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第592話 イベントは続きますが何か?

 サバイバル合宿の一週間は、負傷者こそ多くは出たものの、誰も死ぬ事なく終える事が出来た。


 ランドマーク領兵の管理下だったからこその結果だが、それでも予想外の事も起きた事を考えると上出来であろう。


 まあ、最終日の生徒達、護衛の騎士達は全員劇画タッチのシリアスな表情になっていた事を除けば、この合宿はみんなを成長させる一助になったと言っていい。


「みんないい表情になったね」


 リューはみんなの表情を確認しながら、『次元回廊』でランドマーク本領から王都に全員を送り届ける。


 そして、ランドマークビル前で現地解散となるのであった。


「はぁー、疲れたー! 家に帰ったらお風呂入りたい!」


「わかる、清潔魔法だと疲れ取れないよな」


「顔がやけに疲れた気がするのは気のせいかしら?」


「王都に帰ってきた瞬間、緊張が解けてどっと疲れが!」


「うちの馬車が迎えに来てる! じゃあ、先に帰るよ。みんな、休み明けに学校で!」


 生徒達は思い思いにサバイバル合宿の感想を漏らしながら、それぞれが帰路に就く。


 それはランス達も一緒で、


「みんな、また、休み明けの学校で」


 とリズ王女をはじめ、笑顔でそう答えると、リュー達に手を振って帰っていくのであった。


「ふぅー……。一大学園行事がようやく終わったね……」


 リューは傍にいるリーンにそう告げるとため息を吐く。


 リューも『次元回廊』を多用したので疲れているのだ。


 だから、マジック収納から、魔力回復ポーションを取り出すと、一気に数本飲み干して魔力の回復に努めた。


「はぁ~。やっぱり、魔力の大きな消費は精神的気力の減退が大きいね」


 リューはようやく魔力が回復すると気力を取り戻した。


「お疲れ様。でも、この夏休みの最大のイベントがまだ残っているんだからね?」


 リーンはリューを労いつつも、大事な事が残っている事を告げる。


「うん、もちろん、わかっているよ!」


 リューは当然とばかりに返事をした。


 それは、長男タウロの結婚式である。


 忘れるわけがない一大イベントだ。


「ランドマーク本領ではすでに準備を始めているから、僕も収穫前の暑い時期に式を行うお兄ちゃん達を労う為に、氷の彫刻を沢山用意しないとね」


 リューはそう言うと、リーンの手を取り、『次元回廊』でマイスタの街に移動する。


 二人には休んでいる暇がないという事だ。



 結婚式まであと三日。


 リューとリーンはマイスタの街の職人達と協力して、ランドマーク家の人々と新郎新婦の氷の彫刻を作る事にしたのであった。


 ちなみにリューは母セシルの教育のお陰で魔力操作は土魔法についてのみ、とても精密に操作する事が出来るから、石像などはとても写実的に作れるのだが、氷魔法となると事情が異なってくる。


 それはリューはスキルとして『器用貧乏』という能力のお陰でいろんな能力を使用できるが、その反面、特殊系能力については使用が難しい。


 例えば雷魔法などは、勇者などが使用するもので、本来はリューでは使えないものである。


 しかし、現在、それも使用していた。


 それはなぜかというと、雷属性が付与されているドス『異世雷光いせのらいこう』を使用している事で雷属性の魔力の流れを体で体感できたからだ。


 そのお陰で『器用貧乏』がそれを取り入れる事が出来たのだ。


 もちろん、『器用貧乏』だから、普通なら初歩までしか使えないのだが、『ゴクドー』によって、限界突破も可能にした。


 ただし、普通は覚えられない事を可能にしているから、精密な操作までとなるとさすがのリューも現在は無理である。


 それは氷魔法にも言える事で、リューは元々使用できなかった氷魔法を強引に使用できるようにしている分、繊細な部分まで作り込むところまで至っていないから、当人は氷魔法で大きな人型の氷の塊を大まかに作り、マイスタの彫刻職人達が、肖像画を元に、繊細な仕上げを行っていくという作業で製作していた。


 そして、完成したものはすぐにリューがマジック収納に納めていく。


 そんな中で力を入れたのは、当然ながら新郎新婦像である。


 肖像画はもちろんの事、リューの記憶も加えて職人にああでもない、こうでもないと伝えてはやり直しを繰り返していた。


「リュー、職人さんにも限界があるんだから、あまり、拘り過ぎない方がいいわよ」


 とリーンが注意するほどであった。


「でも、家族の一生に一度の晴れ舞台だから良いものを贈りたいじゃない?」


 リューも家族の事となると、こだわりが強い。


「……それはわかるけどね?」


 リーンも同じ家族の一員として、リューの言う事はよくわかるから、これ以上は注意もできないのであった。


 それに職人達も、リューが自分達の事をよく理解してくれる職人気質がある人物だとよく知っているから、拘りという事については嫌がる事なく賛同し、連日遅くまで協力する。


 結局、三日間、リューは彫刻師の職人達とほとんどの時間を一緒に過ごして、氷の彫刻を完成させたのであった。


「若、どうだい! これなら若の家族も喜んでくれるでしょう!」


 職人達も誇らしげに完成した氷の彫刻を見上げる。


「うん! みんなありがとう!」


 リューはその出来に満足して応じると、完成した新郎新婦の氷の彫刻を、誇らしげに見つめたが、溶けないようにと急いでマジック収納に納めた。


「いよいよ、明日ね、リュー」


 リーンがリューの肩に手を置いて言う。


「うん。最高のものにしないとね!」


 リューはいよいよ明日となった自慢の兄の結婚式を楽しみにするのであった。

ここまで読んで頂きありがとうございます。


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そして、4巻も5月20日の今日から発売です。


よろしくお願いします!


書き下ろしSSなどもありますので、お楽しみに!


よろしければ、各書店でお求め頂けると幸いです!


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これからも、書籍共々、よろしくお願い致します。<(*_ _)>

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