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森と向こうの扉  作者: 03


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30/33

森へ

決行は午前一時四十分。

札幌の住宅街はほとんど眠っている。

迅たちは無言で集まる。

懐中電灯は持っているが使わない。

スマホも機内モード。

圭が小声で言う。

「巡回は二十分間隔。

 今から七分が空白」

森へ入る。

雪解け水で足場がぬかるんでいる。

翔太が呟く。

「静かすぎる…」

確かに。

生き物の音もない。

風もない。

健太の左手が熱を帯び始める。

「近い」

霧が出てきた。

前回より薄いが、確実に濃度が増している。

圭が足を止める。

「ここから空気が違う」

迅が小さく笑う。

「分かるな」

笑っているが、声は固い。



境界の手前

鳥居はまだ見えない。

だが足元の土が冷たい。

耳鳴りがする。

健太が膝をつく。

「……ここだ」

痣が光る。

前よりも安定している。

圭が周囲を確認する。

「物理的な異常はない。

 でも温度が下がってる」

翔太が息を吐く。

白い。

確実に冷えている。

迅が低く言う。

「始めるか」

健太が目を閉じる。

呼吸を整える。

美咲の顔を思い出す。

赤い眼鏡。

怖がりで、でも泳ぐのは速い。

「……行く」

光が広がる。

霧が揺れる。

空間が歪む。

精神世界

霧の第一層。

前よりも近い。

鳥居が見える。

美咲がいる。

膝を抱えている。

健太が一歩踏み出す。

その瞬間。

圧。

空気が押し潰される。

背後。

羽音。

ゆっくり。

ゆっくり。

烏天狗が降り立つ。

まだ攻撃はしない。

ただ、見ている。

赤い目。

現実側。

迅が気づく。

「来た」

翔太が息を飲む。

圭が低く言う。

「まだ動くな」

烏天狗は動かない。

だが距離を詰める。

一歩。

また一歩。

健太の呼吸が乱れる。

精神世界の霧が黒くなり始める。

鬼の声。

「恐れろ」

健太の視界に歪んだ影が映る。

学校。

金縛り。

赤い目。

圭が叫ぶ。

「健太、恐怖を見るな!」

健太が歯を食いしばる。

「見ない……!」

美咲の方を見る。

鳥居が近い。

あと少し。

現実側。

烏天狗がさらに一歩。

迅が前に出る。

「止める」

だがまだ攻撃はしない。

烏天狗は“封印破壊”を監視している。

今はまだ、破壊ではない。

圭が囁く。

「まだセーフ……」

だが。

健太が鳥居に触れた瞬間。

空気が変わる。

封印への干渉。

その瞬間。

烏天狗の目が強く光る。

羽が広がる。

風圧。

迅たちの体が押される。

翔太が転ぶ。

圭が叫ぶ。

「やばい!ラインを超えた!」

精神世界。

鬼の笑い。

「管理者が動くぞ」

美咲が震える。

健太が手を伸ばす。

「美咲!」

あと少し。

だが烏天狗が踏み込む。

地面が割れる。

迅がバットを構える。

空気が凍る。

まだぶつかっていない。

だが、もう限界。

一歩間違えれば全崩壊。

じわじわと。

確実に。

包囲されている。

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