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【8巻予約開始!】裏稼業転生~元極道が家族の為に領地発展させますが何か?~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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第515話 最終打ち合わせですが何か?

 生徒会二年生主催のイベント、総合武術大会は一年生から四年生までの参加が予定されている。


 上級生が圧倒的有利と思える大会であるが、強力な魔法の回数制限や一部能力に対する制限とハンデを付ける事などで多少の差は埋められる事になっている。


 中には剣術面で個人の能力に開きが出るという指摘もあるが、それは当然あって然るべき事で、その差を埋める努力は今後してもらうというのが、学園として生徒に求めるものであった。


 さらに、一番の問題点となるであろう安全性も考慮し、王国が誇る現役の宮廷魔法士団による結界や、一流の魔道具等の導入などでそれらは十二分に保たれていると学園長は判断し、最終的な許可を出しそうだ。


 出しそうだというのは、一部参加者が他の生徒と比べて能力が違い過ぎるのではないかという指摘だ。


 それは最年少男爵に叙爵された一年生のエクス・カリバール男爵、二年生のリュー・ミナトミュラー男爵、同二年生のリーン、王女エリザベス・クレストリア、四年生のギレール・アタマンなどである。


 これらの生徒が、他の生徒より能力が秀でているから結果が見えているのではないかと匿名の指摘があったのだが、それらも含めての大会だ。


 優勝候補と呼ばれる生徒がいるのは当然だし、個人の差が出るのも必然である。


 大会ルールでそれらの能力の上限をもっと規制して平等に扱えという意見はあるが、それは努力を否定する事にもなりかねない。


 弱ければ努力して強くなるしかないのだ。


 その為に学園は存在し、努力を推奨する立場だから、結果云々ではなくその過程を評価するものである。


 だから初戦で敗退しても、内容が良ければ学園も評価するし、上位まで勝ち進んでもその内容が評価できなければ学園もそれなりの点数を付ける事になるだろう。


 この総合武術大会は、上級生有利な大会ではあるが、ようは大会に意欲的に参加し、自分の限界に挑戦する姿を見せる者こそが評価されるという事である。


 その意義を理解している利口な生徒は勝ち負けに関係なく、自分の成績の上下で判断せず、積極的に参加する者もいた。


 だが思春期の生徒にとって、参加するならいい格好を見せたい、でも、勝てないとわかっているから参加しない、と思う者も当然いる。


 だがそれは自分で限界を作ってしまっており、自分の殻から抜け出さない消極性であったから、学園は残念ながらそんな生徒は評価できないだろう。


 しかし、意外にも学園の生徒は積極的な者が多かった。


 それはそうだろう、この王立学園はそもそも王国内の優秀な者が集まって来る場所である。


 努力を怠る者はいないし、その努力を信じているからこそこれまで励んでいるのだ。


 努力が将来の自分を決める事をよく理解する彼らが、この大会の意義を聞いて、参加しないわけがない。


 ただし、四年生のように就職活動をしている者にとっては事情が異なるだろうから、参加者は少ないのは仕方がないだろう。


 しかし、その中で先に名が挙がったギレール・アタマンの名前が参加者名簿にあった。


 ちなみに、ギレール・アタマンとは裏社会の組織『上弦の闇』を使ってリューの領都を燃やそうとして失敗し、リューに弱みを握られたお馬鹿さんである。


「これは優勝最有力候補の一人だね……」


 リューは生徒会室で、二年生役員の面々であるリーン、王女リズ、スード、ナジン、シズと共に参加者の整理をしている時にその名前に気づいてそう口にした。


「アタマン先輩? ──そんな事より、生徒会役員は裏方に回ってくれと学園長にお願いされたけどどうするの?」


 リーンはギレール・アタマンに全く興味がないのか、自分達の参加権利を気にした。


「うーん、どうしようか? 僕は参加したいんだけどなぁ。学園長はしっかり大会運営をしながらできるならと指摘されたから、そうなると返答が難しいよね」


 リューは苦笑して応じた。


「このメンバー全員が参加するのは無理だと思います。やはり、生徒会代表として二人ほど参加する形が良いと思うわ」


 王女リズが現実的な案を口にする。


「うっ……。そうだよね……」


 リューも王女リズの意見にはぐうの音も出ず、頷くしかない。


「じゃあ、自分は裏方に回ろう。シズはどうする?」


 ナジンが意外にも進んで生徒会役員としての仕事を選んだ。


「……ナジン君がそう言うなら私もそうする」


 シズは本当なら女子部門に参加するか迷っていたのだが、ナジンの言葉で裏方に回る決意をした。


「自分は参加したいところですが……、生徒会代表としては荷が重いです」


 スードは主であるリューやリーンがいるから、我を通して参加したいとは言えない。


「僕とリーンが参加すると学園長が安全性の確保が難しいとか言っていたんだよね……。宮廷魔法士団の上級魔術師のみなさんは大丈夫だと言ってくれたんだけどなぁ」


 リューは参加したそうだったが、学園長との話し合いで前回の魔術大会で会場の破壊や結界を吹き飛ばした実績があるから釘を刺されたらしく、迷っていた。


 宮廷魔法士団がリューの参加も大丈夫と許可を出したのは、前回の惨状を知らないからだろう事はリューとリーン以外のメンバーは容易に想像がつく。


「私は参加したい。もちろん、混合部門の方でね!」


 リーンは学園長の心配を他所に意志は固い。


「うーん……。それじゃあ、混合部門にリーン、女子部門にリズが二年生生徒会代表として参加で良いかな? 僕は今回も、特別試合という形で大会の最後に試合をさせてもらおうかな」


「え? 主が出ないんですか!?」


 一番出たそうにしていたリューが出場を断念するとは思っていなかったので、スードは驚く。


 リーン達もそれは同じであった。


「リューが出ないなら、私も出ないわよ……。従者が主より出しゃばるわけにいかないわ」


 リーンはリューが出場断念すると聞いて一気にやる気が萎む。


「リーンは参加しなよ。でも、主催者である生徒会代表だから恥ずかしくない試合をしてね」


 リューはリーンが楽しみにしていたのを知っているから、参加を勧めた。


「……リュー君。特別試合は誰とする気なのかしら? その言い方だと相手はリーンさんではないですよね?」


 王女リズはリューがしれっと口にした特別試合とその対戦相手に対する疑問を気にした。


「対戦相手? ずっと彼が気になっていたからね。大会終了後の特別試合なら、施設をしっかり利用できるかなと」


 リューは王女リズに意味ありげに答えると、笑みを浮かべるのであった。

ここまで読んで頂きありがとうございます。


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あとお手数ですが、★の評価、ブクマなどして頂けると、もの凄く励みになります。


これからも、書籍共々、よろしくお願い致します。<(*_ _)>

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