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6話 神童ですが何か?

 リューとセバスチャンでランドマーク家の財政見直しが始まる中、1人の男性が訪問してきた。


 黒髪に黒の瞳、この世界では貴重な眼鏡をかけ、背が高く細めの人だった。


 先日、アポイントを取ったサイテン教授という人だ。

 確か人物『鑑定』が出来る凄く頭の良い先生のはずだった。


「よくぞ来てくれました、サイテン先生、ありがとうございます」


「いえ、ランドマーク家のみなさんにはお世話になってますから」


 当主のファーザに物腰の柔らかい優しい笑顔を向けた。


「今日はこの三番目の息子、リューのスキル鑑定をお願いしたいのです」


 他の兄達と並んで立っていたリューを手繰り寄せながらファーザは言った。


「先日、洗礼の儀でしたね」


「ええ、神父様も見た事がないスキルとかで。家の者達も初めて聞くスキルに困惑しております。」


「神父様でもですか?それは珍しい……。では鑑定してみましょう。リュー君、鑑定してもいいかな?」


 鑑定にも礼儀があるようだ。

 生まれた時から発動しっぱなしのリューには初耳だった、と言っても人物鑑定はできないのだが……。


「はい」


 答えを聞くと、サイテンは鑑定を始める。


「ああ、このゴクドー?ですね。確かにこれは見聞きした事が無い。王都でも報告がないスキルですね。実に興味深い」


「……」


 リューは大人しくじっとしている。

 だが、確かに鑑定をされると丸裸になって覗き見られてる気分になる。


「『鑑定』による『分析』を行いますね」


 鑑定に付随する能力だろうか?リューも『鑑定』を持つ者として興味があった。


「……これは驚いた。このスキル、私のA+鑑定では、分析がほとんどできません。つまりそれは、この『ゴクドー』が、Sランク相当の特殊スキルという事です。1つ解かったのは『ゴクドー』が道を極める為のスキルという抽象的な事だけですね」


「……道を極める?それは一体……」


 ファーザが素直な疑問をサイテンにぶつける。


「他のスキルに影響を与えるタイプのもののようですが……、『器用貧乏』はともかく、『鑑定』に何かしら影響があるのかも……。多分、王国でも初めて確認されたスキルなので、こればかりは今後も経過観察していくしかないかと」


「……そうですか、サイテン先生でも解からないのであれば仕方がない。リュー、今後も色んな事で努力し続けなさい、そうしてれば、自ずとわかる」


 ファーザがリューの頭にポンと手を乗せて言った。


「はい!」


 やはり『ゴクドー』は極道の事なんだろう、道を極めると書いて極道だ、だがどういう力があるのか元極道の自分でも想像がつかない、父が言う通り、頑張っていれば自ずと何かわかってくるのかもしれないと思うリューだった。


 サイテンに一緒に食事はどうかとファーザが誘ったが、丁重に断られた。

 この事の報告書をまとめたいそうだ。


「ところで、リュー君。君はいつから『鑑定』を持っている事に気づき、使い始めたのかな?君の『鑑定』は多分もうすぐスキルアップします、使用条件がもうすぐ達成されるはずだから」


「そうなんですか!?使い始めたのは、物心ついた時だと思います」


「そうかい、やっぱり。鑑定は最初のスキルアップが何年も掛かるのだけど、その歳でアップするのは稀有だからね。普通は六歳で教えられてから使い始めるので何年もかけて条件を満たすから不思議だと思ったんだ。ファーザさん、お子さんは凄い子ですね」


 リューから目を離すと父親に称賛した。


「この子は、神童なんです」


 自慢気に言うファーザ。


「人に言うのはやめてよ、お父さん!」


 恥ずかしくてリューが止める。


「四歳で読み書きができるようになりましたからね。リューは頭が良いんですよ」


 ファーザがリューの頭をなでながらまた自慢する。


「それは凄い!……私が聞く神童でも、六歳の洗礼の儀を過ぎてからスキルを使用して短時間で覚えたという話がある程度ですよ!スキルと関係なく覚えているとは、実に素晴らしい……。正しく神童であることは、私が保証致します」


 サイテンが素直に驚いてみせた。


「そうなんですよ!この子はスキルに関係なく学校に行かせようかとも家族で話し合ってまして……」


 リューの自慢について止まらないファーザであった。

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