表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
森と向こうの扉  作者: 03


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/33

鼓動

最初は、誰も気づかなかった。

夜。

札幌の住宅街。

低い音。

ドン。

……間。

ドン。

大型トラックの遠鳴りのような、

地下工事の振動のような。

だが市の工事予定はない。

気象庁の観測にも異常なし。

それでも。

森に近い区域ほど、音ははっきりする。

ドン。

ドン。

間隔は一定ではない。

心臓に似ているが、規則的ではない。

“育っている鼓動”。



霧。

今度ははっきり聞こえる。

ドン。

地面の奥から。

美咲の足元の霧が震える。

鳥居の赤い線が、太くなっている。

奥の影が、前より近い。

一本角。

丸い体。

目が、開く。

黄色。

「小さき秤」

声は重い。

空気が振動する。

美咲は震えるが、目を逸らさない。

「あなたが、鬼?」

沈黙。

「名はまだ定まらぬ」

低く笑う。

「人が忘れ、封じ、

 形を失わせた」

美咲は息を整える。

「どうして子どもを連れてくの」

鬼の輪郭が揺れる。

「恐れは純。

 混じりなき感情は、門を動かす」

「それって、怖がらせたいだけでしょ」

鬼の目が細くなる。

「違う」

鼓動。

ドン。

「均衡を戻すためだ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ