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学校という罠
金曜日。
問題は学校だった。
四人は自然に距離を保っていた。
あからさまに集まると怪しまれる。
だが昼休み。
担任が言った。
「土日は不要不急の外出を控えること」
クラスがざわつく。
「特に円山方面には近づかないように」
迅と圭が同時に固まる。
「不審者情報がある」
空気が一気に重くなる。
翔太が低く言う。
「……完全に包囲されてるな」
さらに。
放課後、職員室に呼ばれる。
四人同時。
迅が内心で叫ぶ。
(終わった)
担任は真剣な顔だった。
「最近、君たち健太と一番仲が良かったな」
「はい」
「何か聞いてないか?」
沈黙。
美咲の指が震える。
翔太が答える。
「特に」
嘘。
だが、目は逸らさない。
担任はしばらく四人を見つめ、
「何かあればすぐ言いなさい」
それだけだった。
解放。
廊下に出た瞬間、迅が息を吐く。
「寿命縮んだわ」
圭が言う。
「……やめる?」
初めて、はっきり言った。
躊躇の塊みたいな圭が。
迅は少し黙る。
そして笑う。
「やめたら、後悔する」
翔太が静かに言う。
「土曜、午前五時。円山公園入口」
美咲が頷く。
もう引き返せない。
家族に嘘をついた。
先生に嘘をついた。
小学生の小さな世界で、
それは十分すぎる“覚悟”だった。
雪は、静かに降り続いている。




