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7 嫌でも出発
何の力もない僕が、何の力もないと確信したすぐ後に、出発の時がやってきた。
装備を固めたジュドー、アラクラ、タロスの3人と、丸腰満開の僕。
「何も、持ってきてないのか」
さすがに戸惑い顔のジュドー。
涙目で頷く以外にない僕。
何の特技もないですから。
何を持っていいかも分かりませんから。
「…お荷物、お持ちします」
僕は、蚊の鳴くような声で言うしかなかった。
分かってる。
皆呆れている。タロスはため息だ。
ほら。
僕が何を言ったか聞こえてもない癖に、見送りしている奴らが噴き出し笑いしてる。
僕を指さして非難してるジジイとババアもいる。
メビウス姉さん。これが僕だ。
で、ジュドーとアラクラは優しいできた人間だから、庇ってくれる。
全部、分かってる。
そして、僕の考えた通りになる。
ほらね。