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【8巻予約開始!】裏稼業転生~元極道が家族の為に領地発展させますが何か?~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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151話 みんなの意見ですが何か?

 リューは父ファーザに相談する事なく叙爵の話を断った。


 最初、使者は断られると思っていなかったので戸惑い、リューの説得を試みたが、リューは一向に首を縦に振らない。


 使者はどうやら本気でいらないらしいと悟るとため息を吐き、引き下がって帰っていくのであった。


「リュー、良かったの?せめてファーザ君に相談してから結論を出した方が良かったと思うのだけど……」


 リーンが、リューを心配した。


「将来の事はわからないけど、この歳で爵位は早すぎるよ。それに、今はランドマーク領の為に色々とやりたい事は多いから爵位を貰ったらそれも出来なくなるでしょ」


「……そうだけど」


 リーンとしては自分の仕える主であるリューの出世は喜ばしい事だけに残念な気持ちは大きかった。


「あと、急に僕が爵位を与えられるとか変じゃない?先日の王宮でのやり取りで気に入られたのかどうかはわからないけど、それで爵位を貰うのはどうにも釈然としないというか……」


 リューは首を傾げて考え込む。


「……わかったわ。リューの判断を支持する。でも、ファーザ君に報告はしないと駄目よ。まあ、怒られると思うけど」


 リーンはリューの考えを尊重すると悪戯っぽく笑って指摘した。


「……やっぱり?でも、あそこでお父さんを呼べる余裕なかったし、断らないと話を勝手に進めちゃいそうな勢いだったからなぁ。まあ、済んだ事だし、お父さんにはちゃんと報告して怒られるよ」


 リューは苦笑いするとリーンに頷くのであった。




 リューは『次元回廊』でランドマーク領に戻ると父ファーザへ自分に叙爵の話があった事を報告した。


 最初、父ファーザは驚き、断った事に渋い顔をして考え込んだが、怒りはしなかった。


「言いたい事はあるが、リューは我がランドマーク家の功労者だ。だがまだ十二歳。私としてはお前の叙爵は親として嬉しい事だが、あちらの意図がわからない。だから私が直接面会を要請して真意を聞いてみよう」


 ファーザはそう言うと翌日に早速、使用人を使者に立てると王宮に走らせた。


 リューはリーンと共に、何事も無かった様に学校に通学するのであった。




「え?今、なんて言った?」


 休憩時間の事、隣の席のランスが聞き間違えかと思ってリューに聞き返した。


「……だから僕に王家から魔法士爵授与の話が──」


「魔法士爵授与!?」


 リューが小声で話すのに対し、ランスは思わずを声を上げた。


「ちょ、ちょっと声が大きいよ……!」


 リューは慌ててランスの口を塞ぐ。


「どうしたんだ?」


 ナジンがランスとリューがひそひそと話しているのでシズと共に近づいてきた。


 ランスはリューに口を塞がれてもごもごしている。


 そして、ついでに冗談で鼻も塞ぐ。


 完全に息が出来なくなったランスはリューの肩をバンバン叩いて苦しさをアピールする。


「リュー、本当にランスが苦しそうだから止めて上げなさいよ」


 リーンが呆れて止めに入る。

 男子のこういうノリは嫌いな様だ。


「はぁはぁ!鼻を塞ぐなよ、危ないから!」


 ランスはリューの悪ふざけに笑いながら怒る。


「ごめんごめん!でも、大きな声では絶対言わないで」


「わ、わかった」


 ランスがそう答えると、みんなで円陣を組み、顔を突き出してひそひそ話を始めた。


「……で、何の話なんだ?」


 ナジンがこの状況を確認する。


「……実は──」


 リューが改めて一から説明した。


「凄い話だな……!」


 話を聞いたナジンが第一声を上げた。

 リーンとランスは知ってるので口を噤んでいる。


「……この学園でも、個人で肩書を持っているのは、王女殿下くらいだと思うの」


 シズがその凄さを口にした。


「そうだよな?大貴族の嫡男でさえいくら家の事情があっても成人を待って継ぐのが普通だからな。十二歳でとか異例じゃないか?それも、推薦とかじゃなく王家から叙爵打診とか有り得ないぜ」


 ランスが興奮気味に早口でしゃべる。


「ランス、声を抑えてよ」


 リューが、ランスを注意する。


「そして、それを断るリューの図太さな」


 ナジンが声を落としつつ、半ば笑いながら指摘する。


「仕方ないじゃない……。突然そんな突拍子もない事言われたら普通断るでしょ…!?」


 リューは苦笑いしながら答えた。


「いや、子爵の三男という立場を考えると自分なら承諾するな」


 ナジンが即答する。


「俺も同じく。三男って成人したら平民だからな。貴族社会で生きてきた人間にとってはそれを手放したくないからこんな良い話、断らないぜ」


 と、ランス。


「……私はよくわからないけど、チャンスだったと思う」


 シズまで賛同する。


「……私はリューの味方だからね?」


 リーンも内心はランス達と同意見なのだが、リューの判断を尊重して支持するのであった。


 リーンありがとう……。というか僕が間違ってるのか。……うーん、でも、家に貢献できなくなるのは嫌だからなぁ。


 リューはみんなの意見に心揺れながらもその意思を曲げないのであった。

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