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勇者様ご一行、村を襲う魔物を撃破!!勇者アリウス様は堅い皮に覆われた巨大な魔物を一閃し、騎士ウィード様は百にも及ぶ魔物を次々となぎ倒していった。二人の剣技が光る戦いだった。村人からのお礼を断り、勇者様は魔王討伐へと足を勧められた。
優しく強い勇者様の道のりに栄光あれ。
スーファン報道部
「……」
「……」
「……」
「…ねぇ、何かしゃべって」
「ん、えと、今日は大変だったね」
「そ、そうね」
「その~、恐ろしく大きかったねオオムカデ」
「ええ、巨大バッタとか出てくる時点で嫌な予感はしていたのよ。でもムカデで済んで良かったわ。もし、もし、現れたのが例の奴だったら、私どうなったか」
「私も同じだよ。黒き輝きを持つ、飛翔能力を有する、名前を呼んではいけないやつでしょ」
「それにしても、目を輝かせている勇者様には若干引いたわ。小さい時は昆虫好きの少年だったのね」
「勇者様よりも、騎士様だよ。無言で、剣に殺虫剤振りかけている王国騎士団団長なんて見たくなかったよ」
「そんなことよりも私たちよね」
「「…………」」
「だって、わたしたち口あけて突っ立っていただけだし」
「…そういえば、みんな疲れていたけど何かあった?」
「きっと昨日の野宿で疲れが抜けてなかったんじゃない?」
「野宿?」
「テラちゃん一人で爆睡していたもんね」
「なんでみんなは?」
「それはまぁ、見張りとか、安心して眠れないからでしょ」
「どうして」
「どうしてって言われても」
「…ねぇ、もしかして、私の能力知らない?」
「能力?能力って言ったら、強力な攻撃魔法の使い手ってところかしら」
「ち、違うよ。ほら、私の二つ名知っているでしょ」
「闇凪のテラ?」
「そうだよ、それの由来、有名な話でしょ?」
「有名って言われても私神殿育ちだからよくわからないわね」
「どんな森でも山でも敵城でも闇夜で無音の凪のような快眠環境を提供できる超便利魔法の使い手だよ」
「どんな魔法よ」
「物理結界、魔術結界を時間制限はあるけど半径10メートルで形成する高等技術だよ。なおかつ、術者の睡眠中でも途切れることのない超ハイテク結界!!って絶賛されたんだから。私この魔法で、最年少で特級黒魔術師の資格取ったんだよ」
「どんな審査基準よ…黒魔術界を理解できない」
「す、睡眠は大事だよ!!」