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5 選ばれし者たち

 村の広場におふれが出た。


 アグラの洞窟の儀式に選ばれし若者4名の名前。


 ジュドー

 タロス

 アラクラ

 エンジュ



 4番目の名前を見て、誰もが唖然としている。


 ジュドーは皆納得の文武両道男。バランスの良い体格と健やかな精神。輝く黒眼とやや硬そうな黒髪で、分かりやすいイケメン。女の子にキャーキャー言われてももはや動じることのない、生まれながらの勇者だ。僕は嫌いだ。


 タロスは筋肉男。無駄にデカイ。黒い短髪がいつも汗で光ってる。バカ力で何でもなぎ倒すしか能がない。声もデカイ。一部の筋肉フェチの悪趣味な女の子や年上にもてはやされている。僕は嫌いだ。


 アラクラは優しい女の子だ。回復魔法や治癒の技術が得意で、こんな僕にもかわいく声をかけてくれる。ツヤツヤの茶色い髪は少しくせっ毛だ。いつも編み上げてまとめている。たまにほどいているのがまた、すごくかわいい。正直、すごい好きだ。


 エンジュは僕だ。16歳には見えないガリガリだ。薄茶色の目も髪も貧相。前髪でできるだけ顔を隠しているけど、猫っ毛でちょっと扱いづらい髪で苦戦している。言わずと知れた、メビウス姉さんからのギフトで何もかも手に入れた男だ。昨日まで、僕は世界で一番僕が嫌いだった。今は事情が違う。




 さて、選抜メンバーの発表を見て、卒倒した奴もいる。


 大丈夫、メラ、しっかりして、という悲鳴。

 自分が選ばれると信じていた女が、ひっくり返ったことで、場は騒然となった。

 メラは、攻撃魔法を得意とする、鼻もちならないリア充女である。いい気味だ。



 僕は知っていたから。

 こうなることを。

 誰も知らなかったことを、僕は知っていた。

 僕が思った通りになった。




 マジ、神じゃね?




 僕に向けられる周りの視線は、困惑と怒り。

 知ったこっちゃない。

 ね、メビウス姉さん?

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