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世界は心を孤独にするほど俺たちを嫌う  作者: 池田 ヒロ
◆第三章 願いと意思◆
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34ページ

 この世に知らない情報はないと言うような情報屋。片や、この世で自分だけしか知らない情報を持っているというカムラ。カウンターの向こう側にいる隻眼で身長が低い男――店主、もとい情報屋が「ほお」とあごをなでた。


「この俺ですらも知らない情報とは一体なんだ? それを教えてもらおうかね」


「ははっ、そうそう簡単に出すわけがないじゃん。まずはフレイヴが欲しがっている情報を教えてあげなよ」


 なんとも大層な自信家の少女。これに情報屋は「ばかげている」と嘲笑しながら、タバコに火をつけた。その場に紫煙が燻る。


「お嬢さんが言っていることは、自分は大金を持っていますよ、と言っているだけと同じだからな? その持っている情報の価値をわからずに謳うのはどうかしているぜ」


「そっちこそ、本当は情報の価値をわかっていないんじゃないの?」


 町中でのいかついおじさんとの睨み合いのように、カムラは情報屋に対して煽るような口調で笑うのだった。これにフレイヴは慌てふためきながら「カムラ」と小声で制止をかけようとする。


「あんまりここで暴れないで。情報の取引に応じてもらえなかったらどうするんだよ」


「は? 決まっているだろ。そこのおっさんの手足を縛って――」


「ストップ。ぼく言ったよね? 問題起こすなって。頼むから、このおじさんの言う通りにして。先にカムラが持っている情報を出して」


 これ以上、カムラのペースに合わせていたならば、心臓がいくつあっても足りないだろう。彼女はかなりの爆弾発言を炸裂してくれるではないか。現在における自分の性別の理解の有無とは関係なしに。お願いだから、と言う懇願に渋々「わかったよ」とため息をつくのだった。


「おじさん、知ってる? 『神様の日記』っていう本」


「言っておくが、おとぎ話なら取り扱っていないぞ」


「これがただのおとぎ話なもんか。これはこの世界における心臓になる物なんだけど」


「はははっ。おい、息子の方」


 フレイヴのことを呼んだ情報屋は凄味のある声で言うのだった。


「くだらない童話なんて俺は聞く気がないから、早くこの女と一緒に出てくれないか?」


 どうやら本気でカムラの話に興味がないらしい。情報屋は店から二人を追い出そうとする。慌てたフレイヴは「待ってください」と声を荒げた。この時点で周りの客は訝しげにこちらを傍観しているのである。


「自分たちの個人情報でも売りに来たかと思えばっ!」


「お願いです! ぼくたち、ナズーに関する情報が!」


「だったら、西にある遺跡にでかいナズーがうろついているらしいから、倒してこい! そしたら、あげようじゃねーか!」


 なんとも無茶ぶりな注文。これを二人は受け入れる他、どうすることもない。そのため、フレイヴは情報屋に教えてもらったナズー退治をするしかなかった。

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