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54話 知名度が上がってますが何か?

 開発から半月が経ち、ランドマーク製『リヤカー』は農村部でじわじわと、ランドマーク製『乗用馬車1号』(リューの名付けたものはファーザに却下された)は、都市部で貴族やお金持ちに口コミでじわじわと売れ始めていた。


『乗用馬車1号』は乗らないと良さがわからないので、その外観に頼るしかなかったが、明らかにこれまでの馬車とは形が違うので街を走っていると目を引いた。

 そして、商品名の頭にランドマーク製を付けた。

 ランドマーク家の名前は「黒い粉」で有名の『コーヒー』でブランド力が高まりつつあったので貴族達の間では、


「あの『コーヒー』のランドマークが作った馬車?ほほう、それは興味深いですな」


 と、新しい物好きの興味を引いた。


 まだ、この『乗用馬車1号』の入手がしづらいなか、入手できた一部の貴族の間では、この革新的な馬車の乗車会が行われたとか。


 というか、つまるところ、一足先に購入できた貴族の自慢大会なのだが、この個人的に行ってくれる乗車会のおかげで確実に貴族に浸透していく事になる。


 取引を任せている商会を通じずに直接、ランドマーク家に注文の手紙を送ってくる貴族もおり、一時、その対応に苦心する事になった。


 終いには、直接使者を送ってきた近隣の貴族もいた。

 どうしても、早く手に入れたいと懇願されたが、それでOKを出すと今後もっと混乱する事が予想される。

 なので、予約の順番があるのでお待ち下さい、と丁寧にお断りする事になった。



 とはいえ、贔屓はやはりある。

 元寄り親であるスゴエラ侯爵の元には頼まれていないが真っ先に贈呈したし、長男のタウロの交際相手エリス嬢の実家、ベイブリッジ伯爵家にも優先的に回した。


 ここで迷うのが、王家だ。

 王家には昇爵の件や、ジーロの推薦の件など何かと恩義がある。

 だが、こちらから頼まれてもいないのに贈っていいものかとファーザは思った。


 さらには王都までが遠すぎる。


 献上するとなるとまた、直接、自分が行かないといけないだろう。

 贈る為に往復一か月半は遠すぎる。

 その間、またランドマーク家を留守にするにはここのところ色々あり過ぎた。

 今は、離れるわけにはいかない。


 ファーザはリューにそう漏らしたのだが、リューがひとつの案を出してくれた。

 それは、王家に献上できるほどの物ではありません、を口癖に近隣の貴族達に謙遜して回る事だった。


 文字通り恐れ多くて気軽に贈れません、という形をとったのだ。


 数か月後、そのせいなのかどうかはわからないが、王家御用達の王都の大商会から注文が入る事になり、ファーザが直接王都に行く心配は無くなるのだった。




 夏、タウロとジーロそして、シーマが夏休みで一時帰宅してきた。


 シーマはすっかりタウロとジーロの従者に収まっている。


 この三人、学校での成績が優秀でずっと上位を守っていた。


 学校ではタウロはその優秀さから上級貴族が占める生徒会に異例の推薦がされ、入る事になった。


 さすがにシーマは平民なので駄目なようだがタウロの従者として出入りしていて結果的に仕事を手伝っているので、周囲からは関係者として映っている様だ。


 そこに、主席合格で入ってきた弟ジーロの登場である、学校中はあのタウロ・ランドマークの弟が入学してきたと騒ぎになった。

 とても控え目でいて、気が利き、剣も魔法もずば抜けているのだから羨望の的になった。

 それでいて、努力を惜しまず、放課後も勉強し剣を振る姿を生徒達はよく見かけていたので、嫉妬される前に脱帽する者が多かった。


 ランドマーク家はスゴエラの街の学校では、敬意を持って、迎えられている様だ。


 それを聞いて、リューは嬉しかった、自慢の兄達だ。


 シーマが、また、平民の中で人気らしく、気さくでいて、ランドマーク家への忠誠心が高いと評価されていて、貴族に仕える者や、これからそうしたい者にとっての手本になっているそうだ。

 普段のシーマを知ってるリューにとっては、想像できない話だったが、タウロが言うのだから事実なんだろう。


 どちらにせよ、みんな頑張っている。


 リューも一年半後にはどこかの学校に入学するのだから、ランドマーク家の看板を背負う事になる。


前世で組の看板を守ったようにランドマーク家の看板に泥を塗らない様に務めを果たす事が大事だと思うリューだった。

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