。


 それだけに、お互いがお互いの利益の為に、欲しいものを得るということで、話し合いはついていた。


 今回のことで、王都周辺の『屍黒』の縄張りに入っていた地方貴族達は王家から厳重注意を受けて、領内の『広域危険団体』を駆逐することを強いられた。


 そのことで裏での収入源を断たれた者達もいたが、文句は言えない。


 当然ながら、『屍黒』と色々と通じていたことを、王家に知られた形だからだ。


 彼らはそれこそ元は王家支持の貴族だったのだが、『屍黒』の元である『屍』といつの間にか通じて甘い蜜を吸ったことで、どこかの公爵派閥に傾いていたことから、立場が微妙になっている。


 だから、王家に弱みを握られたうえで許されたので、この貴族達は改めて王家の忠誠を誓い直したのであった。


 今回の大抗争によって、『屍黒』は消滅、そして、組織の兵隊も『竜星組』等の情報提供により、ほとんどが捕縛され、処断される予定になっている。


 逃亡を図った者も全国に指名手配されることになったことから、国による『広域危険団体』に指定されることの恐ろしさを知る結果になった。


 つまり、『屍黒』のように無法無謀な宣戦布告をして、王都を抗争の舞台にしようとすれば、国を挙げて潰すという意思表示であり、この結果には全国の裏社会関係者も震撼したことだろう。


 提案者であるリューも、一歩間違えれば明日は我が身なので、王家にはこのカードはあまり切ってほしくないのが本音であったほどだ。


 そして、この『屍黒』が短期間で壊滅したことで、『屍人会』『亡屍会』に牽制できたことも大きい。


『屍黒』は、裏ボスであったリリス・ムーマの証言で、エラインダー公爵とは繋がりを断って独立していたらしいことは裏が取れている。


 というのも、元ボスであるバンスカーはエラインダー公爵とは対等な状態で協力体制をとっていたらしく、バンスカーの死後、すぐにエラインダー公爵が、『屍人会』『亡屍会』と立て続けに自分の傘下にしてしまったので、その用意周到さにブラックとリリス・ムーマは不信感を持ったらしい。


 ブラックはどうするか悩んだというが、リリス・ムーマが、


「この機会に独立して、あなたが、ボス(バンスカー)のあとを継げば?」


 と助言したらしい。


 リューなどはそれを聞いて、『傾国の美女』を想像せずにはいられなかったが、それは口にしなかった。


 リリス・ムーマは、大の男なら口説かずにはいられないだろう程の色気漂う魅力的な女性だし、何より淫魔の血を引いているから、異性を狂わせずにはいられないだろう。


 そんな女に、助言と称してそそのかされたら、男は言う通りに決断してしまっても仕方がない、と想像したのである。


「リリスは自分が生きる為に必死だっただけなのだろうけど、ブラックが結果的にエラインダー公爵の影響下に入らず、独立を選んでくれたのは不幸中の幸いだったね」


 リューは一大組織のボスの判断を狂わせたリリスに感謝するのであった。


「それで、そのリリスはルチーナに預けたけど、しっかり仕事できているのかしら?」


 リーンが、リリス・ムーマの今後の人生を心配していた。


 珍しいことではあるが、どうやら、受け入れた身としては、責任は感じているらしい。


「ルチーナの部下から報告があったけど、うちの傘下の高級クラブで働くことにしたらしいよ。元々、バンスカーの大幹部の一人であったブラックを、虜にする程の素質の持ち主だからね。すぐに頭角を現すんじゃないかな」


 リューは前世でそういった商売の世話をしたこともあったので、水商売の女性は多く見てきている。


 だから、リリス・ムーマが近いうちに、夜の女王と呼ばれる時が来るのではないかと、想像するのであった。


「それならいいのだけど……。あとはクーロンがカミーザおじさんのところで化けるかどうかかしら?」


「はははっ、それは問題ないよ。クーロンは元々ブラックの下で大幹部筆頭を務める程の人物だよ? ……まあ、おじいちゃんに引き合わせるなり、卒倒しそうになったのには驚いたけどね」


 リューは祖父カミーザに引き渡す為に先日、『次元回廊』で連れて行った時のことを思い出して苦笑する。


「カミーザおじさんに、心の底まで恐怖を植え付けられていたみたいね。現場では顔を見ていないはずなのに、雰囲気を感じただけでその時の記憶が呼び起こされたみたいだし」


 リーンもその現場にいたので、思い出して真面目に分析して答えた。


「それはあるかもしれないね。まあ、リリスもクーロンもうちの一員としてこれからしっかり働いてくれることに期待しようか」


 リューは笑って、リーンに答える。


 二人は馬車に揺られて、王立学園に登校するのであった。



 高級クラブの一室。


「リリスちゃん、好きな男とかいるの?」


 高級なお酒を空けて、新人のホステスを喜ばせていたお金持ちの男が、好みの男性を聞いていた。


「いますよ」


 リリスは艶やかな笑みを浮かべて、即答する。


「俺じゃないよね? その男に嫉妬しちゃうなぁ」


「うふふ。まだ、十三歳の男の子なんだけど、優しくて強くて懐の深い素敵な子なんですよ」


「十三歳? なんだ、身内の話かい? さすがにそれは俺でも勝てないな! わははっ! ──二番目の男にはなりたいから、高いのをまた、一本入れようかな!」


 常連客は、この新入りながら、堂々と振舞っているリリスの返答が気に入ったのか、また、高級酒を一本入れる。


「ありがとう、会長さん♪」


 リリスは、その魅惑的な笑顔とそれに反して明るく純粋そうな反応でお客を虜にする。


「姐さん、あのリリス嬢は、すぐにこの店のナンバーワンになりますぜ? お客に対する対応が見事なんですよ!」


 お店の店長が、様子を見に来たルチーナにリリス・ムーマをそう評価する。


「だろうね。──それにしても、若に惚れ込んじまったか。まあ、うちらはみんな若の為なら命も捧げる口だからねぇ。あははっ!」


 ルチーナは、リリス・ムーマの接客ぶりを見て満足すると、リューを敬愛する部下がまた一人増えたことに満足するのであった。

ここまで読んで頂きありがとうございます。


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