「小説家になろう」は果たして本当に小説家になれるのだろうか?
偶然とあるデビュー作家の愚痴を見て思うことがあったので、これを勝手ながらビジネス的に解析し、いつもの二人に解説させてみました。といっても知らない人の方が多いので説明すると、よくある「ゆっくりのパクリ」です。
・茶番
「ライムはまたアニメを見ているのか。なんだこれ?『冴えないおっさんがいきなり悪役令嬢転生!?ハーレムライフを切り忘れ配信したばっかりに』ライムはこれが面白いのか?」
「……面白いわけないでしょ!なろう好きの私には本当に腹が立つわ!なろうにはもっと面白いもあるのよ!でもアニメ化されるのはなんでも異世界異世界。周りにはナーロッパなんて馬鹿にされて。いやになっちゃう。」
「そうだな。いったい誰が買っているのか不思議に思うよな」
「人気があるから仕方ないわ。世の中はもの好きな人もいるってことでしょ」
「ライム。それは間違えだ。まったく人気が無いんだぜ。それは世界のメタスコアが物語っている」
「え?人気があるからアニメ化されてるんじゃないの?」
「違うんだぜ。誰も見ていないし、買ってもいないんだぜ」
「えっ?多くの人に読まれてるから、なろうブームでこんなにアニメ化されてるんじゃないの?」
「それがなライム。多くの人が勘違いしている点だが、なろう小説は買われてない。もちろん売れっ子の作家先生もいるが、それは例外中の例外。そもそも売れっ子の先生は「賞を取っていない」ことに留意しよう。ライムの好きなアノオカタも取ってないのでは?」
「それは賞が出来る前だからしょうがないわよ」
「賞だけにな」
「……しょうもな」
「ごほん」
「……小説が売れずに、どうして稼いでるのよ。出版社はこれが売れると思ってくれるから賞金が出るんじゃないの?」
「それが誤解なんだ。世の中には売れてなくても稼げる商売がある。霊夢も知らずに使ってるんじゃないか?例えばそのスマホアプリ」
「ああ、これ無料なのよ!でも広告が入ってきてウザいのよ。それが無ければいいんだけど」
「そうなんだ。このような歪なビジネスを可能にするそれは広告なんだ」
・広告で稼ぐビジネスモデル、無料コミックサイト
「広告?」
「そうだ。今の出版業界の収益モデルは広告を収入源とした無料コミックサイトなんだ。宣伝も多いからライムも少しは知ってるはずだ」
「聞いたことあるわ!私も利用しているし!」
「そうだ。賞の多くが求めてるのは小説ではない。無料サイトで読めるコミックなんだ」
「だからコミカライズしやすい作品が選ばれてるのね!」
「そうだな。一般的には小説が有名になってコミカライズされるという認識があるのだけれどそれは間違いで。先にコミカライズがあって、その穴埋めに原作を当てているだけなんだ」
「なんでそんなことが断定できるのよ!」
「そういうビジネスモデルだからだ、としかいえないな。デジタルコミック市場は、なろう小説よりもはるかに大きいんだぜ。もしビジネスなら、小説よりもコミック中心の展開をするのは自然なんだ」
・作家は時給400円の広告屋?コンビニバイトがマシな世界
「なろう小説って本当に売れてないの?」
「もちろん例外はある。しかし、実際にデビューした新人がどれだけ売れるかというと、大体5000部がせいぜいらしい。よく10万部とか宣伝しているのは、あれはコミックスを含めた無料分だ。よく読めばコミックス小説累計と書かれているだろう?つまり、どれだけダウンロードされても売れているわけじゃないので作者には一銭も金が入ってこないだろう。これは契約にも変わってくるから、あくまでも推論にすぎないが」
「……なろうって本当に売れてないのね」
「そうだ。普通の作家が一作仕上げるのを時給に直すと大体400円で、これらはなろうを卒業した先輩作家が必ずぶち当たる壁であり、その現実に打ちのめされ、断筆や引退する者も少なくない。つまり、おもしろくもないのにブームと呼ばれるのは訳があり、それはやりがい搾取によって成り立っているんだ」
「私のフォローしていた作家も愚痴ってたわ」
「しかし、作家側も馬鹿じゃない。無理やり収益化する手段はある。例えばテンプレを多用したり、どうでもいいお色気イベントで水増ししたり、挙句の果てには度を超えたパロディや、パクリ、挙句の果てにはAI使用など、なりふり構わずやっている作家も知ってるはずだ。ライムも心当たりがあるのではないか?そういう水増し商売に特化した作家たちを」
「知ってるけど。…そういう小説って売れるの?」
「売れるわけがないんだぜ。だが、忘れたかライム、これは広告がメイン収入なんだ。そして、彼らは仕事と割り切っている。まともに書けば時給400円だが、4倍に水増しすれば時給1600円だ。水増しすればするほど儲かる。割り切れば高時給は可能じゃないか?」
「…こうして酷評される量産型クソなろうが出来上がるわけね」
「そうだな。そして、それは果たして作家と呼べるのだろうか?作家になりたかったのが、実際は時給400円の広告屋になり果ててないか?それは小説家ではなく、スマホの無料広告ゲームを作ってるのと同じなんだ。時給400円でね」
「…タイトル回収ね」
・作家は中抜きされるだけ!?では作家側の対策は?
「じゃあ作家は出版社に搾取されるだけなの?」
「もちろん、一概に搾取されてるとはいえない。例えば搾取以上にバックアップしてもらえる出版社であれば、何も悪くない。バックアップでより売れれば、出版本として出ただけでもありがたいし、そしてメディアミックスを希望する作家も多いだろうから、アニメ化やコミカライズに強い出版社を選べばいい。だから出版社も使いようだ。だが、多くの出版社が本気でバックアップしてくれるかといえば疑問が残る」
「どうして?」
「ライムは聞いたことないか?賞に応募する時に、過去最大数の選考作品と」
「あるわ!ライバルが多くてやる気も出てくるのよね!負けられないわ」
「しかしこれはビジネス的に言えば、過去最大の買い手市場と呼べるんだぜ。つまり、やめてもらっても、他の変わりはいくらでもいるってことなんだ。つまり、やめてもらった方が都合がいい。新しい人材を次々に投入して、あたりを引くのを待った方が金銭的にはいいんだぜ。だから、時給400円のやりがい搾取になったんだと思うんだぜ」
「……現実は厳しいのね」
・ではどうするべきか。
「じゃあ何?作家にはなれないってこと!?」
「そうだな。しかし、抜け道もある。それは最近導入された報酬リワードだ。つまり、広告屋に中抜されるくらいなら自分が広告屋になればいい」
「逆転の発想ね!」
「実際、自費出版やリワードで稼いでいる作家もいる。もちろんそれは、出版社が被るべきリスクをすべて自分が被ることになるから、気軽におすすめできることではなく、それなりの覚悟が必要だ。」
「つまり広告費が直接作者に流れるようになったら、中抜きがない?」
「そういう事だな。なろうにも最近リワードが追加されたが、これは、クリエーター保護の観点から、我らがひなプロジェクトが頑張った結果だと思うんだ。これからは搾取されるより、広告業としてマネタイズしていこうとね。こういった小さな変更が歪な構造の改善になり、本来のなろうが取り戻せると感じるんだぜ。さっき、ビジネスだからこうなるといったな?それは、無料コミック市場が無料小説市場より大きいから成り立ってしまったことだ。これが逆転したら小説家になろうが巨大プラットフォームになり、作家側の収入も増えると思うんだぜ」
「作家の待遇をよくするには、なろうを盛り上げていけばいいわけね!」
「なろうは、忘れているかもしれないが、作家と読者の双方向で成り立つコンテンツだ。作家と読者の距離も近い。それは無料コミックにはない魅力で、そう言った魅力がまだまだあると思うんだぜ。もちろん、コミュニケーションは苦手だ、みたいな作者もいる。それはそれで良作を書いていたら自然になろうの地位が上がる。だから、みんなで盛り上げていこう。それが賞をとるよりも作家への近道だと思うんだぜ。受賞などしなくても、一つでも作品を仕上げれば、みんな作家なんだぜ!」




