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【書籍化&コミカライズ】裏稼業転生~元極道が家族の為に領地発展させますが何か?~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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268話 さすがに今回は嫌ですが何か?

 オウヘ王子の王位継承権の順位格下げは事実上、国王にはなれないと宣告された様なものであった。


 継承順位的には、第一王子(1位)、第三王子(2位)、第四王子(3位)、第一王女(4位)、第二王女(5位)、エリザベス第三王女(6位)、そして、今回、継承順位を下げられたオウヘ第二王子(7位)となる。


 伝統的に男子が優先されるので、女子の王位継承権は後にされるのだが、その後に回されたという事は……、そういう事である。


「そ、そんな馬鹿な!?それでは凡庸な兄上が次の国王になる可能性が上がってしまったではないか!それにこの我が、姉上や妹達よりも下なんて……。父上は何をお考えなのだ!」


 オウヘ王子は、事実を理解出来ずにいた。


 側近のモブーノ子爵は、ただおろおろするばかりである。


 こうなると、オウヘ王子を支持する派閥の動きだが、現在、オウヘ王子にはエラインダー公爵派閥が支持している。


 一部、第一王子派や、第三王子派に鞍替えする動きを見せる派閥以外の下級貴族はいたが、エラインダー公爵派閥の一致団結力なのだろうか、それともこんな事も織り込み済みだったのか全く動じる気配がなかった。


 オウヘ王子とモブーノ子爵は、主従でおろおろするばかりであったが、そこへエラインダー公爵からの使者が手紙を置いて行った。


「エラインダー公爵は、何と言ってきている!?」


 モブーノ子爵に手紙を読ませて、確認した。


「公爵様は、『第一王子派の工作でしょうが、一時的なものだと考えているので落ち着かれるように』、との事です。あとは、こちらでも陛下に働きかける、との事です」


「そ、そうか!兄上のところの工作か!──見ておれよ兄上!最後に笑うのは我だからな!」


 オウヘ王子はエラインダー公爵からの励ましの力を得ると一安心するのであった。




 王立学園、王女クラスの休憩時間──


「オウヘ王子の王位継承権が格下げされたの……、僕のせいじゃないよね?」


 リューは、あまりにタイミングが良すぎる今回の王家の判断に、責任を覚えていた。


「凄い騒ぎになってるわね。貴族社会ではこの話題で持ちきりだってみんな言ってるわよ。──どうかしら、きっかけにはなったのかも……」


 リーンが、クラスの生徒達もこの話題で持ち切りな事をリューに報告し、リューの質問には言葉を濁した。


「……マジかー。やっぱりタイミング良すぎたよね?僕の報告で国王陛下の背中を押したかもしれない……」


 リューがうなだれていると、そこへエリザベス第三王女がシズとナジンと一緒にやって来た。


「あら?ミナトミュラー君は今回の騒ぎ、喜んでると思っていたのだけど……?」


「リズは今回の件、何か知ってる?」


 リーンが気軽にエリザベス王女を愛称で呼んだ。


 魔術大会以降、リーンとシズはエリザベス王女と距離を縮め仲良くなっているのだ。


「私も詳しくは聞いてないわ。ただ、最近のオウヘ兄上の言動を非常に問題視して、父上と宰相が話し合ったとは聞いてる。一部では、兄上の、第一王子派が動いてそう差し向けたとも言われているけど真相はわかっていないわ」


「……第一王子派?……でも、タイミング的には僕の可能性が……。終わったかもしれない……」


 リューは、リーンとエリザベス第三王女の会話を聞いて、魂が抜けた様に真っ白になるのであった。


「?ミナトミュラー君は本当にどうしたの?」


 事情を知らないエリザベス第三王女は、リューの様子を訝しむのであった。




「そんな事が……」


 友人であるリーンからオウヘ王子との最近のやり取りについて説明を受けたエリザベス第三王女は、眉間に皺を寄せて考え込んだ。


「ミナトミュラー君、今後その話はしない方が良いわ。その事を誰か他の人に聞かれて噂になったら、オウヘ兄上を支持する派閥から恨みを買う事になりかねないから」


 エリザベス第三王女は、真剣な表情でリューに警告した。


「……そうだよ、リュー君。貴族にとって次代の国王選びは自分達の栄達に関わる問題だから、それを阻止されたと思われたら、その恨みは途轍もないと思う……」


 シズが、本当にリューを心配して声を掛けた。


 貴族にとって、誰に付くかで今後の自分の家の将来が決まる事はよくある事なのだ。


 特に力のない下級貴族にとっては、それは如実に表れるから、文字通り命がけで勝ち組選びは必死である。


 有力貴族であるエラインダー公爵は今でこそ王位継承権を放棄しているが、王子達の次に王位継承権を持っていたので、その人物が支持するオウヘ王子は、最も有力視されていた。


 もちろん、派閥にも入れない下級貴族は我先にと、この勝ち馬に乗ろうと媚びへつらい接近した者も少なくない。


 その努力が、リューの報告で流れたと思われたら……、後は想像に難くないだろう。


「……よし、忘れよう。というか、みんなも忘れて下さい」


 リューも万が一バレた場合の、恨まれる規模を想像してぶるっと身を震わせるのであった。

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