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荷物置き場に人の気配はないかどうかの確認をして、フレイヴとアルフレッドはコンテナから出た。波が船体に当たる音が聞こえている。
「どうも、出入口は一つしかないようだな」
アルフレッドの言葉に、フレイヴはこの部屋で唯一のドアを目にやった。人が入れるコンテナが入りきったのだ。それ以上の大きなドアである。そして、この奥に出たとしても、そこが外であるとは限らない。あるのは武器を手にした軍警備員たちだろう。だが、出入口は一つしかない。ということは、軍警備員たちに見つかる確率はかなり高いとされる。一か八かの賭けだ。どうか、この扉の先に誰もいませんように。先にアルフレッドが出るつもりなのか、大きなドアノブに手をかけようとしたときだった。自分たちが開けようとしたドアは勝手に開かれた。そして、その向こう側にいたのは――。
「誰だ!?」
軍警備員。運は尽きたか。だが、まだ自分たちは捕まっていない。増援を呼ばれる前に手をかけなければ。二人と軍警備員が同時に動こうとしたときだった。
「大変だっ!!」
荷物置き場の部屋の外から切羽詰まった声が聞こえてきた。それと同時に船が大きく傾き始める。これにその場にいた三人は一瞬だけ硬直状態に。慌てた様子の声は言葉を続けるのだった。
「海からナズーが現れた!! 総員、駆除の準備を!!」
これは不幸中の幸いというものだろうか。二人を発見して武器を手に身構えていた軍警備員はそれどころじゃないと、この戦闘を解き――駆け足でどこかへと行ってしまったのだ。この騒ぎだ。部屋の外はかなり慌てふためいている様子。ゆらゆらと船体は揺れて、立っているのも一苦労である。
「これはチャンスかもな」
アルフレッドは行くぞ、とジェスチャーで促す。これにフレイヴは大きく頷くと、おそらくはナズーがいるとは反対方向に駆けていくのだった。このナズーの騒動にあやかり、二人は正々堂々と船内にいる軍警備員たちの横を駆け抜ける。これでいい、これでいいのだ。こんな小汚い侵入者よりも、己の命と人間生命線を脅かす侵入者をどうにかする方が第一だろうから。誰もがナズーになりたいなんて思わないだろうから。
島自治区へは限られた人間でしか行けない。それなのに、明らかにそうではない者たちが横を通り過ぎていくのを軍警備員たちは見逃すしかなかった。ナズーが現れたのに、不法侵入者まで現れる始末。どちらを天秤にかける? 答えはもちろん――。
「さ、先にナズーの駆除にあたれ!」
そちらが優先。一方で二人は当然の結果だろうな、と思いつつも――船から海へと決死の飛び込みを試みるのだった。




