表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/28

合成機

 自動小銃、拳銃、ボルトアクションの狙撃銃、様々な銃器が、トランクの中に一杯に詰め込まれている。僕の見分けのつく銃では、ロシアのAK-47突撃銃や、アメリカのM4カービンなどがあった。


 あのう──僕は決して、武器マニアなんかじゃない。SFを日常的に読むようになると、いろんな雑学が頭に詰め込まれるものだ。ミリタリー関係の知識はもちろん、歴史、民俗学、古生物学、雑多な知識が吸収される。

 もっとも日常的な常識にかけるところがあって、芸能関係やスポーツの知識は、僕の中からすっぽり抜け落ちている。


 麗華は大きく息を吸い込むと、はった! と僕らを睨み、大声で説明を始めた。

「言っておくけど、これ、本物じゃないわよ。全部、モデルガンなの。わたし、趣味がサバゲーなんで……」

 奈美代が呆れたように首を振り、麗華に問い返した。

「サバゲー? だって、あなた陸上自衛隊員だって言ってたでしょ? それなのに、わざわざサバイバルゲームをするの?」

 麗華は不貞腐れたような様子で、奈美代に答えた。

「サバゲーには、結構、現役の自衛隊員が参加しているのよ。演習と、遊びじゃ楽しみが違うもんね」


 全員に弛緩した空気が漂った。

 僕は麗華に、なぜか親近感を覚えていた。

 なーんだ、彼女も僕と同じマニアじゃないか……。

 ポツリと、ルーナが呟いた。

「お腹空いた……」

 乱子がルーナの言葉に、大いに賛意を示して宣言した。

「そうよ! あたし、お昼ご飯まだなんだから! ねえ、ここには何もないの?」

 奈美代が、さっと部屋の一隅を指さした。

「ここには食料合成機があるわ!」

「食料合成機~?」

 乱子が尻上がりの口調で、疑わし気な表情で僕を見た。

 僕は乱子に説明した。

「そうさ。小説に書いてある通りだ。あの合成機で、あらゆる好きな食べ物を合成できる」

「ふうーん……」

 乱子はゆっくり、食料合成機に近づいた。ちょっと眺めて、こっちを向いて質問した。

「で、どうやって使うの?」


「え?」

 僕と奈美代は、お互いの顔を見合わせた。

 そういえば、使い方知らないや……。

 つかつかと合成機に近づいた乱子は、いきなり平手で機械を叩いた。

「こんなの、叩けば動くんじゃない?」


 おいおい、乱子。君は「未来少年コナン」の、ダイス船長かよ?

 あっ、このギャグ、判んない人はDVDをレンタルして「ギガント」「インダストリアの最期」の回を視聴するように。


 その時、それまで丸まっていた八咫烏がヒョイと体を起こし、蛇のような首を立てて、その先の目玉を乱子の方へ向けた。

「待ちなさい。そんな乱暴なことで機械は動きませんよ。わたしが教えてあげます」

 乱子の態度に、大事な機械を壊されてはかなわない、と思ったのだろう。八咫烏はそれまでの丸まった体勢から、するりと立ち上がり、三本の足を動かし、慌てた様子で食料合成機に近づいた。

 乱子、麗華、双子の姉妹、奈美代、メイド三人組たちが一斉に機械に近づき、熱心に八咫烏の説明に聞き入っている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ