表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/11

前夜

 ピロロン、と購入時から一度も変更していない、面白味もない着信音が響く。儂のようなじじいが携帯電話なるものを用いてやり取りをするのはなんともあれなのだが…にしても、こんな時間に何の用だろうか。ファンレターなら時間を考えて送ってほしいものなのだが。老人は寝るのも早いのじゃ。


 億劫な手で、携帯電話をとり、受信ボックスを開く。これでアマ〇ンからのメールだったら、本社を壊してやろうか、とも思っていたところだったが、何のことはない。うちの街きっての美少女からのメールであった。件名には「報告 その8」と。


 メールを開き、内容に目を通す。そこには衝撃的な内容が書き込まれていた。おそらく嬢ちゃんの目を使って疑似的な未来予知でもしたのであろう内容。儂自身の死の内容はともかく、なるほど、やはり奴の能力は何者かに阻害されている、ということか。予想はついていたが、嬢ちゃんの目でも解析にこれだけの時間をかけるということは、本当に化け物レベルの人間が関わっているのだろうな。


 まあ、奴なら乗り越えられる、とは書いてあるし、問題はないか。


 にしても、儂らの死、か。まったく、せっかちな奴もいるもんじゃ。天査連を敵に回すもんではないのぅ。


 メールには一言、「やばいのぅ、何がやばいってマジやばい。」と返しておく。


 さてと、皆には伝えないほうがいいのだろうな。何もわからずに死ぬのは悲しいことだが、おおよそ、言いふらしていいレベルではない。限られた時間だからこそ、不安なく過ごしたいものだ。


 儂も、最期に知人にメールだけしておこうと思う。


 内容はこうだ。


「突然すまんのぅ。実は近日死にそうなのじゃ。そこで手持ちのお金が邪魔になってのぅ。言い値で振り込むから口座を教えてはもらえんじゃろうか。」


 ふむ、新しい詐欺でも作れそうじゃがまあいい。


 さて、老人は早々に睡眠につくとしよう。


 奴は、きっと今回は乗り越えるじゃろうが、それでも近いうちに死ぬぞ?


 そんなことを考えながら。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ