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GARDEN CALL  作者: KAZU
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第6話 なぜ結香がここにいる

 江坂さんと出会って1週間後、僕は彼女ののセキュリティソフトを買いに・・・、いや、織田さんに買わされに、家電量販店に来ている。そのソフトも購入したので、今日はさっさと帰ることにしよう。


 と、店から出ようとしたところである赤い服とスカートを履いた女の子、いや、女性がいた。


「結香!?」

「直くん!?」


 今、僕の前にいるのは幼馴染の北原結香(きたはらゆか)。目は大きく、唇はぷくっとしていて、鼻も高い。


「って、なんで結香がこんなところにいるんだよ」

「それはあたしが聞きたいんだけど」

「いや、前の上司にセキュリティソフトを買えって言われてきてるんだよ」

「セキュリティソフト?何それ」

「知らないの」

「まあいいわ」

「何だ。興味なさげだな、自分から聞いてきて・・・」

「待って。何のセキュリティソフトなの?」

「・・・。会社にロボットがいるんだけど、それのセキュリティソフト」

「え?直くんのどこの会社に勤めてた?」

「ヒロイックっていう自走車部品の工場」

「知ってる。ロボットがいる理由もなんとなくわかったけど」

「知ってるなら聞くなよ・・・」

「だって、ロボットがいる会社ってそうそうないじゃない」


「うん、僕も最近まで分からなかったよ」

「そうなの?」

「うん、実は仕事変わっちゃって・・・」

「何してるの?」


 来た。アイドルのプロデュースをやってるなんてバカなことは言えない。でも、正直に言わないといけないかな?


「実は僕、会社の都合でアイドルを作ることになったんだ」


 とうとう言った。案の定、場の時間が数秒間、止まってしまった。そして結香がその時間を動かす。


「直くん・・・バカになったの?」


 お、おい・・・。僕がバカになったわけじゃない。上司がバカなのだ。


 で、目の前にいる北原結香は見た目には十分申し訳ないほどアイドルにふさわしい。

ただ、性格は少々きついし破天荒なので、僕がついていけるか分からないといったところである。だから僕はこんな提案をしてみた。


「いや、僕は本気だよ。それで、結香もアイドルやってみないか?」

「うーん、もうちょっとアイドルをやってる証拠がないと何とも言えないなあ。今のところ、直くんはただのバカだし」

「なんだよ、ただのバカって」

「ただのバカよ」

「はあ・・・。こいつをアイドルにしたら大変かも」

「なによそれ!?このバカ~!!」


 結香を暴れさせてしまったため、僕は結香に追いかけられる羽目に遭ってしまった。当然、店員からは注意された。


 店の自動ドアあたりで、結香が聞いてきた。


「あなた暇?」

「暇なわけあるか!」


 と、僕は結香に向かって派手に突っ込んだ。そうしている間に、店から出ていた。


「何の用事があるの?」

「家に帰る」

「ないね!じゃあ、あそこの喫茶店に寄っていこうよ!」

「喫茶店?」

「ほら」


 僕の手首をホールドした結香の指さす方向を見ると、あれは、センマイコーヒーだ!

その家電量販店の隣にセンマイコーヒーがある。出口から出て左手である。


これは寄るしかない!


「わ、分かった。せっかく会えたんだし、結香の話を聞こうかな」

「うれしい!さあさあ!」


 と、満面の笑みを見せる結香は僕の手を袖ごと強引に掴んで店の中へと走ってく。僕の選択肢はなしか・・・。早く帰りたい・・・。離せ・・・。

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