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44話 エルフを雇いますが何か?

 このエルフの美少女の名前はリーンというらしい。


 今二人は小料理屋に来ていて、リーンが1人忙しくだが、黙々と食事をしていた。


 それでは話が進まないのでまず、年齢を聞いたが、その回答に驚いた。

 十六、七歳に見えるのだが四十五歳らしい。

 エルフは長命で人間の三倍以上生きるそうだ。

 母セシルから聞いていたが、実際目にすると驚きでしかない。


 次に、なぜ困っていたのかを聞くと、家出同然で住んでいた村から飛び出してきたそうで、お金の持ち合わせも少なく、すぐに使ってしまったそうだ。


 それで空腹の中、街を徘徊していたのだがそこに犬猿の仲であるドワーフが目に入り、店先をみると人手を募集していた。

 リーン本人はドワーフに対して思うところが無かったので、背に腹は代えられない事もあり、扉を叩いたところあの揉め事になったそうだ。


「で、あなたは本当にそのなんとか男爵の子息なのね?」


 食事をし終えたリーンは、落ち着いたのか改めて聞いてきた。


「ランドマーク男爵家の三男です。うちは今、昇爵したばかりで人手不足なんです。リーンさんみたいな優秀なスキルの持ち主は貴重なのでボクの従者になって欲しいです。」


「従者ねぇ……」


 ピンと来ないらしい。


「エルフは高潔な人種なの。仕えるにしてもそれなりに立派な人でないと。リューはいくつなの?」


「九歳です」


「驚いた!本当に人間って早熟ね……。昔あった人間もそうだったけど、エルフの九歳よりしっかりしてるわ!」


 すみません、前世を合わせたらあなたとあんまり年齢は変わりません……!


 とは言えなかったが、


「ありがとうございます」


 とだけ言っておいた。


「それに、リューの親にも会わないと今はうんとは言えないわね」


「そうですね。それでは祖父と父が宿に泊まってるので案内します」


 こうして、エルフのリーンを連れて宿に戻る事になった。




 帰ってきたリューがエルフの美少女を拾ってきた。


 これには祖父カミーザも父ファーザも驚いていたが、


「こちらが祖父のカミーザと父のファーザです。おじいちゃん、お父さん、こちらはリーンさんといって、うちに雇って貰いたい人です」


「「「え?」」」


 リューの紹介にカミーザもファーザもそして、リーンも驚いた。


「リーンとはもしかしてリンドの森の村の村長リンデスの娘のリーンちゃんか?」


 カミーザが知ってるエルフだったのか問いただした。


「そうだよね、父さん?面影があるから私もそう思いました」


 ファーザも知っているのかカミーザの質問に賛同する。


「という事はカミーザおじさんにファーザ君?」


 家出エルフ、リーンも聞き返した。


 これにはリューは蚊帳の外だった。


「三人とも知り合いなの?」


「ワシが冒険者の頃、妻のケイ、ファーザとセシルさんと一緒に立ち寄ったエルフの村で出会った娘さんだよ。あの時は小さいファーザやセシルさんと同じくらいだったが成長したな。それでも長命なエルフだからまだ若いが」


「本当にそうだ。自分だけ老けて不思議だな」


 ファーザも呆気にとられながら目の前のリーンを見つめる。


「……えっとそれでね?」


 リューが仕切り直して経緯とスカウトについて説明し直した。



「それなら、ワシは反対せんぞ?」


「私もリーンちゃんがうちに来るなら大歓迎だ」


「カミーザのおじさんは恩人だし、ファーザ君の子供なら私も問題ないわ。お願いしたいくらいです」


「でも、家出はアカンぞ、リーンちゃん。家には連絡するからの?」


「……はい。ごめんなさい」


 リーンはシュンとして謝る、祖父カミーザには頭が上がらない様だ。


「それにしても、まさかリューがリーンちゃんを拾ってくるとはな……。セシルさんも喜ぶな。わははは!」


「え?セシルちゃんも元気なのカミーザのおじさん」


「私の妻になったよ」


 ファーザが代わりに応える。


「やっぱり、そうなったのね。あの時から仲良かったもの」



 思いがけない出会いから、祖父と父、リーンの話は翌日にスゴエラ侯爵との会談を前に深夜まで盛り上がるのだった。

 ちなみに、リューは蚊帳の外のままだったので1人早く寝る事にした。

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