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【書籍化&コミカライズ】裏稼業転生~元極道が家族の為に領地発展させますが何か?~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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218話 カウントダウンですが何か?

 リュー達は、王都内の貴族が多く訪れる高級なお店が建ち並ぶ通りに来ていた。


 普段、シズ達が買い物をしているところを案内して欲しいとリューがお願いした結果であった。


「……普段はこの裁縫店で服を作って貰ったり、あっちのお店で靴を買ったりしているよ。ナジン君はあっちのお店をよく利用するよね」


 シズが珍しく先頭に立ってリューとリーンに通りのお店の説明をする。


 引っ込み思案なシズであるが、学園の隅っこで結成されたグループの中では積極的になりつつあった。


「へー。流石高級そうなお店が並ぶ通りだね。色々あるや」


 リューは感心しながら一軒一軒店内を覗き込んで感心する。


 他にも銀細工のお店や、宝石店、魔道具のお店もある。


 中には同業である馬車を扱うお店もあるが、そこは閑古鳥が鳴いている。


 多分、大半の貴族のお客は、ランドマークビルに流れているのだろう。


 ごめん、同業者さん。これも競争原理の結果だから……。


 リューはちょっと、申し訳ないと思うのであった。


「確かにいろんなお店があるし、商品も良いものが揃っていると思うけど、マイスタの街の職人が作る品々も全然負けてない気がするのだけど?」


 リーンが、店内で服を一着持って眺めながら遠慮なく評した。


「マイスタの街の職人さんは、元々が一流職人がご先祖様だからね。その技術は受け継がれているから、当然だよ。今までは王都の職人が優遇されてきただけだから、僕達がそれを活かして上げられれば、きっとすぐに評価はされていくと思う」


 リューは自分に言い聞かせる様に、責任を再確認するのであった。


「マイスタの街ってそんないい職人がいるのかい?先日のお祭りの時に、お店にもよってみれば良かったな」


 ランスが、興味を持って残念そうに言う。


「今度来た時には、案内するよ」


 リューは笑顔で答えるのであった。



「あ、そうだ。みんなは夏休み明けの学園内剣術大会で使用する革の胸当てはもう用意したのか?」


 ランスが、肝心な事を忘れていたとばかりに、みんなに聞く。


「リューと私、イバルの三人はマイスタの革職人にすでに注文しているわよ」


 リーンがリューとイバルに代わって誇る様に答えた。


「リュー達は早いな。今日は自分達もその注文をしようと思っていたんだ」


 ナジンがシズの代わりにみんなに答える。


「そっか。二人は俺と一緒か!俺も今日はついでだから注文しようと思っていたんだよ!」


 ランスは仲間がいた事にほっとした。


「この裏の通りの革鎧専門店が、有名だからそこに行こうぜ!」


 ランスは、今の内に大事な用事を済ませようと言葉を続け、みんなを誘うのであった。



 ランスを先頭に高級店が並ぶ通りの裏道に入っていく一同。


 リーンが何かに気づいたのか、リューの裾を引っ張った。


「どうしたのリーン?」


「表からこちらに嫌な気配を持つ複数の男が付いて来てるわ」


 リーンが感知系の能力で感じた事をリューに伝えた。


「こんな治安が良い所で?馬鹿なチンピラもいるもんだね、ふふふ」


 リューは、笑わずにはいられなかった。


 貴族御用達のこの区域は常に警備兵が往来しており、大きな声を出せばすぐに駆けつけてくるのが通常である。


 もしかしたら、こちらが子供の集団と思って、甘くみたのだろうか?


 リューは、前後から迫るチンピラを前にどうなるか楽しみになっているのであった。


「おう、ガキども。高そうな服を着てるなぁ。おっと声を出すなよ、その喉を掻っ切るぜ?黙って持ち金全部寄越しな!」


 裏通りは表と違って静かだ。


 その通りに立ち塞がったチンピラが最初から刃物を出して脅しをかけて来た。


 前に二人、後ろに三人の合計五人だ。


 こちらの方が数で優っているが、チンピラ達は刃物で威嚇して最初からやる気十分だ。


「……うーん。みんなこれどうしようか?」


 リューは緊張感の無い声でチンピラの対応についてみんなに聞いた。


 ランスはリューの様にはいかず、前のチンピラ二人に立ちはだかり、


「後ろを頼む。俺はこの前の連中をどうにかする!」


 と、緊張の面持ちで宣言した。


 チンピラ達はこの子供達が抵抗しようとする反応に驚いた。


「おいおい。刃物が見えないのかこのガキどもは。それとも俺達が舐められているのか?──よく聞けよガキども!俺達はこの王都では泣く子も黙る裏社会の新興勢力にして最大の組織、竜星組の人間なんだぜ?その俺らに抵抗してタダで済むと思っているのか!?」


 その言葉を耳にしてリュー達全員に緊張が走った。


「みんな抵抗しない方がいいかもしれない……。みんな知らないかもしれないが、竜星組というのは、今、王都の裏社会で一番恐れられている新興の組織だ。何でも同じ王都の大きな組織を一晩で潰したとか……。リュー、君ならこいつらに勝てるだろうが、後々の事を考えたらここは我慢だ」


 ナジンがどこから入手したのか、相手が危険な組織の構成員と知って、みんなに警告した。


「そういう事だ、ガキども。大人しく有り金出した方が良いとわかっただろ?じゃあ、そこに並んで1人1人、財布を出しな!」


 勝ち誇ったチンピラは刃物をチラつかせながら、一番前のランスから財布を出させようとした。


「……へー。竜星組……、なんだ……。それはそれは……」


 リューが、小刻みに震えながら、そう言葉を絞り出す。


「こっちのガキ震えてやがる!まあ、そうだわな。俺ら竜星組を相手にビビらない方がおかしいからな!」


 チンピラは何も知らずに震えるリューを嘲笑うと、破滅へのカウントダウンを始めていたのであった。

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