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Chain00 ロンドンにて……5


 だから、たとえその涙を流すのが愛しい君であっても、俺には通じない物なのだよ……

 むしろ、その涙も俺の欲望を更に強くさせる愛しいものとさえ感じる……

 (今回のお話も、琉依が25歳現在の話です)


 『……イッ』


 う……っ、うぅ……っ


 『ルイ!』

 リカルドの呼びかけに目を覚ます。すぐに視界に入ったリカルドの顔を見て、俺はまた夢を見ていたのかと感知した。

 しかも、今度は最悪な夢……よりによってあの忌々しい時の事。一番己の奥底に沈めた出来事なのに、それでも俺の夢の中では鮮明にそれが露わになっていた。


 君の俺を見る目が普段のものから恐怖を感じさせるものに変わった時、俺は躊躇う事無く行動に出ていた。

 君を無理矢理連れて、君の部屋へと行き君のベッドで……


 君を犯した……


 これまでのように契約という名の合意の物ではなく、俺が自分自身の中にいた嫉妬に駆られて引き起こしたもの。

 目の前にいる大切な君が見た事が無いくらい泣き叫んで暴れているのに、それでも俺は一度も躊躇う事無く君を抱いた……


 かつては君の涙を見るのも辛いと思っていたのに、それでも俺は君の涙を何度も何度も抱く事で枯らす事をしなかった。

 泣かれてもいい、叫んでもいい……その涙も悲鳴も俺に向けられているものだから。その時の君は確かに俺一人のものだから。


 君を手に入れる事が出来るなら、俺は君を泣かせてもいいとさえ感じていたのだ……


 『大丈夫か? さっきから何度もうなされていたぞ』

 心配そうに見るリカルドに、俺は微かに笑みを見せると大丈夫というサインを片手を挙げて見せることで表す。

 『大丈夫……ちょっと嫌な夢を見ただけだから』

 俺はそう言うと、再び目を瞑る。

 しかし、目を瞑ると浮かんでくるのは君の絶望の表情。心を許していた幼馴染みから受けた屈辱にショックを受ける君の表情は、今でも俺の中で生き続けているよ……


 けれど、狂っていたからかもしれないがその時の俺はそんな風に見られても嬉しいと言う感情しか湧いてこなかったんだ。

 例えそれが憎しみの念であっても、君が俺の事を忘れられなくなったから……一生君の中でその屈辱が残るから、俺にとってはそれがたまらなく嬉しかった。


 ただ、誤算だったのは……君が俺の想像以上に強い心を持っていたという事……


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