しろく つもる
闇の中 白いものが降ってくる
ゆっくり ゆっくり
闇の中 燐光を発するような白
淡い光
舞うようにゆっくり降ってくる
たくさんのしろ
私は横たわったまま 片手をあげる
触れるものはない
音もなく舞う白
闇の中
まるで重力が弱いように 時が引き伸ばされたように
ゆるやかに ゆるやかに
静かで 美しい
でもどこか冷たい
温度の無い世界
冷たいから 美しいのだろうか
入れないから 美しいのだろうか
答えは出ない
雪のように 桜の花びらのように
私のうえに降り積もる
いつか私も地面のように この白に覆われるのだろうか
すべてを しずめて
静寂と闇 まるで死の世界
しずかな眠り
ゆっくり ゆっくり
深海に積もるマリンスノー きっとそれに似ている
食べるものもなく、プランクトンの死骸が落ちていくのだと聞いた
なら、この光もなにかの死なのだろうか
ふと思う
私も
私もいつかどこかに 降り積もるのだろうか?
マリンスノーのように
このしろのように
いつか 何かの上に美しく降り積もれたなら・・・
深いねむりも
静かな闇も
受け入れられるだろうか
しろく つもって