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森と向こうの扉  作者: 03


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16/33

続き

その夜。

白石隆司は病院にいた。

健太はICU。

昏睡。

医師は原因不明と言う。

外傷なし。

脳波は異常な揺れ。

まるで夢を見続けているような波形。

そのとき、隆司のスマホが鳴る。

研究仲間の名。

「見つかった」

第一声だった。

「何が」

「続きだ。あの伝承、未翻刻部分があった」

隆司の鼓動が跳ねる。

電話越しに、紙をめくる音。

「“門は一つに非ず。均衡は常に二つ”」

隆司は目を閉じる。

「続けてくれ」

「“一人戻れば、一人渡る。山の眷属は秤なり”」

秤。

均衡。

「そして――」

声が低くなる。

「“門を閉じるには、眷属の名を呼べ”」

隆司の視線が窓へ向く。

夜の札幌。

遠くの森。

「名……」

研究仲間が続ける。

「文末にある。だが欠損している。完全な名は失われている」

隆司は確信する。

これは偶然ではない。

息子は戻った。

だが代償が発生した。

均衡。

秤。

烏天狗は攫う存在ではない。

“管理者”。

隆司は呟く。

「名を取り戻さなければならない」

病室のモニターが、不規則に波打つ。

健太の指が、わずかに動く。

そして。

かすれた声。

「……みさき」

隆司の血が凍る。

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