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5話 勉強中ですが何か?

 リューの母親であるセシルが、息子達3人を書斎の椅子に座らせると授業を始めた。


「じゃあ、タウロとジーロは昨日の課題の続きを、リューは読み書きはできるから、それは飛ばして、簡単な数字から教えるわね」


「「「はい!」」」


 3人とも元気よく返事をする。


 リューはもちろん数字どころか計算もできる。

 というか前世の職業は元裏の金貸し屋だ、金勘定に関しては誰よりも早い。


 基本から教えようと、リゴーの実を用意して数を覚えさせようとしてた母親セシルだったが、数を数えるどころか足し算もすらすら答えるのには、上の兄達も一緒になって驚いた。


「ファーザが言ってた通り、リューは神童かも知れないわ……!」


「凄いやリュー!」


「天才ってやつだね!」


 兄達も一緒になって、弟の頭の良さに手放しで喜んだ。

 嫉妬や妬みは全くなく、そこにあるのは、いつも優しい兄達の姿だった。


「……うーん。じゃあ、何を教えようかしら、……そうね、歴史を学びましょう」


「歴史!?」


 家族に褒められ有頂天になっていたリューだったが、歴史という言葉に気分は一転した。

 前世で苦手な科目だったからだ。

 特に世界史で出てくる横文字は頭に入らなかった。

 それにこちらは前世の知識とは全く関係ない。

 これこそ、「0」から学ばないといけないものである。


 嫌な顔してたのだろう、母親のセシルはそれに気づき、


「私が教えられる事もちゃんとあるようね」


 と、いたずらっぽく笑うのであった。




 それからは、リューはクレストリア王国の歴史とそこに仕えるランドマーク騎士爵家の歴史を集中的にやらさられることになった。


 学んだ事を簡単に説明すると、ランドマーク家は厳密にはスゴエラ辺境伯に領土の一部を与えられ、仕える与力である。

 なので寄り親であるスゴエラ辺境伯の危機には駆けつける義務がある。


 ランドマーク家は先代である祖父カミーザ・ランドマークが先の大戦でスゴエラ辺境伯軍の一兵卒として活躍し、その戦功から領地持ちにまで出世したらしい。

 今はその息子でありリューの父であるファーザが引き継ぎ2代目として頑張っている。


 祖父カミーザは今も元気だが、祖母のケイと離れの屋敷で悠々自適な老後生活を送っている。

 老後と言っても、二人ともまだ40代と若々しく元気で、ファーザとセシルを助ける事もしばしばである。


 引退したのは、ただ、貴族のパーティーに呼ばれるのが二人とも嫌だったかららしい。


 お父さん押し付けられたのね……、苦労しただろうな、と思うリューであった。


 体を動かすのが好きなリューには剣の訓練は向いていたが、兄達との実力差を痛感した。

 早くから森に入り、獣を獲っていたリューだったが、剣の扱いは全く違った。


 これが、スキル持ちとの差だろうか?


 長男タウロは、『騎士』のスキル持ちで剣、槍、斧、盾、棒、メイスに適性を持つ優秀職だ。

 次男ジーロは、『僧侶戦士』のスキル持ちで剣、槍、メイス、体術に治癒士の適性を持つ、こちらも優秀職だ。


 この二人がいる限り、ランドマーク家は安泰だろう。


 自分はこの二人のサポートが出来ればいいのだが、まだまだだった。


 いや、何か役に立てるはずだ。

 それを時間をかけてみつけていこうと思ったのだが、それは案外簡単に見つかった。


 それは、お金の管理だった。

 以前からランドマーク家の財政が困窮しているのは知っていた。

 その財政は、一応、当主である父が管理しているのだが、どんぶり勘定だった祖父からの伝統らしく適当だった。


 領民にお金を貸すしのぎ……じゃない、副業も、ざっくりで一応借用書はあるが、帳簿をちゃんとつけておらず、回収は記憶任せだった。


 これでは、ランドマーク家は財政面で破たんすると思ったリューは執事のセバスチャンと協力して帳簿をちゃんと見直す事にした。


 最初、父ファーザが難色を示したが、リューとセバスチャンに理屈でもって説得されると納得するしかなかった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 騎士スキルに武具系の適正しかないってどうなんだ? それも近接武器ばかり
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