表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
森と向こうの扉  作者: 03


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/33

学校の異変

同日、午後。

五年二組。

健太の机はそのまま。

花は置かれていない。

まだ“事故扱い”だからだ。

だが空気は重い。

そのとき。

教室の窓が、カタ、と鳴った。

風はない。

迅が顔を上げる。

窓の外。

校庭の向こう。

森の方向。

黒い影が、一瞬だけ横切る。

「……見たか」

翔太が小さく言う。

圭も頷く。

だが他の生徒は気づいていない。

授業は続く。

先生の声が遠い。

そのとき。

教室の後ろから、椅子の擦れる音。

ギィ。

全員が振り向く。

健太の椅子が、わずかに動いている。

誰も触れていない。

迅の鼓動が跳ねる。

佐伯先生が慌てて言う。

「地震、かな」

揺れていない。

誰も信じていない。

圭が小さく呟く。

「境界」

放課後。

さらに異変が起きる。

美咲が駆け込んでくる。

「四年生の教室で、変なこと起きた!」

四年一組。

黒板に、誰も書いていない文字。

チョークで、かすれた字。

“たりぬ”

教師は誰かの悪戯だと言う。

圭が顔色を変える。

「森が封鎖されたから」

迅が息を飲む。

「出口を学校に戻した?」

翔太が低く言う。

「森に入れないなら、向こうが来る」

その夜。

迅の家。

窓ガラスに、霜。

そこに、指でなぞったような跡。

一本。

二本。

三本。

縦に。

迅は凍る。

森で見たのと同じ。

同時刻。

学校の警備員室。

監視モニターに、一瞬だけ映る。

廊下の天井近くを、横切る黒い影。

鳥より大きい。

人より軽い。

次の瞬間、ノイズ。

映像は乱れる。

森は封鎖された。

だが。

境界は閉じていない。

迅のスマホが震える。

圭から。

「磁針、家でもズレてる」

翔太から。

「森の方角、音する」

そして。

美咲から。

「……お兄ちゃんの声、今聞こえた」

迅は窓の外を見る。

札幌の夜。

静かな街。

だが確実に。

森の“呼吸”が、街へ伸びてきている。

封鎖は、守りではない。

刺激だった。

向こう側は、気づいた。

こちらが近づいたことを。

ここで一気に緊張が上がった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ