第一話 謎の生命体
手に取っていただき誠にありがとうございます。
初投稿のため荒いところがあるかもしれませんが、ご理解の方いただけると幸いです。
獅野原陽介の目が覚めたのは午前八時、いつもより早く目覚めた朝である。朝食をとるために一階へ降りる。
「陽介、朝ごはん出来てるわよ。」
そう言う町子婆ちゃんの隣に泰三爺ちゃん、テーブルを挟んで向かいに陽介は座った。二人は先に食べていてもう朝食が終わりそうな中、陽介は食べ始めた。付いていたテレビではニュース番組が流れていた。
「一昨日の午後三時ごろ、女性が”謎の生命体アニマ”に襲われる事件が・・・。」
またかよ、と陽介は思いニュースを見ていた。というのも、数か月ほど前から謎の生物に襲われるという事件が何度も起きているのである。だいたいの被害者は死亡しているが、被害にあって生きている者は皆、人間ではない謎の生き物に襲われたと口にするが、見た目については各々異なる供述をしている。この怪事件について警察は謎の生物のことをアニマと名称し、捜査をしている。ニュースが終わるころには陽介は朝食を食べ終え、午前十時半に予定されているバイトの面接に行くための準備をする。
「履歴書良し、服装良し、あとは...。」
玄関で最終チェックをしている陽介に町子婆ちゃんは、
「くれぐれにもバケモノには気をつけるんだよ。」
と言った。その言葉を頭の片隅に置き、家を出る。
今回アルバイトを受けるところは護陽市にある、店主とその娘と住み込みで働いている男一人の、計三人で経営している小さな喫茶店である。大学進学のために地方から引っ越し、自宅の一室を貸してくれた親戚の泰三爺ちゃん、町子婆ちゃんに少しでも楽をさせるために陽介はバイトを探しているのである。
護陽市に入ると道の反対側で警察官が近隣住民に話をきいているのを見かけた。その様子に目を奪われつつ歩いていると、曲がり角から男が歩いてきてぶつかり、お互いに転倒してしまった。陽介は慌てて起き上がって、立ち上がりかけている男に、
「すみません、大丈夫ですか⁈」
「あぁ、大丈夫だ。こっちこそ飛び出してすまなかった。」
陽介は立ち上がった男の足元に何かものが落ちていることに気が付き、手に取った。それは歯車のようなものであったが変な造形をしていて普通のものより大きい感じがした。
「それは俺のものだ。拾ってくれてありがとう。」
陽介はそれを渡すと、男は警察官がいる方を見ながら話し始めた。
「最近この近くでアニマが人間を襲う事件が起きたんだ。君も気を付けたほうがいい。」
「わかりました。お互い気を付けましょう。」
そう言うと男は歩きはじめ、陽介は早く向かわなきゃと思い少し急ぎ目に歩き出した。頭の中ではさっきの落とし物がやけに記憶にこびりついていた。
道を進んでいくと空き家などがある人気のない通りに出た。陽介は携帯を取り出し、マップを開いた。
「えっと..このまま真っ直ぐ行って...」
すると、近くの工場跡地の方からバンッと不審な音と女性の声が聞こえた。陽介は不思議に思って音のなった方へ行くとそこには倒れている女性と見たこともない化け物がいた。化け物は今にも女性に襲い掛かろうとしていた。陽介の身体は自然と動き出し、化け物の方へ向かっていった。陽介は全体重をかけたタックルを化け物にぶつけ、化け物は少しよろけた。
「はやく逃げて!」
「あぁ..ああぁ...!」
女性は怯えながらも必死に逃げた。すると化け物は陽介を見てしゃべり始めた
「勇敢な人間だなァ...」
陽介は何故化け物が日本語を話しているのかなんて気にすることもなく、少しでも時間稼ぎをするために化け物に立ち向かい、殴りかかった。化け物は避けずに平気そうに拳を受け止め、右手で陽介を軽々と吹き飛ばした。
「ぐっ、がぁあああぁ....」
陽介は壁にたたきつけられたが、すぐに立ち上がって化け物に殴りかかったがまた軽く吹っ飛ばされてしまった。こんなことが三回ほど続き、陽介が立ち上がったとき化け物はまたしゃべり始めた。
「お前よォ、今なんのために戦ってんだァ?」
「自分でも..よくわからない...。でも俺の心があの人を助けようとしている...!」
「お前あれか、アイツの知り合いかァ?」
「違う...!でも、そんなこと今は関係ない!!」
化け物は溜息を一つ吐いた後急に笑いながら言い出した。
「勇気ってのはかっこいいよなァ...。だがな、その勇気は無駄になるんだよォ..!今お前をここで殺して俺のエネルギーにした後、さっきの女を見つけ出して殺してやる!お前の勇気が無駄だったことを証明するためになァ!!」
そう化け物は叫ぶと陽介に向かって走りだし、襲い掛かってきた。陽介は避けようとするがダメージが足にきてよろけて転んでしまった。倒れながら今にも自分に襲い掛かってくる化け物を見て死を悟った陽介は目を閉じた。
次の瞬間、どこかで銃声がなった。
陽介が目を開けるとそこには右腕を撃たれて倒れそうになっている化け物と遠くに銃のようなものをもった人間がいた。薄れゆく意識の中、陽介は遠くの男がもう片方の手に持つ、己の記憶にこびりついたものと同じ物体を目に焼き付かせながら気を失っていった。
「痛ッッ..てェェェなぁぁあ!オイ!!」
化け物が後ろを見ると右手に銃、左手に何かを持った男がいた。
「ナニモンだァ...テメェ...?」
「俺の名はゼノ。お前のようなアニマを狩るものだ。」
男はそう言うと左手にもった何かを右手に持った銃に差し込んだ。
「ギア・アップ!!」
男がそう叫ぶと同時にトリガーを引くと、銃口から烏のような形をした紫色の光が発射され、男を包み込んだ。光が消えるとその中から人間のような生き物が現れた。目は赤く、額から黄色っぽい角のようなものが生えていて、肌は黒色、顔や胸部、肩や背中に紫色のアーマーが付いている。
「狩らせてもらうぞ...その魂....!」
「やれるもんならやってみろォ!」
化け物が走って襲い掛かり、右腕を振り下ろした。ゼノムはそれを避け、カウンターを入れるように化け物の腹に右の拳を叩きこんだ。
「ごォッがァア...!」
後ろに下がったところをゼノムはすかさず二発目、三発目の拳を入れ、右足で工場の外まで蹴り飛ばした。
「く、クソッタレがァ....」
起き上がろうとする化け物にゼノムは銃を取り出し五発撃ち、この追撃に化け物はまた倒れこんだ。
「これで、終わりだ...!」
ゼノムは足にエネルギーを溜め込み勢いよくジャンプし、右足にエネルギーを集中させた。
「レイヴン・ストライク...!」
ゼノムのこの攻撃は追撃により避けることすら許されなかった化け物に見事命中した。
「この俺がァ..喰われ...」
化け物は爆散し、爆発の中から飛び出た光の球体がゼノの身体へ吸い込まれていった。
陽介は気が付いたころには病院にいた。あの後警察が襲われた女性が警察を呼び、気を失っていた陽介を警察が保護したようである。警察は陽介に何があったのか聞いたが、陽介は誰かが助けに来たということぐらいしか覚えておらず、警察はまた手掛かりなしかと言わんばかりの顔をしていた。幸い大きなけがはなかったが、自分の命を粗末にしようとした陽介を泰三爺ちゃんと町子婆ちゃんは泣きながら叱っていた。
数日経って陽介は退院し、この前バイトの面接に行けなかった喫茶店へ行った。店に入ると大柄の怖そうな男の人がいた。どうやら店主のようである。
「いらっしゃい。あんたバイトの面接の子かい?そうなら今すぐ面接始めるけど。」
「ハイ!お、お願いします!」
陽介は鞄から履歴書を取り出し、店主に渡した。
履歴書を見ながら店主は、
「あんたアニマに襲われたらしいな。よく無事だったな。」
「あぁはい、誰かが助けに来てくださいまして・・・。」
「なぁるほぉどねぇ・・・。」
店主は一通り見た履歴書を机に置き、陽介の方を見る。
「んじゃ合格で、これからヨロシク!」
「えっ」
あまりに急に軽く合格を出されて思わず声が出たが、すぐに
「あ、ありがとうございます!」
店主にお礼を言うと店の奥の方から誰かが歩いてきた。
「大悟さん、配達するものってどこですかね?」
「お、翔真いいところに来たな。ホレ、新入りだぞ。」
陽介はその翔真と呼ばれる人を見た。
「 あっ! 」
陽介はこの翔真なる人を見てすぐに気が付いた。この前ぶつかった人だと。そしてあの変な歯車を持っていた人だと。
次回は未定ですが作る予定でございます。
この作品を読んでくださり誠にありがとうございました。