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俺の親友(以下略)・中

あらすじ

理央と夏美二人から別々に恋愛相談を受けた優。しかも成り行きで夏美の告白を手伝うことに!?


 

 

 「わ、わわわたしぃぃぃ!!・・・ひぃぃぃやっぱり無理だよぉぉ・・///」

 「頑張れ!聞いてるオレのが恥ずかしいから!!」

「ふぇぇだってぇぇぇ・・」 

「ふぇぇとか言うな!それもう少女漫画じゃねーから!

 最早ギャルゲーの域だから!!」

 「は?ぎゃるげー??」

 「いいよそこに食いつかなくて!」

 『わたし、貴女のことが好きなの』たったこれだけ言うだけなのに、まさかの一人称すらアウトだった。かなりベタなヒロインっぽいなぁとは思っていたがまさかここまでだったとは。つか酷い。酷すぎる。もう不安しかない。

てかこのまま告白させてたらあいつが困りはてて苦笑する未来しか見えない。それはだめだ。ここまできたのだからなんとしてもやりとげてほしいと思う。

・・ずっと、あいつの隣で見守っていたオレからすれば。だけど今のままではそれも難しいだろう。

 「・・じゃあ最初から言わなくていいから"好き"って言ってみろよ。」

 一瞬なにやってんだろ自分って思ったけど、頑張るんだオレよ! 

「うっ、うんっ、・・すーーはーすーーー・・よしっ、しゅっ、しゅきでしゅ!!」

 「はいアウトぉぉぉぉ!!

 噛みすぎっ!ベタな間違いしすぎ!!お約束なんて守らなくていいから真面目にやれっ!」

 「真面目にやってるよぉ!!(涙)」

 そこからおよそ一分後、両者とも疲れはてて机の上で伸びていた。

 途中から、告白とかあいつからやればいいじゃん、てかやるって言ってたし別にこんなんやらなくてよくねとか思い始めたけど、適当に誤魔化して後で面倒くさくなりそうなの分かってるからやっぱりそのまま続ける方向でいこう。かなり絶望的だけど。

  「・・お前、緊張するときとかいつもどうしてんの?」

 「いつもは深呼吸とか手に"人"って三回書いてそれを飲み込んだりするまじないとかしてるけど、今回はどうしても効かなくて・・っ、ねぇこういうときってどんな顔すれば言いかな!?」

  「どうっ・・て、別に普通の顔すればいいだろ」

  「普通がわかんない・・」

  「・・うわっ」

 もう混乱しすぎて、訳分かんなくなってんなこいつ。

「・・ねねね、小鳥遊くんちょっと見本見せてよ。」

 「は!?告白したこともないオレにそれをいうか!??」

  「・・ちょっとだけだから!!お願いっこのとーり!」

 パンっと手を合わせて腰を折る真山さん。・・まったく。

 「・・一回だけだからな。」

 「ありがとう、小鳥遊くん。」

 「じゃあいくぞ・・。」

 ふー、と息を吐いて真剣な顔を作り真山さんと向かい合う。

 そういやオレ、演技だとしても女子に好きっていうの初めてかもしれない。

 偶然にもオレと真山さんの右側からは夕日がさしこんでるし、しかもここってあまり使われない空教室だからシチュエーションとしては最高すぎる、なんて考えたところで、いきなり心臓がドキドキと鼓動を早める。

   (・・いま、オレの顔真っ赤だろうな、うわだっさ、オレ)

 それでもキラキラした目で真山さんがこっちを見てくるから失敗は出来ない。

 覚悟を決めて、オレなりの告白をする。

 「・・真山さんのことが好きだ。オレと付き合ってほしい」

 「・・・っ//」

 ドキッ

 真山さんの名前をだしたのはちょっとした仕返しのようなものだ。結果は良好。

 真山さんの顔面は一気に少女漫画よろしく赤面顔になった。

 その後、何度か練習を重ねたがまったく進化はなく、また次の日に持ち込みとなった。

 だから、気がつかなかったんだ。・・まさか、オレが告白の見本をしていたときにちょうど理央が俺達をさがしに来ていたなんて。

 理央は、足早にその場を去ったあと、何かを耐えるような顔で、手に爪が食い込むほど強く握りしめた。

 「・・・なんで、優ちゃん・・。」

 

 翌日、なぜか理央の機嫌が今まで見たことがないほどに悪かった。

 後ろにブリザードが吹いてるように見えるのはオレの目がおかしいのか。なんだか目も座ってるし、・・え?まじでどうしたん?こいつ。

 いつもは真っ先に挨拶を交わしに来る真山さんも怖がって近寄ってこないし、クラスメイト全員の目がオレに事情を聞けと訴えかけてくるのだが、正直近づきたくない。だって怖いんだもの。それでも一日中この空気なんて真っ平ごめんなので頑張ってみることにした。・・オレまじ健気だわ。

 「・・よぉ、」

 「・・・」

 オレをその瞳に写した途端、更にブリザードが荒れる荒れる。え?原因ってもしかしてオレなわけ?なんかしたっけな?

 すると理央も挨拶を返してきた。・・しかも、

 「・・はよ、優ちゃん。」

 「!?ちょっ、まえっ!!!」

 なんでいきなり昔の呼び方してんだよ!ちゃん付けとか恥ずかしすぎるんだけど!!

「・・優ちゃんさ、」

「あ?なんだよ。」

理央をジト目で睨みながら質問を返すオレ。

「・・嘘、ついたのか?」

「は?」

なんだ嘘って。もしかしてこの間の『ご飯食べて直ぐに寝たら牛になるぞ』って言ったやつ、まさか本当に信じてたのか?・・それともあれか?『来月号の人気漫画のヒロインがモブとくっつくらしいぜ』って嘘がもうばれたのか??

なんだろう。思い当たることが多過ぎて分からんな。一体どれのことを言ってるのか。記憶の彼方から様々な嘘を引っ張りあげてると、理央はまたポツリと言った。

「優ちゃんって・・もしかして夏美と付き合ってるのか・・?」

悲しい声だった。これに関しては思い当たることが一つだけだ。まさか、アレが見られていたというのか。あの放課後の戯れで言った告白もどきを。真山さんの方を見るとショック過ぎて顔面蒼白だった。当然だよな。好きな人から誤解を受けているのだから。しかも(嘘とはいえ)決定的証拠がある。というか、どこから見てたんだろうか。

「え、・・っと、理央?お前、どこから見てたんだ?」

「・・・・・・優ちゃんが夏美に告白したところから。そのあとは見ていたくなくて直ぐに帰ったけどやっぱり本当なんだな。」

いや、全然違いますけど。そう言おうと口を開いたところで理央がオレの腕を乱暴に掴んでそのまま教室から出た。デジャヴュ。そしてデジャヴュという言葉に関してもデジャヴュを感じるオレ。あれ?よくわかんなくなってきたな。

そのまま引きずられるように連れてこられたのは体育館裏だった。なるほど、これはアレだな。てめぇよくも俺の(告白するはずだった)女をとりやがったな的な感じに殴られるアレっすな。・・・どうしよう。オレ、喧嘩とかマジ無理なんだけど。───土下座したら許してくれないかな・・。

そんな感じに戦々恐々としていたオレだけど、実際そんなことはなくて。

殴る替わりに理央がしたのは、弱々しくオレを抱き締めることだけだった。

「優ちゃん、・・なんであんな嘘をついたんだ。

告白の相談だって乗ってくれたのになんで・・っ」

「・・理央。」

理央は俺の肩に顔を埋めているから表情は分からないけれど、そこから聞こえる声は──少しだけ、涙声だった。

一体何をやってるんだオレは!オレは親友の幸せを壊したかった訳じゃない!折角できた大切な女性と幸せになって欲しくて、お節介を焼くどころか余計に引っ掻き回して悪化させるなんて・・っ!!

解ける解けないじゃない!この誤解だけは絶対に何としてでも解かなきゃいけない。あと少しでハッピーエンドが見えてるのに、ここで終わりになんかさせねぇっ!!

「あのな、理央!実はっ・・」

もう少女漫画とかどーでもいいじゃないか。ぐだぐだに終わろうとも、第三者から伝えられようとも幸せであればなんだっていい。だってここは現実なのだから!

そうして、理央の顔を肩から剥がそうとしたとき、理央が爆弾を落とした。

「・・こんなことになるんだったら、優ちゃんの言うことなんか聞いてないで、女の子の友達なんか作るんじゃなかった。」

・・・ん?

「そうだ、なぜこうなることを予想しなかったんだ俺は!今までだっていつもこうだったじゃないか!!・・はぁ、もっと早くに二人の関係に気付ければまだ阻止できたかもしれないのに!」

・・んんん?!??

「理央サン?・・あの、ちょっとまっ」「もう優ちゃんが今誰のものであるとかもう関係ない。優ちゃん、好きだ。初めて会った時から十年間ずっと好きだった。俺と付き合ってくれ。」

「いやだからちょっと待てって言ってんだろーがぁぁぁぁぁぁ!!!」

だろーがぁぁぁ・・だろーがぁ・・ーがぁ・・・・

オレの叫びは天高く響き渡ったという。


最後まで読んでくださりありがとうございます。次で最終回です。どうぞよろしくお願いします!

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