封鎖
翌朝。
森は、完全に様子を変えていた。
迅たちが登校前に遠目で見たとき、すでに異変は始まっていた。
西側の管理通路にも、黄色い規制テープ。
パトカーが二台。
見慣れない白いワゴン車。
圭が双眼鏡を下ろす。
「鑑識っぽい」
翔太が言う。
「昨日の誰かの通報?」
迅の背中が冷たくなる。
隆司だ。
正式に動くと言っていた。
だがこれは“正式”どころではない。
規模が大きすぎる。
学校へ向かう途中、スマホが震える。
クラスのグループチャット。
「森で倒れてる人いたらしい」
「立ち入り禁止区域で血」
「ニュース来るかも」
迅たちは顔を見合わせる。
血?
放課後。
三人は情報を集める。
美咲は四年生の教室で様子を探る。
圭がまとめる。
「今朝5時、巡回の警官が森の奥で“倒れている男性”を発見」
迅の喉が鳴る。
「おじさん…?」
「軽傷。頭を打って気絶してただけらしい」
翔太が眉をひそめる。
「血は?」
「枝で切った程度。事件性なしって扱い」
迅は机を握る。
あの場にいた。
隆司は倒れていなかった。
自分たちが帰ったあと、何かがあった。
圭が続ける。
「問題は別。森の奥に“不自然な地面”が見つかった」
石の円。
霧の中心。
「それを自然現象と説明できないらしい」
結果。
立ち入り禁止区域は全面封鎖。
警察+市の職員。
そして。
「明日から自衛隊が地形調査入る可能性」
迅の胃が重くなる。
森は、もう自由に入れない。
向こう側との接点が、閉じられる。




