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【8巻予約開始!】裏稼業転生~元極道が家族の為に領地発展させますが何か?~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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137話 認められ始めてますが何か?

 リュー達の心配は的中した。


 学園側は生徒の遅れを取り戻す為に、特別編成を敷き、時間割は一限増え、さらには宿題が出されて家での勉強を余儀なくされた。


「授業が一限増えるのは苦痛ではないけど……、宿題は嬉しくないなぁ」


 リューはランドマークビル5階のランドマーク家組事務所、もとい自宅のリビングで宿題を前にぼやいた。


「本当よね。これでセシルちゃんが側にいたら受験の時と何も変わらないわよね」


 リーンもあの悪夢を思い出したのかぼやいた。


「それに、うちではランドマークの商品開発もあるからね。タウロお兄ちゃんや職人さん達と話し合いたい事もあるのになぁ」


 リューは兄タウロや職人達との話し合いや試作を重ねて一階のランドマーク『各種車』店の新製品を開発しようとしていたのだ。


 現在、その製品がまだ試作段階で、商品化されるめどがまだ立っていないだけに、リューとしてはそちらに時間を割き、早く形にしたいと思っていた。


「今は、遅れた分を取り戻さないとね。仕方ないわ。二人で協力して宿題をさっさと終わらせましょう。お互い違うのをやれば、半分の時間で済むわよ」


 二人でやる事の優位性を説いてリューを励ますと、リーンはやる気を見せて腕まくりする。


 リューはその言葉に納得し、宿題の山を片付ける事にするのだった。




 リューとリーンは一年生の中でも特に優秀な部類である。


 その二人が大量の宿題を短期間で完璧にクリアして提出してきた。


 他の生徒は、まだ半分もクリアしていない。


 担任のスルンジャーは王女をはじめ、このリューとリーンの優秀さはよくわかっていたので驚かなかったが、新任でスルンジャーら教諭をまとめる学年主任は驚いていた。


 この宿題を提案し、作成したのは自分達だ。

 量はもちろん、内容もわざと難しくしている。

 沢山出して必死に解かせる事で勉強に集中させ、学園内の余計な噂や事実を有耶無耶にする狙いがあった。

 もちろん生徒の本分である勉強に励んで貰う事で、遅れた分も取り戻し、尚且つ、成績も上げていくという新学園長の方針でもある。


 学年主任の予定では、今月いっぱいはこの宿題で生徒は手一杯のはずだったのだが、まだ十日以上余裕を持って解いてきたのだから、本当に優秀なのかもしれない。


 というのも、この学園の大改革に際しては、受験での順位は前体制での評価だったので当てにはできないという結論だったのだ。


 報告書によれば、上位は特別枠扱いだったとあるし、実際、エラインダー家からは多額の寄付金が学園側に渡っていて、順位が操作された疑いが強い。

 一位の王女殿下は優秀だという話もあるが、三位は王家推薦のこのリュー・ランドマークという生徒だし、四位はこちらもエルフの英雄の娘であるリーン、五位に至っては今回問題を起こして退学になった生徒だ。


 まだ、判断はできないが、このリュー・ランドマークとリーンという生徒は、別格かもしれないと密かに思う主任教諭であった。




 俺の名は、マジーク。

 この王立学園の魔法の実技担当教師だ。


 新学園長である老師に強く頼まれて、宮廷魔法士団から人事異動してきた。

 本当は人に教えるより、自分の魔法を磨く事に必死だったので嫌だったが、老師曰く、


「人に教える事で、新たな一面を発見できるから自分の為になる。それに凄い生徒もいるから、魔法研究の参考になるぞ」


 と、口説かれたのだ。


 何でも王家が逐一報告を求める程の才能の持ち主がいるとか。

 自分の王立学園時代にもいたが、少し才能がある奴は大抵それを鼻にかけて努力を怠り、学園を卒業する頃には人並みに落ち着いている者が多い。


 聞けば、王家の推薦で学園に入ったと言うではないか、それも不正著しい前体制下でだ。


 王家の命令で報告義務があるが、現役の宮廷魔法士団出身の俺からすると少し才能がある程度で威張ってるであろう小童を、都合よく評価して報告してやるほど甘くはない。

 この目で忖度なく評価し、それを容赦なく上に報告して、とっとと宮廷魔法士団に戻る事にしよう。


 と思った自分が浅はかでした……!


 どごーん!


 魔法実技担当教師マジークが「手加減無しでやれ、自分が結界を張っておくから安全面は大丈夫」と保証した演習場はリューの大規模な土魔法で一帯は滅茶苦茶になった。

 もちろん、マジークが張った結界も吹き飛んでいるから演習場という広い敷地のみならず、地割れで近くの施設にも被害が及んでいる。


 マジークは、想像をはるかに超えるリューの実力に度肝を抜かれる事になった。


「こ、これは、宮廷魔法士団でも上位に位置する威力だ…。一学生の使う魔法じゃない……!」


 マジークもエリートである現役の宮廷魔法士団の一員として、リューと同じレベルの魔法を使えないでもない。


 だが、それには準備と魔力を補助するかなり高価な魔石が必要で、それらも無しに、ただ言われてすぐ使えるものではない事は、自分がよくわかっていた。


 王家が目を付け、老師が言っていた魔法研究の参考になる凄い生徒か……。でも、凄すぎて参考にならねぇよ!


 マジークは想像をはるかに超える才能を持つリューに内心、呆れるしかないのであった。

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