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【8巻予約開始!】裏稼業転生~元極道が家族の為に領地発展させますが何か?~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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138話 試作の注目度ですが何か?

 リューとリーンの二人は入学式以来、乗り合い馬車での通学を行っていた。


 当初は場違いな特別クラスに在籍する事になったので悪目立ちは危険と自社製の馬車による通学を避けての事だったが、クラスの第三王女殿下が寛容な人みたいだという事、そして、一年生の間ではもうランドマークの名は良くも悪くも知れ渡っていたので、気を遣う理由が無くなった。


 そこでランドマークの最新技術が詰まった試作機である『乗用馬車二号改AAL(仮)』に堂々と乗って通学する事にしたのだ。


 ちなみに、AALとは、A(安心)A(安全)L(ランドマーク)の略であり、こう呼んでいるのはリュー一人だけである。


「乗り心地はやっぱり今のより、断然良くなったよね?」


 リューは現在絶賛人気販売中の『乗用馬車一号シリーズ』と比較した。


『乗用馬車一号シリーズ』は、従来の馬車と比べて乗り心地が断然良い事と、外装、内装のカスタム化が出来るという事で、シリーズとして展開している。


 現在開発中の『乗用馬車二号改AAL(仮)』は、乗り心地をさらによくしている。また、試作なので、外装、内装の華美なデザインは全く無く、見た目は流線型の無駄の無い近未来的な形になっている。

 今のままでは派手なデザインを好む貴族には受けが悪いだろうが、開発中の試作馬車なのでそこは職人達との話し合いで調整されるだろう。


「そうね。一号シリーズに比べたら、衝撃後の緩やかに続く揺れも無いし、軽量化されてるからスピードも出て二頭引きタイプとしては、かなり性能がいいんじゃないかしら」


 リーンは従者としてリューの側にいつもついてる事から、かなり詳しくなっている。

 感想も的確であった。


「そうだよね?こっちは性能特化にして1号シリーズと差別化しようかな…。本当はこれに装飾していくつもりだったのだけど、逆に無駄な物がないこのままのデザインが良いかな?そうなると客層がどうなるかなんだけど……」


 リューは、新たな可能性に悩みながら学園に通学するのであった。


 学園に到着すると、貴族の華美なデザインの馬車が多く集まる玄関前にあって、ランドマーク製『乗用馬車二号改AAL(仮)』は異彩を放っていた。


 その馬車から降りてきたのは、今、一年生の間で一番の注目を浴びるランドマークの子息とエルフの英雄の娘であり、美女として人気があるリーンである。


 派手なものを好む貴族の子弟にとって、この異彩を放つランドマーク製の馬車は不可解なものであったが、だが、あのランドマーク製である。


 これからは、あれが流行るのか?と、注目せずにはいられない。


 貴族ではない商家の子息子女にも、この馬車は非常に興味をそそられるものがあった。

 商人にとって、馬車は見た目より性能が第一である。

 ランドマーク製の馬車の性能は従来のものに比べて格段に良いのはわかっていたが、この馬車はさらに無駄を省いて性能のみで勝負していると思われる見た目だ。

 そういう意味で、この試作馬車は注目を浴びたのであった。


「……結構見られてたよね?」


 リューが視覚探知系の能力を持つリーンに確認した。


「ええ。もの凄く見られてたわよ。みんな好奇心をそそられたみたい」


 リーンはランドマーク製の馬車が注目されてかなり嬉しい様だ。


 そこへ、普通クラスのト・バッチーリ商会の子息が話しかけてきた。


 リューには、王都の最近の流行について教えた事もある仲だ。

 とは言え、相手は貴族の子息だからこちらから話しかけるのも気が引けたが、興味の方が優った。


「リュー殿、おはようございます。あの馬車はやはりランドマーク製のものなのですか?」


「おはよう!そうだよ。あ、でも、まだ試作段階の物だから売り物じゃないんだ。」


「あれは、性能を重視した作りなのでしょうか?」


「そうだよ、よくわかったね!今は詳しくは言えないけど乗り心地、軽量化によるスピードは格段にアップしてるよ」


「おお!あのフォルム格好いいですね!発売されたら父さんに買ってくれるようにお願いしてみるよ!」


「「ありがとう!その時はぜひ!」」


 リューとリーンは早速の反応に喜ぶのであった。




「…今ランドマークとリーン嬢と話していたのは、ト・バッチーリ商会の息子だよな?」


「そうだな。リーン嬢と何を話してたんだ?」


「アイツ抜け駆けするつもりか!」


「俺だってまだ、リーン嬢とは話した事ないのに、あの野郎!」


「俺なんかリーン嬢の視界に入った事も無いぞ!」


「よし、何を話してたか締め上げるぞ!」


「「「おお!」」」


 思いかけず、リーンファンクラブの面々の恨みを買い、この後、囲まれるト・バッチーリ商会の息子であった。

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