生活の理(ことわり)
掲載日:2026/03/17
東京に出てきたとき、
自分なりの理みたいなものがあった。
こういうことはしないとか、
こういうふうに生きたいとか。
別に大したものじゃないけど、
それでも一応、自分で決めたものだった。
最初のうちは、守れていたと思う。
無理をしてでも、崩さないようにしていた。
でも、生活していくうちに、
だんだん余裕がなくなっていった。
朝起きて、働いて、帰って、寝る。
それだけで一日が終わる。
何かを始める前に、次の日が来る。
気づいたら、
その理は少しずつ形を変えていた。
これはやらない。
あれは無理だ。
それは今じゃない。
守っているつもりだったものは、
ただの断りに変わっていた。
何かを選んでいるんじゃなくて、
何もしない理由を並べているだけで。
——だから、今日もやらない。
生活の断り。




