第9話 アルラウネの女
彼女を大和さんに見てもらいたい、でも、彼女は2mの身長と褐色の肌を持ち、髪は緑色。大和さんやほかの女の子も、彼女のことを受け入れてくれるだろうか。
だから僕は、大和さんのところへ戻って有浦さんのことを告げた。
「大和さん、今、中庭で植物人間みたいな人がいて・・・」
「大変じゃないですか!?早く助けないと!!」
助ける?有浦さんは元気だけど。そんなに慌ててどうしたんだろう?と思っていたら大和さんは有浦さんの目の前にいた!2人が接触したら有浦さんの人種の関係で困る。急がないと!
「あ!」
「吉田さん!」
僕は夢中で大和さんの後を追いかけた。ちょっと今はその横の3人に構っていられない。すまないけど。
「この方ですか!?」
大和さんは、有浦さんを見て切れ長の目を大きく見開いていた。ちょっと体が硬直しているようにも見える。彼女は身長約2m、茶色の皮膚に緑髪、普通の人たちとは明らかにかけ離れた容姿だ。
「大和さん、この子、引き入れていいですか?」
「しばらくお待ちくださいね。彼女は大丈夫なのでしょうか?」
「何が?」
僕は質問した。何が大丈夫なんだ?大和さんはしばらく硬直していたが、少し経って、有浦さんに聞こえないように僕に耳打ちして話す。大和さんの片手は、姿勢を安定させるためか僕の肩に手を添えられていた。
「だって、見た目が少し私たちと違うから」
「それは大丈夫ですよ」
それより大和さんとの距離が近い。僕は恥ずかしすぎて熱くなってしまった。と、慌てて大和さんが僕から離れる。
「す、すみません!」
「有浦さん、また後でいいですか?」
「はい・・・」
去り際に、有浦さんの声と表情が沈んでいったのがよく分かった。
続いて、僕らは大和さんのお母さんにあった。
「いらっしゃい、あなたたちが若奈の友達なの?あの子に何かあったら
ビシバシ言ってくださいね」
と、お母さんに言われたので、僕は「はい」と返事しておいた。本当に厳しく当たるわけではないのだが。大和さんに似て目が切れ長だが、厳しそうなお母さんだった。大和さんはお母さんに少し合わせただけで僕らを次の場所へ連れて行った。それが大浴場だった。
「こちらが大浴場になります。男湯が右、女湯が左になります。中に入ったらできるだけ
暴れないでくださいね」
大和さん、分かりました。暴れたらいけないのですね?いや、暴れたらいけないって、大浴場にも何かあるのか?