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勇者様ご一行、王城に到着!!
国王陛下に謁見、王より激励の言葉が贈られる。
祝賀会では、騎士ウィードの剣舞、白魔術師フィーリアの奇跡、黒魔術師テラの火炎魔術を披露した。
勇者アリウスは姫君とともに庭の散策を楽しまれた。見つめ合う二人の姿にこの国の明るい未来が見えるようだ。
勇者一行は翌朝出立予定、勇者様ご一行と我が国に幸あれ
スーファン報道部
「…テラちゃん」
「ん?」
「大丈夫?」
「何が?ねぇ、それよりこれ見て」
「これって」
「フフ、私の念写の腕も上がったでしょ」
「……」
「姫様綺麗だなぁ。こんなに綺麗な人初めて見た。あ、フィーリアちゃんも心底綺麗だと思っているよ」
「……」
「姫様、勇者様と目が合うとキラキラって素敵な笑顔でね、まるで天使様みたいだった」
「テラちゃん、おいで」
「わぁ、フィーリアちゃんくすぐったい」
「私ね、神殿に恋人がいるの」
「え…」
「一緒に神殿で育った人で、いまは神官長をしている人。この旅に出る前に、気持ちを伝えて、受け入れてもらったの。だから、本当は恋人って言えるほどじゃないかもしれないわ」
「さみしい?」
「いいえ。勇者様を守り支えるために、生まれた私が、あの人に会えて、あの人を好きになって、一瞬でも思いが通じたのよ。これ以上の幸せはないわ」
「そんなことないよ。もっと望んだっていいんだよ」
「テラちゃんが、勇者様への気持ちを実らせるつもりがないのはわかっているわ」
「……っ」
「だって、テラちゃん。いつだって見ているだけだから。私も、このままでいいと思っているの。あの人を守るために戦う力を持っていることを誇りに思う」
「それはちがうよ」
「フィーリアちゃんは、夢を見ていいんだよ。好きな人と幸せになるんだ」
「フフっ優しいのね」
「勇者様と魔王を倒し、世界を救って、フィーリアちゃんはその人のところに戻るんだよ。だって、闇凪のテラが一緒にいるんだから」