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森と向こうの扉  作者: 03


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28/33

実験開始

時刻は深夜。

翔太が持ってきたスマホで森の写真を開く。

圭が言う。

「刺激を与える。

 森の記憶を意図的に呼び起こす」

迅は健太の右手を握る。

健太は左手の痣を見つめる。

目を閉じる。

呼吸を整える。

森。

霧。

赤い鳥居。

美咲。

心拍数が上がる。

モニターが反応する。

圭が冷静に声を出す。

「恐怖に集中するな。

 “繋がり”を意識しろ」

健太は思い出す。

精神世界で、美咲が言った言葉。

“怖い”

でも、最後は頷いた。

あの瞬間の感覚。

孤独じゃなかった。

痣が、じんわり熱を帯びる。

光が強まる。

迅が息を呑む。

空気が変わる。

音が遠ざかる。

心電図の電子音が、水の中みたいに鈍くなる。

健太の視界が白く染まる。

落ちる。

だが、今度は恐怖ではない。

自分から踏み込む。

精神世界



霧。

だが前より薄い。

足元が見える。

健太は立っている。

「……入れた」

遠く。

赤い鳥居。

その前に、美咲。

膝を抱えている。

鬼の影が背後に揺らめく。

低い声。

「……またか」

健太の体が震える。

圧。

圧力。

だが崩れない。

左手の痣が光る。

その光が、美咲の痣と繋がる。

美咲が顔を上げる。

「お兄ちゃん……!」

鬼が唸る。

「恐怖を増幅せよ」

霧が黒くなる。

美咲の呼吸が荒くなる。

健太は叫ぶ。

「見るな!

 鬼を見るな!」

美咲が目を閉じる。

健太は前に出る。

鬼は巨大。

丸い体。

一本角。

圧倒的。

だが健太は逃げない。

「お前、封じられてるんだろ」

鬼の目が細くなる。

「封じられているのは肉体。

 恐怖は自由だ」

健太が理解する。

鬼は直接封印を壊せない。

だから恐怖で外側から揺らす。

「なら、揺らさなきゃいい」

痣が強く光る。

共鳴が安定する。

霧が押し戻される。

鬼が一瞬だけ後退する。

初めて。

ほんの一瞬。

均衡が傾いた。

鬼の声が低くなる。

「……面白い」

圧が倍増する。

健太の視界が歪む。

耳鳴り。

呼吸困難。

限界。

その瞬間。

背後から風。

烏天狗。

無言。

機械のように、美咲と鬼の間に立つ。

命令はただ一つ。

封印を守れ。

鬼は舌打ちする。

「管理者め」

だが烏天狗は反応しない。

ただ存在する。

その隙。

健太が美咲の手を掴む。

痣が完全共鳴する。

白光。

世界が弾ける。

ICU

健太がベッドに倒れ込む。

迅が叫ぶ。

「健太!」

モニターは乱れているが、安定している。

健太が目を開ける。

汗だく。

だが意識はある。

「……行ける」

息が荒い。

圭が前のめりになる。

「何が分かった?」

健太はゆっくり言う。

「鬼は封印を壊せない。

 恐怖で迫ってくるだけだ」

翔太が言う。

「つまり?」

「美咲が恐怖に飲まれなければ封印は壊れない」

迅が笑う。

「それなら勝てるな」

健太は首を振る。

「でも時間はない。

 鬼も学習してる」

全員が静まる。

圭が言う。

「なら次は“実験”じゃない」

迅が頷く。

「作戦だ」

健太が小さく言う。

「俺が向こうで支える。

 お前らは外から封印を固定する方法を探せ」

四人は目を合わせる。

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