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57話 オーガ討伐ですが何か?

 夕暮れ時。


 リュー達とオーガの戦いは、結論から言うと、引き分けに近い敗北だった。


 ぶっつけ本番のタウロ達はチームワークは劣っていたが、その分能力でカバーしつつ闘った。


 リューとリーンは見事なコンビネーションだったが、相手のオーガが歴戦の戦士だったのかこれが手強く引き分けがやっとであった。


 両者決め手に欠け長引いた結果、カミーザがタウロ達の方のオーガの背後から気配も無く近づくと簡単に首を刎ねて止めを刺した。


 時間切れと割って入ったのだ。


 もう一方のオーガは不利と悟り背中を見せた、そこにリーンの矢とタウロの風魔法で負傷させて動きを止めると、そこに追いすがったリューが止めを刺した。


「今回のオーガ強かった……」


 リューが肩で息をしなが感想を漏らした。


 リーンも頷くと、


「確かに、このオーガは強かったわね。魔石、取っておきましょう」


 と提案した。


 リューは頷くとオーガの胸から魔石を取り出す、角もついでに回収しておいた、材料として売れるからだ。


「ほら、もう暗くなるからとっとと帰るぞ」


 カミーザが五人を促す。


 シーマが疲れて座り込んでいたが、リューがポーションを飲ませて回復させると全員で帰途に就くのであった。



 それからというもの、夏休みの間ずっと、タウロ、ジーロ、シーマの三人はリュー達の特訓と称した魔物討伐を連日繰り返した。


 短い期間だったが魔物との命のやり取りは3人に心境の変化を与え、剣技にも無駄のない実戦的な鋭さが増した。

 特に敗北から学ぶことが多く、死を覚悟する場面もあったので、学園生活でトップを歩んでる3人のどこかにあった慢心も全て取り除かれた。


「あ、お兄ちゃん達、学校に戻る前に、そのシリアスな顔は元に戻さないとね」


 リューが、三人の場違いな劇画タッチな表情を指摘した。


「そうね、その顔つきだと学校できっと浮いちゃうわ」


 リーンも指摘するとカミーザもそこに混ざって笑うのだった。




 夏休みが明け、タウロ達は学校に戻っていった。

 短期間だがそれなりに成長できた筈だ。


 リューとリーンはそれを見送るとまた、日常に戻った。

 日常といっても昼から魔境の森に入って魔物を狩る事に変わりはない。

 今日も魔境の森入りして先に入っていった祖父カミーザをリーンに探して貰おうしたら森の一部が吹き飛んだ。


「あ、いた」


 二人はすぐにカミーザの仕業とわかってその場所に向かうと案の定だった。

 複数のオーガの死体が丸コゲになって転がっていた。


「あれ?オーガを仕留めてたんだね。……おじいちゃんいつもオーガを魔法で仕留めてるけどなんで?」


 リューがふと疑問に思ったので聞いてみた。


「そりゃあ、物理耐性があって厄介だからじゃよ。その反面、魔法耐性が無いから、手っ取り早く倒すなら魔法一択じゃわい。魔法の弱点がなかったら、即、Bランク帯討伐魔物になってるだろうからな」


 知らなかったのか?という顔でカミーザは答えた。


「えー!?これまで必死に物理攻撃で戦っていたボク達はなんだったのさ!」


「そーよ、カミーザおじさん!私達やタウロ達の努力はなんだったのよ!」


 リューとリーンはカミーザに怒った。


「なんじゃ、そうだったのか。剣で討伐する事にこだわってるのかと思っておったぞ?」


 カミーザは怒られるのは心外とばかりに呆れてみせた。



 カミーザから教えて貰った弱点を参考にオーガを探して二人はまた、挑戦してみた。


 剣ではあれほどダメージを与えるのも大変だったオーガが二人が魔法の連携で攻撃すると容易にダメージを与える事が出来た。


 祖父カミーザの様に一撃とはいかないが、ダメージを蓄積させていくと、これまでの苦労が嘘の様だった。

 距離を取られて魔法の攻撃を受け続けたオーガは「ギィー!」という絶叫と共に倒れた。


「……こんなに簡単なものだったのか」


 リューは呆れた。

 もちろんリーンとのコンビネーションだからこそ、敵に反撃らしい反撃を受けずに倒せたのだが、それにしても耐性の有無でここまで差があるのかとリューは反省した。


 これからは弱点を積極的にみつけて攻撃する必要がある、卑怯とは言ってられないと思うリューであった。


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