$03 買い物
金塊を作って売る話が我々の間で合意されてから、
俺の仕事が終わってからの日常生活が一変した。
今までなら「自宅→会社→買い物→帰宅」のルート移動だけといった、
全く魅力も無い生活だったのが劇的に変わった、凄い変わり様だ。
何しろまず俺は役所に出向き、コツコツ時間を掛けて手続きして、
マイナンバーカードをやっと作ると、渡された「金塊」500g×2個を、
大きな街の貴金属買取店にて鑑定して貰う、
メーカー刻印の無い金塊1キロ相当を指摘され、俺は想定通りに
「宝飾品作成用の金塊」で資金繰りに困って潰れかけてる加工工場の、
社員が給与や退職金代わりに貰ったらしく信用できる人だから、
それを俺が買い取ったと言ったら、店長らしき紳士は
「それを信用するとは貴方は余程その人を信用しているのでしょうが、
無記載の金は鑑定に慎重さが必要です、今後はご注意くださいね」
とやんわり忠告されたが、一応売却する事は出来た。
その時の俺は一応免許とマイナカードで身元も調べられたし、
普通にしてたら違和感しかないのかじっくり話を聞かれて疑われてはいたが、
検査機器で何度も検査した結果、純金だと判断され値段はレート通りで売れたが、
今後は難しそうだった。
そして売却した金が約980万円で売れて、当然税金も消費税も取られた後の、
額を受け取り、俺の取り分20万を抜いても960万円が入った。
その金額を使ってまずはサポート要員として選ばれた「イグさん」の、
地球での活動用の婦人服をネットで購入した。
移動に宇宙人的な服はダメだしね服は会社で同期の大体年齢的にも,
イグさんと同年代の同僚の女性(結婚済み)
に「ちょっと海外から来る女性へのプレゼント」と言って今の流行で、
できるだけ目立たない一般的な服を指定してもらって
選んだが、俺は同僚女子から逆ロマンス詐欺を疑われた、
俺そこまで酷く無いぞと言って置いたが、
それでも選んでくれたのでイグさんのサイズの服を買って、
ネット通販で自宅に送らせた何せこの「イグ」さんは見た目だけ見れば、
金髪青目で凄いモデルの様な背の高い白人系外国人に見えるしこっちに来てから、
しっかり風呂に入れて髪の毛も女性用シャンプーやボディソープで、
徹底的にキレイにしてるから日本人には見た目はすごく綺麗な、
爽やか系のモデル体型な胸も多少大きい白人系の外人さんに見えるんだ…、
ただその当の本人が行っている行為が不審な挙動で、
周囲をキョロキョロ見てるので初入国したばかりで、
日本に来たばかりと解る状態だった、
まあ、それで目立つと起きるのが問題である一番の不安点は「身分証」だ、
彼らは日本の外国人登録証やパスポートを持って無いから、
一度でも警察に職務質問されたら多分不味いことになると言ったら。
「何とかなるよ、この星のネットワークに繋げられる一般的な、
通信ケーブルを貸してくれそれで今から問題を解決しよう」
と班長に言われて俺は部屋のPCにつながるのと同一の余ってた、
LANケーブルが有ったので1本渡して見ると、
「これでいいか?規格が合わないんじゃないか?」と言うと、
班長が何かブヨブヨした物にケーブルを突き刺して何か確認したらしく、
「おう、大丈夫だったぞこれで良いんだ、
これはどんな規格だろうと繋げられる特殊な装置用の、
これが形を取って規格を確認する装置だからこれから作るから問題ない」
と言って、班長は形を取ったのとは別の何か黒いでっかい箱に、
そのケーブルを差し込み、
「これで良い、記憶させたからこれで記録できたから後はこれで大丈夫だ、
この星に繋がる通信システムにこの端末を追加して見てくれ」と言われて、
何故かさっき渡したLANケーブルが繋がる無線LANの様な、
手のひらサイズの不思議な黒くてモチ風な楕円でべたっと平らな、
電源の無い機械を渡してきた。
「これをそっちの星と繋がってる端末と繋いでくれ、
そうすれば全部解決するよ」と謎の発言を聞きながら、
とりあえず言われた通り家のパソコンと繋がってる、
モデムにその機械をLANケーブルで別途繋いだら、
何故か通信速度が一瞬一気に跳ね上がったがだがそれは一瞬の事で、
その後は特段何も変わらずだったのでそのまま放置することに為った、
班長も問題なく出来てて上手く行ってると言った後3日後…。
注文していた婦人服一式が届いた、それは下着から帽子までまとめて同じ
通販で揃えたから大丈夫だろうとイグさんに服を渡して着替えてもらったが、
イグさんは中々似合ってる様子だった。
そしてそれをイグさんに着せて買い物をしようと街まで出かけたが、
靴を買い忘れてて正直裸足は不味いので、俺の部屋に有った、
サンダルで誤魔化して一応先に靴屋に行くと、
周りの視線がヤバいレベルで目立ってた。
「まあ、結構似合ってるんじゃないかな?」と言った俺に対してイグさんは、
「はあ?これは凄い事ですよ?、服といえばリサイクル合成繊維が普通でしょう?
なのにこれは新品の天然繊維ですよ、うちの出身の故郷星だったら、
貴族が着るレベルの天然生地ですよ?普通着れないですって」
と言ってかなり緊張気味で行ってくる。
恐らく新品の天然コットン製の服や下着が向こうの星では凄い価値らしい、
一応アクリル系の化学繊維も多少入ってるんだが、
更に服を選んでもらった女性から、これも頼んで置くと良いと指摘され、
頼むのを協力してくれた女性がどう言う意味で勧めて来たのかは、
何となくわかったが分から無い事にして、
そのままプレゼント用の小物ページに合った「フレグランス」を見て、
見ると何でもこの服のブランドと契約してる物らしく、
所謂コラボ物らしく今話題だとかネットのページで進められる。
俺は本来なら不躾だろうと思いつつも頼んだ女性の考えも考慮して、
結果として「フレグランス」を一緒に注文しておいた、
普通なら香水とか石鹸などを送るとなれば、[あなたは匂いますよ]
という暗喩に取られると思うが、勧めた女性的には別の意味も在ったのか、
分からないが、俺にはそっち方面だけは苦手なので、
相手は宇宙人だからOKとして発注しておいた物だ、
そして一応天然素材製で5万円の高級フレグランスを渡すと、
「ふわ~天然素材の香水ですか?良いんでしょうか?こんなの持ってたら、
同僚の恨みが~」と言いつつにやけ顔で喜びながら眺めてる
イグさんを見つつ、地球的な付け方を教えてあげたら本気で泣かれた。
何でも彼らの星の価値観では科学合成の安い匂いの香水はギトギトシャワー
を浴びるから、仕方がなく買って使ってる物だそうだが、
天然物の高級フレグランスは本気で庶民は手が出ないし買えない位の物で
高級店で、しかも資格審査のある銀行の許諾を受けてないと入店さえ出来ない、
高級店でしか買えない位の品らしい。
そしていざ買い物に行こうと言う段になり俺は一応聞いてみた。
「あの~イグさん、一応聞きますが身分証とかは~?」と言う問いに対して。
「ああ、それっすか、はいこれ」と想定外の態度で堂々と出してきたのが、
日本政府発行の[外国人登録証]だが、なぜ持ってる?と驚き、
俺は大声で聞きたく為るがココは我慢して、良く見ると
それは聞かなくても解る程の精巧な偽物だろうカードを、
堂々と出して来た事に成る、
「これって…」と俺は偽造と言う言葉が出かかってるが一応聞いてみる。
「ああ大丈夫っすよ、貴方の国の政府登録サーバーにデータ載せて在ります、
ウチらのよく行く星の印刷所で作ってもらった[本物]っすよ?この程度なら、
特殊な奴では無いと普通に作って貰ったっす」と堂々と言って来る、
イグさんマジか普通のように言いやがるな。
アレほど目立つなって行っておきながら、コイツら宇宙人は、
普通の生活のためなら手段を選ばないらしいし、とは言え持って来た以上は、
仕方がないのでそのまま買い物へと繰り出した訳だ。
一応俺の建前は知り合いの外人さんのガイドの副業と言う言い訳にして、
うちの会社は副業OKなのが幸いした感じだ。
そんな訳で俺たち2人は俺の車じゃ載らないだろう荷物を買う事を想定して、
大型のワンボックスカーをレンタルすると乗って、
さいたま市の賑わって居る場所に出て来てあちこち買い物することとなった。
まず最初に向かったのが家電屋だ、1つ目の目当ては「辞書ソフト」、
これはネットの怪しい無料ツールでは怪しいので金を出して買った、
正しい言語データの導入の為だ、言葉は宇宙人的翻訳ツールで、
翻訳されてコミュニケーションが取れるが文字は別であると俺は思ってる。
一応通路を繋げるように申請して来たもう一人の「さとう」事宇宙人さんや、
古い連合人達がある程度の言語を記録送信してるから良いんだそうだが、
日本語となると大雑把にしか言語登録されておらず、
お陰で俺の「ひらがな」による契約が通ったんだが、
ここはしっかりと記録しなければいけないらしく買いに走った訳だ。
そこでイグさんは、
「ふお~なんすか?このアンティークな方式の機械類はすごくオシャレです~」
と言ってはあちこち見て回り買ったのは、店の端に置いてあった、
「工業用扇風機」「空気清浄機」と仕事柄見つけて店員さんに購入依頼をする、
その間に女性の嗅覚で見つけてしまった美容エリアに合った、
「ヘアアイロン」「充電式全身に使える脱毛器」と「スチーム式の美顔器」
や男性用「高級ひげ剃り機」と主に美容機器や空調関連品ばかりで、
彼らに俺が聞けば、
「いや~、ウチらの住んでる星系じゃ既に無い古い形式の機械ばかりでして、
逆に今うちらの生活では必要な物ばかりなのですよ」と言って来る。
どうやら本来は美容に関しては本来全身の健康を管理する
[全身メンテシステム]っていう縦に設置されてる棺桶風な機械が有って、
機械の中に入れば一瞬で光素子で隅々まで完璧に綺麗に整えられるらしい。
それがあくまでも動けば…らしいが、聞けば内情は酷く、
「普通なら多少古くても修理したり調整できる人を連れて来たりするんですけど、
あの艦内には会社が理解できない位古い型式のが1機しか設置して無くて、
しかもそれは私らが来た時から既に故障してて、2代前の代で壊れたのに、
それでも会社は知っていながら修理を渋ってます」と話を聞いた、
俺が聞けば要は今までは、自前で何とか工具のレーザーを低出力で切ったり、
巨大な人の背丈ほど在るハサミ的な機械で、慎重に無理やり髪や、
髭を切ったりしてたらしい。
つまり工業用切断機で髪の毛を切るとか超危険な行為をしていたらしい。
道理で班長さんの髭がたくましく伸びてた筈だ、その話を聞いてから、
ついでに併設されてる日用品コーナーでI字型のカミソリや美容クリーム等を、
見せ説明したらイグさん狂喜乱舞してくれて、
その足で近くの郊外型ドラックストアにレンタカーで買いに行き、
本格的に大量購入した、石鹸からシャンプー美容関連の商品を1ダースずつ、
店長さんと交渉して多少残してと言われたが、問題ない数を売って貰えた、
それで段ボール箱ごと購入、
そして次に向かったのは服屋だ、俺が面倒というのと安定した品質と言う考えで、
大型レンタカーだしと郊外のONIQLOまで車で買いに行くと、
普通に着る用として男女のサイズのスエットやスポーツブラ・リアルブラ等、
速乾性下着や簡易のルームウエア等を男女ともに、
まとめて大体の各サイズごとに1ロット(12個)ずつこれまた箱で購入した、
つまり下着から服まで箱買いだった。
イグさん曰く今まで何しろ35人の社員が居るのに、
全員が衣食住に釣られて来た社員なので、着替えも無い訳ありな社員なので、
下着とか部屋着となるウエアを買うとか言う資金が無く、
結局酷いのだと何代も代々受け継がれて来た、
ベロベロになってる下着を着続けているらしくて、訊けば見た目は、
継ぎ剥ぎだらけで多少小汚いがまだ普通な見た目のつなぎや制服姿でも、
中は結構危険な事態だったらしい。
特に女性は35人の中に4人居るが全員が色の変わったり、
千切れたのを手縫いして補修した様な見せられ無い下着と言う。
それを今回一斉に入れ替えられるので、
ヤバい物体を無理やり着ているのから解放されるとの事をイグさんが、
車内で告白してくれた,
俺はそれならと意気込み大手では無い、
高級も有る婦人用の下着専門店に俺は連れて行った。
なぜそんな店知ってるかって?当然俺は元は結婚してたんだ、
嫁さんだった人に俺が金出す前提で連れられて来たことが有るから、
場所だけは知ってるんだ。
まあそれは別として俺は近くの飲食店で待ち合わせたたが、
20分立っても40分立っても帰って来ない、これってヤバいことになったか?
とかなり焦ったが「警察の厄介に~」とか考えてたらやっと帰って来た。
するとイグさんは異様な目つきで、
「はあ~ここって神の国ですか?、ここまで安く天然素材の高級下着が、
アレだけ豊富に売ってるって見たことないですよ?かなり迷いました、
同僚分もまとめて買いましたっす」と何やら感動しているらしい。
「そ、そうか~トラブルで無くて良かった、心配したんだぜ、さて、
次は何処に行きたいんですか?」と聞くと、
「じゃあ、次は食料品店が良いっすね特に日持ちするものが良いっす」
と言うので、少し郊外に有る巨大な業務用の食品を扱ってる業者がやってる、
倉庫型スーパーに向かった、結果として来て直ぐカート上下8台分の冷凍食品と、
缶詰・真空パック化した食品と酒を台車型カートに積んで購入して
更に[水]の2Lペットボトル1ケース分を購入した、
そして物は有料で大半を輸送会社経由で送って輸送問題を現金で解決した。
こうして一日で彼ら別銀河の宇宙人たちは衣類食料等を買い物して、
250万程は軽く使った、
問題はこれを俺の部屋まで運ぶって事だ、一部送ってもらった物もあるが、
何しろ俺の部屋が入ってるマンションはは6階建ての6階でエレベーター無しだ、
まあその分家賃が格安だったんだが、お陰でイグさんと2人で
ダンボールやら紙袋を1つずつ運び込み、
目が回るほど階段を往復することになった訳だが最後には2人して、
息切れするほど運び込み、
通路を通じて運んだ商品がその夜35人の社員さんを大喜びさせる事になった。