第4話 宇宙人 来訪
次の週に入り、僕はやはり資料室にいた。中にはまだ何もない。
相変わらず寂しい資料室だ。そして僕は考えもろくにまとまらなく、1日中ゲームばかりしているうちに時間が流れているような気さえしていた。
そして今日も僕はアイドルの計画そっちのけでゲームをしていた。それは異星にワープし、その星の人類と星の中で宇宙戦争が起きた、その星を救い、宇宙戦争を終わらせるゲームだ。別に僕は宇宙人を信じているわけではない。
そうしていると、壁が光り始めた。なんで!?今はまだ午前中だ。この時間に転移反応が見られた事はないのに・・・。
その光が収まって、僕の目の前に現れたのは二宮さんではなかった。その彼女は肌がとても白く、顔のパーツが小さくとても整った顔立ちであどけなく見えた。彼女の赤と緑の髪の色が目を引く。僕は大きな驚きの中、また冷静に彼女を見つめていた。
「あ、あの!? こ、ここはどこですか!?」
彼女は大声だけどあどけない話し方だった。小さい口を必死に開けているところがまたかわいい。
「え!?君は!?」
「わ、私は・・・!?・・・名前は、ありません!!」
「・・・!?なんで?」
「ないから・・・」
名前がないのか。困った。どう呼べばいい・・・。あ、そうだ。
「そうだ、名前を考えよう。いい?」
「は、はい!」
彼女は即答したそれはまるで、条件反射のようだった。
「どんな名前がいい?」
「え?なんでも」
「なんでもいいか・・・」
どうしよう。その時、恥ずかしそうに髪をいじる彼女が腕を捲りあげたところで目を疑った。彼女の腕に紫色の毛がびっしり生えていたからだ。
「紅藤さん!これ」
「ああっ」
紅藤さんは腕を慌てて隠す。
「見た?」
「ごめん」
「いい」
「うん」
「私、異星人」
「え?」
僕は耳を疑った。本当に宇宙人が来るとは・・・。ただ、かわいい宇宙人だったので怖くはなかった。じゃあ、紅藤さんは毛深い宇宙人なのか・・・って何だそれ?
「う~ん、じゃあ紅藤緑、でいい?その髪の色、あとここの毛も」
「は、はい!」
「ああっ」
紅藤さんは顔を真っ赤にして下を向いてしまった。
「紅藤さん」
「はい」
「なんでこの星の言葉がわかるの?」
「それは・・・」
紅藤さんがまた可愛く、気恥ずかしそうに、服の上の翻訳器を指さした。ああ、これか。いろいろな言語の混ざる星なのか。まあ、今資料室でありえないことが起きているので、いろいろと理解に苦しむ僕なのであった。
紅藤緑(僕命名)が来てから1時間が経った。だが、彼女は二宮さんとは違い、一向に
転移しない。そして、彼女は人見知りなのか、自分から話しかけてくることはなかった。
そして、僕も話さないものだから、資料室は今永遠の静寂に包まれている。
「・・・」
「・・・」
僕も女の子と話すのは苦手だから、何を話していいのか分からない。彼女は一向に転移が起きず、お昼ご飯を分け与え、昼からは二宮さんが来た。
「来ちゃいました」
と、彼女が言うと、紅藤さんは隠れてしまった。二宮さんは続けて質問する。
「1人目のアイドル、見つかりましたか?」
「・・・いえ」
と、僕が答えたら二宮さんは後ろを向いた。
「あの子は・・・紅藤緑さんです」
「よろしくお願いします」
と、二宮さんが挨拶をすると紅藤さんは頭を下げた。
「うふふ、あの子、シャイなんですね」
シャイか、そうか。だからあまり話さないのか。
「うふふ、そろそろ私も帰る時間です。楽しみにしてますね」
と言って、二宮さんは転移していった。