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森と向こうの扉  作者: 03


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29/33

小さな決意

札幌の夜は静かだった。

だが、迅たちの頭の中は嵐だ。

場所は圭の部屋。

両親は共働きで不在。

カーテンは閉められ、机の上には森の地図が広げられている。

美咲はまだ戻っていない。

向こう側にいる。

健太の左手の痣だけが、淡く光を残している。

圭が低い声で言う。

「感情論は一旦置く」

迅が不満そうに鼻を鳴らすが黙る。

「目的は一つ。

 美咲を安全に引き戻す」

翔太が呟く。

「鬼は倒せない」

健太が頷く。

「鬼は封印の奥にいる。

 俺が入れるのは鳥居の前まで」

圭が整理する。

前提条件

鬼は物理的に出られない

烏天狗は封印維持が最優先

共鳴は恐怖を打ち消す

共鳴中、境界は一瞬だけ薄くなる

迅が地図を叩く。

「つまりこうだ」

作戦骨子

第一段階:森へ再侵入

封鎖は強化されている。

だが巡回は一定間隔。

翔太が言う。

「北側斜面はカメラが少ない」

圭が頷く。

「リスクはあるが可能」

第二段階:境界に侵入

森の中心近く。

健太が共鳴を発動。

精神世界で美咲の位置を探す

圭が言う。

「ここが最重要。

 健太が崩れたら終わり」

健太は静かに言う。

「崩れない」

その声は、前より強い。

第三段階:現実側から“引く”

迅が言う。

「精神世界で手を掴む。

 現実側で腕を引く」

翔太が不安そうに言う。

「でも烏天狗が来る」

沈黙。

圭が冷静に分析する。

「烏天狗は“封印破壊”を止める。

 俺たちは鬼を攻撃しない。

 美咲を引くだけ」

迅が言う。

「それでも止めに来るだろ」

圭は一瞬考える。

「足止めが必要だ」

迅が笑う。

「それは俺の役目だな」

健太がすぐ言う。

「無茶するな」

迅が肩をすくめる。

「時間を稼ぐだけだ」

翔太がぽつりと言う。

「失敗したら?」

誰もすぐには答えない。

健太が言う。

「失敗したら……」

迅が立ち上がる。

「だから失敗しない」

リスク分析

圭が書き出す。

・共鳴中に健太が精神崩壊

・烏天狗による強制排除

・鬼による恐怖増幅

健太が言う。

「鬼は恐怖を流す。

 だから俺は恐怖を見ない」

翔太が聞く。

「どうやって?」

健太は少し考え、

「美咲のことだけ考える」

迅がニヤッとする。

「単純でいい」

最終確認

圭が全員を見る。

「これ、ほぼ賭けだ」

迅が答える。

「最初からそうだろ」

健太が深く息を吸う。

痣が強く光る。

「俺が向こうで掴む。

 絶対に離さない」

静寂。

四人の視線が交わる。

ここから先は大人も警察もいない。

自分たちの選択だけ。

圭が小さく言う。

「決行は明日深夜」

迅が拳を突き出す。

「奪還だ」

四人の拳が重なる。

森は待っている。

鬼も。

烏天狗も。

そして――

美咲も。

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