俺の親友(以下略)・上
小鳥遊 優 ・・主人公。見た目は綺麗な美青年だがそれ以上に親友がモテるため自覚がない。目下の悩みは彼女が一度もできないことと親友が両片思いっぽい女の子となかなかくっついてくれないこと。
「早くくっつけよ!オレのために(泣)!!」
沢村 理央 ・・優の親友であり幼なじみ。かなりの美男でクールだが、天然な一面も。かなりモテるが浮いた話が一切無かった。しかし夏美に出会い・・?
「なぁ優。相談したいことがあるのだが・・」
真山 夏美 ・・・少女漫画のヒロインっぽい女の子。可愛い。沢村に一目惚れしてから沢村たちと共に行動している。理央とは何回かラブコメってる。行動力が半端ない。
「あのさ、小鳥遊くん。・・その、相談があるんだけど・・」
オレの親友は少女マンガのヒーローなんじゃないかと思う今日このごろ。
「大丈夫か?───夏美。」
「ふぇっ!?・・う、うん」
(・・わっ、理央くん、今、私の名前を・・///)
「・・・な、なんで沢村くん・・
。
そんな平凡女なんかに・・っ!」
「平凡女なんかじゃない。夏美は可愛い。」
「・・・り、理央くんっ・・//」
・・・。
・・えー、唐突に始まったこの状況はですね、簡単に説明すると、
①ある日少女マンガよろしく食パン咥えて朝ドンをした格好いい理央と、至って普通の女の子夏美が色々(割愛)あって仲良くなる
②しかし理央学校でメチャモテだが他の女子とつるむことはおろか話すことすらしない
③他の女子嫉妬&羨み
④夏美苛められる
⑤理央助けに来る→今ココ
こんな感じですかね。
あ!ちなみにオレは作者でもなければモブでもないっす!ちゃんと存在してます、この場に。
オレの名前は小鳥遊 優。今出てきたイケメンくんの幼なじみ兼親友です。
クラスメイトに真山さんが苛められていることを教えられた理央が何故かオレの腕を掴み校内を探しまくった結果、この修羅場に出会ったわけですよ。
・・なんでオレ連れて来られたん?
いらなくね?え?なんでこんな空気扱いされてるのにここにいなきゃなんないの?辛いんだけど。
てか、オレ恋人どころか友人以上恋人未満の友達すら出来たことないのになんでこんな拷問味わんなきゃなんないの?なにこれ苛め?ねぇ、そこんとこちゃんと分かってますかね?
理央くんやいっ!!
「~~~~」
だが、我が親友沢村理央は未だにオレ無視で話してるし。用ないなら帰りたいのにこいつがいまだに腕離してくれないからどこも行けないし。
・・痛い痛い腕ギリギリいってます理央くん!!
くそぅっ、何だってオレがこんな目に・・
「──だよね小鳥遊くんっ!」
「・・へっ!?」
やべぇ、いきなり苛めっ子の主犯格の女の子から話フラれたけどそもそも聞いてなかったからなんのことかわからん。ここは適当に相槌でも打てばいいのか?
困っていたら、何故か理央が助けてくれた。
「優は関係ないだろうっ!!」
「だって・・!!」
そしてまたループ。長いっ長いよっ!いつ終わるんだよとか思ってたら授業前になんか解決して苛めっ子が真山さんに謝ってめでたしめでたしみたいな雰囲気になってた。
・・みなさん俺のことお忘れじゃない?
その数日後、オサレな感じのカフェに呼び出されたオレは呼び出した本人、我が親友理央の前でウインナーコーヒーを飲んでいた。正直コーヒーとか苦くて苦手だけどコーヒー飲んでるのってなんか、かっこよくね?
「・・うゎ、苦っ・・」
「・・苦手なのになんでウインナーコーヒーなんて頼んだんだ優ちゃん・・」
ちなみにこいつは二人きりのときだけ昔の呼び方に戻る。普段は格好つけたいのか分からないけど、そろそろ統一してもいいと思う。優ちゃんって女子かよ。
「・・そんなことどーでもいーんですー。
で?今日はどうしたんだ、こんなとこに呼び出して。
真山さんじゃなくていいのか?」
「・・なんでそこで夏美が出てくるんだ・・」
おっ、ちょっと不機嫌になった。
まぁ他の男の口から好きな人の名前が出るのはなんとなく嫌なことなのかもしれない。
ぶっちゃけ言うとこいつは真山さんのことが好きなんだじゃないかって思う。というか絶対そうだ。
何故、こんなことを言い切れるかというとこいつの態度だ。こいつはだいたい人に興味を持つこともなければここまでしつこく話したりしない。というか、普段の鬱陶しいほどのピンクオーラはもはや隠す気すらないだろう。
正直なぜココまであからさまなのにその本人には自覚がないのか理解ができない。・・・末永く爆発しろこの野郎。
「・・相談があるんだ。聞いてくれるか?優ちゃん。」
「相談?お前が?」
「あぁ、実はな・・・」
相談というのは告白のことだった。曰く、近々思いをぶつけたいから手伝ってほしいと、そんな内容だった。
今まで告白されたことしかないモテ男がまさか今まで恋人はおろかモテたこともないオレに恋のキューピッドを頼むなんてどんな皮肉かと思ったがそこは親友のよしみだ。流してやろう。
「だが、俺はあまりそういったことに、・・その、経験がなくてな。どうやったらいいか分からないんだ。だから、お前に参考としてアドバイスしてもらおうかと・・」
「オレなんて恋愛のれの字も経験したことがないんだが。」
「だっ、だが他人からアドバイスを貰うことは悪いことじゃないだろう!?」
「相手を選ぶことも重要だと思うけどな。
大丈夫だって。お前ならストレートに言っても問題ねーから安心しろ。寧ろさっさと爆発しろ。」
「爆発?!・・で、でも、そうか。ストレートにいっても本当に大丈夫なんだな?」
一瞬、理央がピクリと反応したあとおずおずと聞いてきた。
全く、親友のいうことが信用できないのかよ。言っとくけどオレは自分に向けられる好意は全く分からないが他人のやつは百パーセント当てられる自信があるんだぜ?前に好きだった女の子の好きな男なんて告白する前に当てたんだからな!・・くすん。
「じゃ、じゃあ・・」
ちらりと上目遣いでオレを見てきた理央。顔もなんだか赤いし・・風邪か?
男の上目遣いとか気持ち悪いと思ってたが美形がやると様になるんだな。それでも鳥肌は消えないけど。
「?」
「・・いや、やっぱりいい。」
「なんだよ!気になんじゃねーか!!」
「・・・。」
真剣な顔で黙ってしまったし、これ以上追及すんのも可哀想なので一旦やめる。
「・・はぁ、まぁお前が今言いたくないんならいいけどよ。
ちゃんと後で教えろよ。」
「あァ、すまない」
明らかにほっとした表情をした理央を見ただけでいいやと思ってしまう自分はつくづくこの幼なじみに甘いなと思った。
(・・でも、このままだとずっと進展しないんじゃねーかこの二人・・)
そのまた数日後。
「小鳥遊くん、その、相談があるんだけど・・」
「・・・」
デジャヴュ。つかまたかよ。ついでいうと、また同じカフェだし。もう二度コーヒーなんて飲まないって誓ったはずなのにまた同じウインナーコーヒー頼んじゃってるオレがいるよ。つか苦っ!
もうなんなん?流行ってんの?オレに恋愛相談すんの。どんな罰ゲームだよそれ。早く帰りたい。
「それでねっ、相談ってゆうのは・・」
「理央とのことだろ。はいはい知ってる。」
「ふぇっ!?なっななななんで・・!!」
「いや分かるから。もう十分お腹いっぱいだから。
とりま早く告白したら問題も解決するよ。よし、はよ爆発してこい。そーればっくはつーはいっばっくはつー!」
「雑っ!!ちょっ、ちょっと待ってよ!もう少し丁寧に対応してくれたっていいじゃない!!」
「くどいっ!この流れもう二回目なんだよ!
仏の顔は三度までって言うが俺は一度が限界なんですからね!」
「心狭っ!!まぁ、いいや・・それでね・・」
「無視か!」
「実はね、今度理央くんに告白したいから小鳥遊くんにはその練習台になってもらいたくて・・」
「ねぇオレ泣きそうなんだけど」
「・・やっぱ、私なんかが理央くんに釣り合わないないって分かってるけどっっ・・でも諦めるにしてもちゃんと振られてから諦めたいというか・・」
「華麗にスルーしよるなこの子。ねねこの哀れな子羊の叫び聞いたって!?」
「だからお願い小鳥遊くん・・」
「はぁ・・」
夏美はびくっと肩を震わせた。・・オレがそんな非人道的に見えるのか?やれやれ・・ったくこいつらにはこの先も付き合わされそうだ。
「分かった」
「・・っっ!じゃあっ・・!!」
「・・ただしやるのは学校でな」
「え?でも・・」
「場所がないんだ。仕方ねーだろ。付き合ってもない男女がお互いの家を何回も行き来する方が余計変な誤解受けるぞ」
「・・・」
「・・安心しろ。放課後にやればいいだろ。そしたら人がいないだろうし」
「・・・うん、ごめんね小鳥遊くんこんなとこ頼んじゃって・・。」
「今さらの話だろ」
やれやれ、どうやらこの分だと告白が成功したあとに二人分惚気を聞かされそうだ。
最後まで読んでくださりありがとうございます!初めまして、オタッキーと申します。この作品が初投稿です。これからも精進していきたいと思いますのでどうぞよろしくお願いします!