作戦会議
ICUの個室。
夜。
病室は面会時間を過ぎているが、迅たちは残っている。
看護師は「短時間だけ」と目をつぶってくれた。
健太はベッドに背を預け、左手の痣を見つめている。
光は、弱いが確実に残っている。
白石隆司が連行される直前に残した言葉。
共鳴印は、恐怖とは逆の力で均衡を固定する。
圭がノートを開く。
「整理しよう」
冷静な声。
「鬼は“恐怖”で封印を揺らす。
美咲は恐怖を流し込まれて門を押しかけた。
でも健太と繋がった瞬間、鬼は干渉できなかった」
翔太が腕を組む。
「つまり、共鳴が鬼のノイズを打ち消した?」
圭が頷く。
「可能性は高い」
迅が言う。
「じゃあ健太が自分から向こうに入ればいい」
健太が顔を上げる。
「できると思う」
三人が一斉に見る。
健太の目はもう濁っていない。
「さっきのは偶然じゃない。
美咲が俺を呼んだ瞬間、引っ張られる感覚があった。
あれは“道”ができた感じだった」
圭がすぐに分析する。
「道は痣を媒介にしている。
なら、条件は二つ」
指を折る。
「①痣の共鳴を強める
②恐怖に飲まれない精神状態」
迅が笑う。
「恐怖に飲まれない?
お前が言うなって感じだな」
健太も少し笑う。
「でも、怖くないわけじゃない」
静かになる。
怖さはある。
だが孤独ではない。
これが鬼との決定的な違い。




